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バラダザ編
第26話 仲間斬りの戦士
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黒騎士の攻撃をスーの助言で躱していく如鬼。
その隙を突き現人はコアワーウルフ・ダークエンジェルに銃口を向け、連射する。
しかしまるで母親を庇う子供の様にワーウルフ・ダークエンジェルが銃弾を鉤爪で伏せがれる。
「不平等な者に死を」
一斉に飛びかかって来る堕天使達に慌てず正確に頭を撃ち抜き、爆散させた。
「キリがない。夏華ちゃん、その堕天使は任せた。俺は母体を破壊する」
「分かった。気をつけて」
お互いに連携し合う彼ら、それに対して黒騎士は剣で空を斬り、次元の裂け目を開くと2人に向かって圧倒的な数の斬撃を飛ばす。
これを食らえば死は避けられない。
スーの分析が攻撃よりも早かったとしても、如鬼が対応できなければ意味がない。
「フハハ!! 私達の野望の邪魔はさせませんよ」
高笑いを上げながら次々と放つ斬撃、すると如鬼兄妹は高く飛び上がり、ギリギリで攻撃を躱した。
「なんですって!?」
自身の想定を超える2人の身体能力にブラックナイト・ダークエンジェルは本気で驚く。
背後から〈バスター〉を連射し、鎧を貫通させられる。
さらに弾切れとなったアサルトライフルを床に置き、拳を唸らせた。
大きく吹き飛ばされ、ダイヤツリーから急落下して行く黒騎士。
「バカな。私以上の存在が人間にいるとは。だが、負けません!」
黒き翼を羽ばたかせ、敵を排除するため上昇する。
『如鬼! 相手はまだ生きてる!』
「分かってる。私はヒサさんや六問さん、そしてゴアドさんとは違ってただの人間。だから倒し切れなかった。それでも私は、あいつを倒す」
『なら格闘戦闘に合わせてシステムを調整するよ。必ず勝とう。如鬼』
システムを格闘用に調整を数秒でスーは終わらせた直後、黒騎士が襲いかかって来る。
黒き刃の剣による連続突きを繰り出されるも、手の甲で弾き飛ばす。
あまりの破壊力に刃が砕け散ると、腕を掴み地面に頭から叩きつけた。
「なんなんですか!? 本当に人間なんですか!? まさか………あなたも神に力を与えられた存在なんですか!?」
叫び続けながら立ち上がろうとするブラックナイト・ダークエンジェルに、如鬼は兜を勢いよくぶん殴る。
鈍い音と共に体が地面に再び叩きつけられ、口から血反吐を吐く。
「神の力………ですか。私はそんな物を貰った事はありません。強いて言うのなら、今の自分は勝利の女神に愛されているぐらいでしょうか」
「ならばなぜ………私はあなたに負けているんですか? バラダゼ様から授かれし力………それを超える力など………」
「強くなる理由なんて人それぞれです。私が強くなるのは、Z3+の装着者であり続けるため」
彼女は強く拳を握り倒す意志を見せ、それに対して息を荒くしそれでも戦う意志を見せる彼だったが、致命傷を受けフラフラとし始める。
視界が霞み、次第に力が抜けていく。
その場で倒れ込みその正体が露わになった。
「鈴静………さん?」
突然の事に如鬼の頭が真っ白になる。
無理もない。
ブラックナイト・ダークエンジェルの正体が、洗脳された鈴静だったのだから。
「僕は……一体……そうか……堕天使に………洗脳されて………」
入院していたままの服装、そして何か鈍器で殴られた様な強烈な痛み。
おそらく自分は堕天使となって人を殺害していたと鈴静は推測する。
罪悪感で心臓がバクバクと唸りを上げ、今までの戦闘のダメージが体中に襲いかかる。
死を悟った瞬間如鬼が彼に近づき、涙を流しながら膝をついた。
「鈴静さん! 死なないでください! 生きて! 生きて帰りましょう! Zトレーラーに!」
「如鬼さん……それは無理です………僕は洗脳された後の記憶はありません。でも急激な進化に……体はボロボロ。それだけは分かります……」
堕天使へと進化し元の人間に退化した結果、体が負荷に耐えきれず死へ誘われる。
ゆっくりと瞼を閉じ、彼の生涯は終わった。
「鈴静さん!? 起きてください!? 鈴静さん!?」
『如鬼、鈴静はさっきの攻撃が致命傷になると同時に洗脳が解けたんだ。つまり最初から助ける方法なんてなかったんだよ』
スーの言葉で自分に責任を感じる如鬼。
鈴静を殺したのは文字通り自分なのだから。
知らなかったでは決して済まされない。
『如鬼、鈴静を想うなら堕天使を倒すことが罪滅ぼしになるんじゃないかな?』
彼女の涙は止まらない。
しかし体は鈴静の遺体から離れ、後悔と決意が入り混じりながら、兄である現人の元へ向かった。
「現人くん!」
「夏華ちゃん、あの堕天使を倒せたんだね」
ワーウルフ・ダークエンジェルを殴り倒しながら、現人が返答する。
複雑な気持ちだ。
倒さなければ先には進めなかった。
それでも仲間を殺したことには変わりない。
その光景は光炎も観ている。
沈黙を続けていると言うことは、自分と同じくあまりにもショックだったのだろう。
当たり前だ。
付き合いは彼女の方が長いのだから。
冷静ではいられないまま如鬼は震え声で「う……うん」と返事をする。
現人は彼女の恐怖した様な様子に、不思議に思う。
(なんだろう。夏華ちゃんがこんなにも怯えた声を出したところ、聞いたことがない)
今まで感情を表に出すことをしなかった妹。
それほどの危機的状況だったのか?
