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第10話ブラッドとの出会い
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彼女はシンマコウ。
周りには誰もいない。
嫌いな奴も、好きな奴もいない。
彼女の能力に消えていった者達は帰って来ない。
それに目をつけたのは警察だった。
死刑囚をコウの能力で消してしまおうと企んだのだ。
その理由は、死体処理をしなくて済むから、それだけだった。
死刑囚にはコウを殺せれば無実にし、解放すると言う条件でコウがいる広い部屋に送る。
警察達がコウの保護者になり、信頼を得る事で処刑する事に違和感を無くす事に成功。
コウは死刑囚を次々と次元の裂け目に閉じ込めて行く。
順調に思われたが、彼女が19歳の頃、トラブルが発生した。
なんと死刑囚をコウが殺し始めたのだ。
殺意に満ちたその表情に、警察には制御できないと判断し、処遇しようと提案した者達がいた。
しかし保護者として関わっていた者達が反論する。
ここまで信頼を得た事が無駄になる。
返り討ちに遭う事は絶対に避けたい。
そんな話を彼女が知る事はなく、女性警察官のマクシとスーパーで買い物をしていた。
「マクシさん、今日はなんにするの?」
「どうしようかなぁ、コウちゃんはなにが良い?」
「うーん、からあげ、からあげが食べたい」
「分かった。小麦粉はあるから、後は鶏肉ね。でもからあげだけじゃ物足りないでしょ、そうだ、ポテトサラダを付け合わせで作りましょうか」
「マクシさんのポテトサラダおいしいから楽しみ~」
会話をしながらショッピングカートを動かし、買い物を済ませる。
会計を済ませ、レジ袋に荷物を詰め、駐車場に向かった。
車の後ろの席に荷物を乗せ、乗り込む。
マクシがエンジンキーを刺し、回すと、エンジンが起動し、アクセルを踏み込み、車が走り出す。
「ねぇーコウちゃん」
「うん? なに?」
「いつも悪い奴を倒してくれてありがと」
「良いんだよ、でも物足りないんだよね」
「物足りないって、なにが?」
「うーんうん、こっちの話」
「そう」
マクシは知っていた。
彼女が猟奇的な戦闘狂になっている事を。
仲が良い内は殺されないだろうが、もしこの事が世間にバレたら警察はかなり反感をくらうだろう。
恐怖している事を彼女に悟らせてはいけない。
そんな中、ものすごいスピードで走って来た車がこちらに向かって来る。
コウは次元の裂け目を開き、向かって来る車を吸い込んだ。
ホッとした2人だったが、周りの人々は驚きを隠せない。
この事はニュースに取り上げられ、騒動になった。
能力者がこの市にいると思うと、市民としては恐怖でしかない。
その情報は警察にもいち早く届き、危機感を覚える。
コウを殺害するべく、処刑囚を装った能力者である兵士が送り込まれるが、次元幽閉の餌食になる。
困り果てた警察は最後の手段として能力者保護施設がある町に移送する事を決定した。
そこでコウは20歳になり、就職の時期を迎える。
しかし処刑できない事がストレスとなり、申し訳ない気分になりながら荷造りをして施設を出た。
雨が降り始め、スーパーに入り、雨宿りをしていると、金髪の少女が荷物が入ったレジ袋と傘を持って通り過ぎるのが見える。
この日本で珍しい金髪の子どもに、不思議と惹かれる物を感じる。
(着いてってみようかな)
興味本意で着いて行くと、マンションに到着し、少女が入って行く。
そこまで来てコウは諦めを感じ、この場を離れ様とする。
すると突然傘を持った男がこちらを冷静に睨んで来た。
「今お前、母さんを着けてきたな」
「母さんって誰の事? 私はただ・・・・・」
「言い訳はいい。警察を呼ぶから、少し待ってろ」
誘拐犯と勘違いをされてしまった。
どうするべきか。
考えを巡らせ、思いついた言葉は。
「そう、なら私を止めてみせてよ!」
次元幽閉を発動し、次元の裂け目を開く。
吸い込まれそうになる男。
だがその表情は変わらず冷静だ。
とっ、男の姿が突如として消える。
(えっ?)
