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第1話護衛の仕事
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「今回の仕事は男性をストーカーから護衛する事です。住所や男性の情報はデバイスに入れているのでどうぞお使いください」
制服の上にジャンパーを着ている高校生ぐらいの白髪の男子に敬語を使う受付の男性。
「分かりました。デバイスの情報を確認して向かいます」
男子は丁寧な口調でそう言うと、デバイスを受け取り、情報を確認し、ビルを出て、駐車場に向かった。
「随分早かったじゃない、ヤマト」
待っていた金髪の少女が赤いバイクの前で男子の名前を呼ぶ。
彼の名はキカギヤマト。
護衛の仕事をやっている者である。
「そんなに早かったかなぁ」
「体感では10分ぐらいだったわよ」
ヤマトが電波デジタル時計を確認すると、本当に10分ほど経過している。
「やっぱり母さんには勝てないや」
「お母さんだもの。時間は時計を見なくても分かるわ」
「それは母さんだけだと思うよ」
血の様に赤い瞳。
美しい白い肌。
ポニーテールにまとめられた金髪。
バイクで走ると寒いのでジャンパーを着ている。
なぜかヤマトに母さんと呼ばれている。
彼女の名はブラッド。
ヤマトの保護者的存在だ。
2人はヘルメットを被り、赤いバイクに乗り込み、エンジンキーを刺し、エンジンをかけ、駐車場を後にした。
数十分後。情報にあった住所の家に到着し、バイクを駐車する。
「母さんは帰っててくれ。これから仕事だから」
「仕事を真っ当するのは良いけど、あまり無理をしないでほしいの」
ブラッドの心配した言葉にヤマトは真剣な表情を見せる。
「無理をしなきゃこの仕事は務まらない。安心してよ。俺は絶対に死なないからさ」
決意の言葉を言ってヤマトは家のチャイムを鳴らす。
すると30代ほどの男性が玄関を開ける。
「あなたですね。護衛を担当するキカギヤマトと申します」
「護衛って、君みたいな男子を呼んだつもりはないんだけど」
「契約書には護衛を選ぶ権利はないと書いていたはずです。読まれていないならスタッフの説明の配慮がたりなかったかもしれません」
不安そうな表情を浮かべながらも、男性はヤマトを家に上げてくれた。
リビングのソファーに座り男性と会話を始める。
「早速ですが、ストーカー被害を受け始めたのはいつ頃なんですか」
「2ヶ月前ぐらいかな。毎日手紙が送られて来るんだよ。それがこれなんだけど」
男性がテーブルに置いてある手紙を指さす。
確認すると、一方的な愛の言葉ばかり。
「ご安心ください。俺がストーカーからあなたを守ります」
「本当に頼むよ。これ以上こんな迷惑な事をされたくないんだ」
それから1週間ヤマトは男性を勤務時間以外護衛を続けた。
するとデバイスに犯人の情報が届く。
だが安心はできない。
人間とはなにをやらかすか分からないからだ。
夜。
家に帰って行く道中、男性とヤマトは跡をつけられている事に気づく。
「ヤマト君。僕達が前に進むごとにプレッシャーがのしかかって来るんだけど」
「俺もです。おそらくストーカーが近くにいるのでしょう」
情報によるとストーカーは20代後半の女性。
彼女には特殊能力があり、透明になれ、しかも着ている物、持っている物も透明にできる。
なので後ろを確認してもただ相手が近づいて来るだけ。
ここはまっすぐ歩いて行き、家に到着するしかない。
しかしその考えは間違いだった。
走って来る音にヤマトは気がつき、振り返ると、腹を刺された。
勢いよく引き抜かれ、アスファルトの道の上に崩れ落ちる。
「ヤマト君!?」
突然の事に驚き、その隙を突かれ、抱きつかれる。
「ようやく捕まえました」
透明化を解除し、姿を表す。
短い黒髪の女性は嬉しそうに男性の顔を見つめる。
「ずっと待ってました。この時を」
「お前はなにをしたのか分かっているのか!」
「分かってますよ。邪魔者を消したんです。ダメじゃないですか。私が守ってあげるのに」
(まずい、こいつ、ヤンデレだ)
このままだと家まで連れて行かれる。
だが言う事を聞かなければ殺されてしまう。
そう思った時だった。
なんとヤマトが女性の首を掴み、男性から引き剥がす。
そして腹パンを何回もくらわせ、勢いよくアスファルトの道に叩きつけた。
「大丈夫ですか?」
「いっ、いや。ヤマト君は大丈夫なのかい」
「はい、俺も能力持ちである人間なので死なないですよ」
「一応聞くよ。君の能力ってなに?」
「俺ですか? 俺の能力は不老不死です」
「不老不死。だから死ななかったのか」
安堵しながらも、能力者と言う事に男性は驚いた。
「後は警察を呼んでいただければ、これで事件は終わりますね」
「分かった」
男性はスマホを取り出し、警察に通報した。
ヤマトはただの人間ではない。
不老不死であり、吸血鬼ブラッドの眷属である。
