今時な死神と不死身な嫌われ者

ガトリングレックス

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第7話隠されし思惑

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白いパジャマを着た黒髪の少女を抱っこするローブを着た仮面の男。
「どうですかボス。あなたを邪魔する人々が消えていく光景は」
ボスと言われた長い黒髪の少女は甘える様に仮面の男を強く抱きしめる。
「おーよしよし。ボスはこう言う話は興味ないですよね」
仮面の男は少女を優しい声であやす。
するとバイクのエンジン音が聞こえ、確認すると十字路の方へ走って来るのが分かる。
「しつこい奴だ、私達は不死身の存在。あいつもまた不死身の存在。終わりのない戦いなんておもしろくないだろう」
呆れた様にそう言うと、少女を連れてこの場を離れ様とする。
だが動けない。
体が浮かび上がり、背中から壁に叩きつけられた。
「これは、念動力サイコキネシス!?」
怯えながらも、少女を離さない。
「あらあら。殺人に飽きたらず誘拐っすか。これまた罪を重ねたっすね。まあ死んでもらう事には変わりないっすけど」
ランは笑みを浮かべ、折りたたみ式の警棒を右腕のスナップで引き伸ばし、構える。
「その子を保護させていただきます。良いですよね、犯罪者さん」
ニヤリと笑いながら警棒から手を離す。
(これで終わりっす!)
念動力サイコキネシスで銃弾の様に飛んで行く警棒。
仮面の男の顔を貫通し、腕の力が抜けたところで念動力サイコキネシスを使い少女を引き剥がす。
すると少女が突然泣き始めた。
それに気づいた切り裂きの殺人鬼達ジャック・ザ・リッパー4人が持ち場を離れ、ランのところへ霧を経由して瞬間移動して来る。
「「「「ボスを返せー!」」」」
ナイフを構え、必死の想いでランに襲いかかる。
しかし念動力サイコキネシスで動きを止められる。
浮せた状態の少女をランは仲間が乗っているシルバーの車の後ろの席に乗り込ませ、自分も助手席に乗り込む。
暴れ出す少女を無視してミユがドアを閉め、カギをかける。
念動力サイコキネシスでシートベルトを少女に巻く。
「車を走らせて」
運転手がいない車が勝手に動き出す。
言わゆる自動運転と言う奴だ。
泣き叫ぶ少女を見てミユは(うるさい)と感じる。
「オンガ、これからどうするの。この子にあいつらは執着してるみたいだけど」
「とりあえずあいつらから逃げる事が先決っす」
「霧が中々晴れない、つまりまだあいつらは諦めてない」
執念を感じさせる切り裂きの殺人鬼達ジャック・ザ・リッパーの行動。
なぜ少女に執着しているのか。
ランにもミユにも分からなかった。

一方その頃ブラッドは華麗なジャンプでジャイアントの大剣のフルスイングを躱し、リボルバーのトリガーを弾いた。
放たれた銃弾をジャイアントは霧を経由して瞬間移動。
後ろからブラッドに大剣を振りかぶる。
そこに到着したヤマトが高く飛び上がり、ジャイアントに強烈な蹴りをくらわせた。
アスファルトの道に叩きつけられたが、すぐ様立ち上がり、大剣を構える。
「不老不死、お前、殺す」
「矛盾だな。不老不死の俺を殺す事は不可能。そうだろう、母さん」
ヤマトは完全に戦闘体勢に入っている。
それを見たブラッドは笑みを浮かべながらリボルバーのハンマーを下ろし、ジャイアントに銃口を向ける。
「えぇ。そもそも私の眷属家族に勝てるわけないじゃない」
「お前達、絶対、殺す!」
挑発に乗り襲いかかるジャイアント。
突進を2人はサイドステップで躱し、攻撃を仕掛ける。
次の瞬間。
霧を経由して瞬間移動し、ジャイアントがヤマトを持ち上げ、真上に投げ飛ばし、大剣を持ち手からアスファルトの道に打ち付け、高く飛び上がる。
ヤマトの危機にブラッドはジャイアントに向かって飛び上がるが時すでに遅し。
両足をうつ伏せの状態であるヤマトの両足に絡み付け、両手で両腕を拘束、大剣に向かって落下して行く。
「ナパームストレッチ、ブレードエンド!」
技を返そうとするが、鉄の鎖に縛られているかの様に動けない。
落下する勢いが増して行く。
死ねない体とは言え痛みは感じる。
大剣で串刺しになればどんだけの激痛が脳を襲うのだろう。
その答えはすぐに分かった。
大剣の刃が体を貫通し、骨と言う骨を破壊し、大量の血液が流れ出す。
その光景は生き返ると知っていてもブラッドにとって恐ろしい物だった。
自分の眷属家族が目の前で死亡した。
許せるはずがない。
母として絶対に許せない相手。
「殺してあげる。理由はあなたがヤマトを一度殺したから。だから殺してあげる」
息を荒げながら言い放つ怒りの発言。
「お前、俺を、殺せない。俺、無敵」
ヤマトが消滅し、復活するまで時間がかかる。
怒りに身を任せてブラッドがリボルバーの銃口をジャイアントに向け、牙をむき出しにし、トリガーを弾く。
銃弾を受けながらも怯む事なく一直線に突進して来る。
(こいつ、銃弾に抵抗力を持ってるの!?)
さっきまでは効いていたはずの銃弾が効かない。
戸惑いながら突進を飛び上がり、躱す。
そこにスワットが到着し、切り裂きの殺人鬼達ジャック・ザ・リッパーの2人とブラッドを取り囲む。
「スワット、来た。ゲーム、終わり。俺達、帰る」
霧が晴れて行くと同時に切り裂きの殺人鬼ジャック・ザ・リッパーの体が消えて行き、跡形もなく消え去った。
復活したヤマトがブラッドに駆け寄ると、優しい表情を浮かべて自分の姿を見せる。
「母さん、ありがとな、俺の代わりに戦ってくれて」
「ヤマト、あなたは不老不死だからって自分の命を軽く見過ぎよ」
「ごめん」
親子の会話を見ていたスワットの兵士1人が緊張した様子で歩み寄って来る。
「ブラッドさん、キカギさん、遅れてしまい本当に申し訳ございません」
ブラッドとヤマトは5年ほど前から事件の解決の手助けをしており、信頼を置かれている。
「いいえ、こちらこそ先に戦いを始めてしまって申し訳なく思っているわ」
ブラッドはリボルバーを誤射しない様トリガーにロックをかけ、ホルスターにしまうのだった。
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