次の瞬間、後ろから男がコウをいつの間にか地面に叩きつけられ、拘束された。
それと同時に次元の裂け目が閉じる。
「この、離せ!」
「お前の能力は強力な物なのは分かった。だが俺の能力には敵わない。大人しく警察に捕まっていろ」
この力、人間じゃない。
そう思った時、さっきまで追いかけていた金髪の少女がお怒りの顔でやって来た。
「ジン! あなたなにしてるのよ!」
「こいつは母さんを着け狙っていたんだ。早く警察に通報するべきだろ」
「まったく、最初からそんな事ぐらい分かってたわ」
「じゃあなんで!」
「この子がはみ出し者だから、理由はそれだけよ」
はみ出し者。
その言葉にコウは怒りが込み上げてくる。
「違う。私ははみ出し者なんかじゃない!」
「あなたの情報はこちらにも流れているのよ、だからあの保護施設がダメなら私の方に来ても良いとは許可はもらってる。でも条件はあるわ」
「なに、その条件って?」
「私の眷属になる事よ。部屋も用意するし、仕事もちゃんと探してあげるし、ご飯も作ってあげるし、どう、悪くないでしょ」
「眷属になるってどう言う意味?」
「そのままの意味。私はこう見えて吸血鬼なの。だからあなたを眷属できる。そうすればあなたは強い奴でも簡単に倒せる。だけどその力はできれば使ってほしくない」
近づいて来る少女。
はみ出し者と言う言葉が頭から離れない。
自分の今までやっていた事を否定するその言葉が。
「話が長くてごめんなさい。びしょ濡れよね。私に部屋で温まってちょうだい。ジン、いつまでやってるのよ」
「ごめん」
ジンは拘束していた手を離す。
こうしてコウは痛みに耐えながら、少女が管理しているマンションに入るのだった。
周りには誰もいない。
嫌いな奴も、好きな奴もいない。
彼女の能力に消えていった者達は帰って来ない。
それに目をつけたのは警察だった。
死刑囚をコウの能力で消してしまおうと企んだのだ。
その理由は、死体処理をしなくて済むから、それだけだった。
死刑囚にはコウを殺せれば無実にし、解放すると言う条件でコウがいる広い部屋に送る。
警察達がコウの保護者になり、信頼を得る事で処刑する事に違和感を無くす事に成功。
コウは死刑囚を次々と次元の裂け目に閉じ込めて行く。
順調に思われたが、彼女が19歳の頃、トラブルが発生した。
なんと死刑囚をコウが殺し始めたのだ。
殺意に満ちたその表情に、警察には制御できないと判断し、処遇しようと提案した者達がいた。
しかし保護者として関わっていた者達が反論する。
ここまで信頼を得た事が無駄になる。
返り討ちに遭う事は絶対に避けたい。
そんな話を彼女が知る事はなく、女性警察官のマクシとスーパーで買い物をしていた。
「マクシさん、今日はなんにするの?」
「どうしようかなぁ、コウちゃんはなにが良い?」
「うーん、からあげ、からあげが食べたい」
「分かった。小麦粉はあるから、後は鶏肉ね。でもからあげだけじゃ物足りないでしょ、そうだ、ポテトサラダを付け合わせで作りましょうか」
「マクシさんのポテトサラダおいしいから楽しみ~」
会話をしながらショッピングカートを動かし、買い物を済ませる。
会計を済ませ、レジ袋に荷物を詰め、駐車場に向かった。
車の後ろの席に荷物を乗せ、乗り込む。
マクシがエンジンキーを刺し、回すと、エンジンが起動し、アクセルを踏み込み、車が走り出す。
「ねぇーコウちゃん」
「うん? なに?」
「いつも悪い奴を倒してくれてありがと」
「良いんだよ、でも物足りないんだよね」
「物足りないって、なにが?」
「うーんうん、こっちの話」
「そう」
マクシは知っていた。
彼女が猟奇的な戦闘狂になっている事を。