能力者であるが故に眷属になった。
彼は孤独ではない。
バイクを走らせ、眷属が住むマンションに向かうのだった。
制服の上にジャンパーを着ている高校生ぐらいの白髪の男子に敬語を使う受付の男性。
「分かりました。デバイスの情報を確認して向かいます」
男子は丁寧な口調でそう言うと、デバイスを受け取り、情報を確認し、ビルを出て、駐車場に向かった。
「随分早かったじゃない、ヤマト」
待っていた金髪の少女が赤いバイクの前で男子の名前を呼ぶ。
彼の名はキカギヤマト。
護衛の仕事をやっている者である。
「そんなに早かったかなぁ」
「体感では10分ぐらいだったわよ」
ヤマトが電波デジタル時計を確認すると、本当に10分ほど経過している。
「やっぱり母さんには勝てないや」
「お母さんだもの。時間は時計を見なくても分かるわ」
「それは母さんだけだと思うよ」
血の様に赤い瞳。
美しい白い肌。
ポニーテールにまとめられた金髪。
バイクで走ると寒いのでジャンパーを着ている。
なぜかヤマトに母さんと呼ばれている。
彼女の名はブラッド。
ヤマトの保護者的存在だ。
2人はヘルメットを被り、赤いバイクに乗り込み、エンジンキーを刺し、エンジンをかけ、駐車場を後にした。
数十分後。情報にあった住所の家に到着し、バイクを駐車する。
「母さんは帰っててくれ。これから仕事だから」
「仕事を真っ当するのは良いけど、あまり無理をしないでほしいの」
ブラッドの心配した言葉にヤマトは真剣な表情を見せる。
「無理をしなきゃこの仕事は務まらない。安心してよ。俺は絶対に死なないからさ」
決意の言葉を言ってヤマトは家のチャイムを鳴らす。
すると30代ほどの男性が玄関を開ける。
「あなたですね。護衛を担当するキカギヤマトと申します」
「護衛って、君みたいな男子を呼んだつもりはないんだけど」
「契約書には護衛を選ぶ権利はないと書いていたはずです。読まれていないならスタッフの説明の配慮がたりなかったかもしれません」
不安そうな表情を浮かべながらも、男性はヤマトを家に上げてくれた。
リビングのソファーに座り男性と会話を始める。
「早速ですが、ストーカー被害を受け始めたのはいつ頃なんですか」
「2ヶ月前ぐらいかな。毎日手紙が送られて来るんだよ。それがこれなんだけど」
男性がテーブルに置いてある手紙を指さす。
確認すると、一方的な愛の言葉ばかり。
「ご安心ください。俺がストーカーからあなたを守ります」
「本当に頼むよ。これ以上こんな迷惑な事をされたくないんだ」
それから1週間ヤマトは男性を勤務時間以外護衛を続けた。
するとデバイスに犯人の情報が届く。
だが安心はできない。
人間とはなにをやらかすか分からないからだ。
夜。
家に帰って行く道中、男性とヤマトは跡をつけられている事に気づく。
「ヤマト君。僕達が前に進むごとにプレッシャーがのしかかって来るんだけど」
「俺もです。おそらくストーカーが近くにいるのでしょう」
情報によるとストーカーは20代後半の女性。
彼女には特殊能力があり、透明になれ、しかも着ている物、持っている物も透明にできる。
なので後ろを確認してもただ相手が近づいて来るだけ。
ここはまっすぐ歩いて行き、家に到着するしかない。
しかしその考えは間違いだった。
走って来る音にヤマトは気がつき、振り返ると、腹を刺された。
勢いよく引き抜かれ、アスファルトの道の上に崩れ落ちる。
「ヤマト君!?」
突然の事に驚き、その隙を突かれ、抱きつかれる。
「ようやく捕まえました」
透明化を解除し、姿を表す。
短い黒髪の女性は嬉しそうに男性の顔を見つめる。
「ずっと待ってました。この時を」
「お前はなにをしたのか分かっているのか!」
「分かってますよ。邪魔者を消したんです。ダメじゃないですか。私が守ってあげるのに」
(まずい、こいつ、ヤンデレだ)
このままだと家まで連れて行かれる。
だが言う事を聞かなければ殺されてしまう。
そう思った時だった。
なんとヤマトが女性の首を掴み、男性から引き剥がす。
そして腹パンを何回もくらわせ、勢いよくアスファルトの道に叩きつけた。
「大丈夫ですか?」
「いっ、いや。ヤマト君は大丈夫なのかい」
「はい、俺も能力持ちである人間なので死なないですよ」
「一応聞くよ。君の能力ってなに?」
「俺ですか? 俺の能力は不老不死です」
「不老不死。だから死ななかったのか」
安堵しながらも、能力者と言う事に男性は驚いた。
「後は警察を呼んでいただければ、これで事件は終わりますね」
「分かった」
男性はスマホを取り出し、警察に通報した。
ヤマトはただの人間ではない。
不老不死であり、吸血鬼ブラッドの眷属である。
能力者であるが故に眷属になった。
彼は孤独ではない。
バイクを走らせ、眷属が住むマンションに向かうのだった。
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