仲が良い内は殺されないだろうが、もしこの事が世間にバレたら警察はかなり反感をくらうだろう。
恐怖している事を彼女に悟らせてはいけない。
そんな中、ものすごいスピードで走って来た車がこちらに向かって来る。
コウは次元の裂け目を開き、向かって来る車を吸い込んだ。
ホッとした2人だったが、周りの人々は驚きを隠せない。
この事はニュースに取り上げられ、騒動になった。
能力者がこの市にいると思うと、市民としては恐怖でしかない。
その情報は警察にもいち早く届き、危機感を覚える。
コウを殺害するべく、処刑囚を装った能力者である兵士が送り込まれるが、次元幽閉の餌食になる。
困り果てた警察は最後の手段として能力者保護施設がある町に移送する事を決定した。
そこでコウは20歳になり、就職の時期を迎える。
しかし処刑できない事がストレスとなり、申し訳ない気分になりながら荷造りをして施設を出た。
雨が降り始め、スーパーに入り、雨宿りをしていると、金髪の少女が荷物が入ったレジ袋と傘を持って通り過ぎるのが見える。
この日本で珍しい金髪の子どもに、不思議と惹かれる物を感じる。
(着いてってみようかな)
興味本意で着いて行くと、マンションに到着し、少女が入って行く。
そこまで来てコウは諦めを感じ、この場を離れ様とする。
すると突然傘を持った男がこちらを冷静に睨んで来た。
「今お前、母さんを着けてきたな」
「母さんって誰の事? 私はただ・・・・・」
「言い訳はいい。警察を呼ぶから、少し待ってろ」
誘拐犯と勘違いをされてしまった。
どうするべきか。
考えを巡らせ、思いついた言葉は。
「そう、なら私を止めてみせてよ!」
次元幽閉を発動し、次元の裂け目を開く。
吸い込まれそうになる男。
だがその表情は変わらず冷静だ。
とっ、男の姿が突如として消える。
(えっ?)
次の瞬間、後ろから男がコウをいつの間にか地面に叩きつけられ、拘束された。
それと同時に次元の裂け目が閉じる。
「この、離せ!」
「お前の能力は強力な物なのは分かった。だが俺の能力には敵わない。大人しく警察に捕まっていろ」
この力、人間じゃない。
そう思った時、さっきまで追いかけていた金髪の少女がお怒りの顔でやって来た。
「ジン! あなたなにしてるのよ!」
「こいつは母さんを着け狙っていたんだ。早く警察に通報するべきだろ」
「まったく、最初からそんな事ぐらい分かってたわ」
「じゃあなんで!」
「この子がはみ出し者だから、理由はそれだけよ」
はみ出し者。
その言葉にコウは怒りが込み上げてくる。
「違う。私ははみ出し者なんかじゃない!」
「あなたの情報はこちらにも流れているのよ、だからあの保護施設がダメなら私の方に来ても良いとは許可はもらってる。でも条件はあるわ」
「なに、その条件って?」
「私の眷属になる事よ。部屋も用意するし、仕事もちゃんと探してあげるし、ご飯も作ってあげるし、どう、悪くないでしょ」
「眷属になるってどう言う意味?」
「そのままの意味。私はこう見えて吸血鬼なの。だからあなたを眷属できる。そうすればあなたは強い奴でも簡単に倒せる。だけどその力はできれば使ってほしくない」
近づいて来る少女。
はみ出し者と言う言葉が頭から離れない。
自分の今までやっていた事を否定するその言葉が。
「話が長くてごめんなさい。びしょ濡れよね。私に部屋で温まってちょうだい。ジン、いつまでやってるのよ」
「ごめん」
ジンは拘束していた手を離す。
こうしてコウは痛みに耐えながら、少女が管理しているマンションに入るのだった。
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