それとも大人になって何かが変わったのか?
自分が自衛官になってから会っていなかった妹の言動に戸惑いながらもコアワーウルフ・ダークエンジェルを撃破するため、走り出すのだった。
その隙を突き現人はコアワーウルフ・ダークエンジェルに銃口を向け、連射する。
しかしまるで母親を庇う子供の様にワーウルフ・ダークエンジェルが銃弾を鉤爪で伏せがれる。
「不平等な者に死を」
一斉に飛びかかって来る堕天使達に慌てず正確に頭を撃ち抜き、爆散させた。
「キリがない。夏華ちゃん、その堕天使は任せた。俺は母体を破壊する」
「分かった。気をつけて」
お互いに連携し合う彼ら、それに対して黒騎士は剣で空を斬り、次元の裂け目を開くと2人に向かって圧倒的な数の斬撃を飛ばす。
これを食らえば死は避けられない。
スーの分析が攻撃よりも早かったとしても、如鬼が対応できなければ意味がない。
「フハハ!! 私達の野望の邪魔はさせませんよ」
高笑いを上げながら次々と放つ斬撃、すると如鬼兄妹は高く飛び上がり、ギリギリで攻撃を躱した。
「なんですって!?」
自身の想定を超える2人の身体能力にブラックナイト・ダークエンジェルは本気で驚く。
背後から〈バスター〉を連射し、鎧を貫通させられる。
さらに弾切れとなったアサルトライフルを床に置き、拳を唸らせた。
大きく吹き飛ばされ、ダイヤツリーから急落下して行く黒騎士。
「バカな。私以上の存在が人間にいるとは。だが、負けません!」
黒き翼を羽ばたかせ、敵を排除するため上昇する。
『如鬼! 相手はまだ生きてる!』
「分かってる。私はヒサさんや六問さん、そしてゴアドさんとは違ってただの人間。だから倒し切れなかった。それでも私は、あいつを倒す」
『なら格闘戦闘に合わせてシステムを調整するよ。必ず勝とう。如鬼』
システムを格闘用に調整を数秒でスーは終わらせた直後、黒騎士が襲いかかって来る。
黒き刃の剣による連続突きを繰り出されるも、手の甲で弾き飛ばす。
あまりの破壊力に刃が砕け散ると、腕を掴み地面に頭から叩きつけた。
「なんなんですか!? 本当に人間なんですか!? まさか………あなたも神に力を与えられた存在なんですか!?」
叫び続けながら立ち上がろうとするブラックナイト・ダークエンジェルに、如鬼は兜を勢いよくぶん殴る。
鈍い音と共に体が地面に再び叩きつけられ、口から血反吐を吐く。
「神の力………ですか。私はそんな物を貰った事はありません。強いて言うのなら、今の自分は勝利の女神に愛されているぐらいでしょうか」
「ならばなぜ………私はあなたに負けているんですか? バラダゼ様から授かれし力………それを超える力など………」
「強くなる理由なんて人それぞれです。私が強くなるのは、Z3+の装着者であり続けるため」
彼女は強く拳を握り倒す意志を見せ、それに対して息を荒くしそれでも戦う意志を見せる彼だったが、致命傷を受けフラフラとし始める。
視界が霞み、次第に力が抜けていく。
その場で倒れ込みその正体が露わになった。
「鈴静………さん?」
突然の事に如鬼の頭が真っ白になる。
無理もない。
ブラックナイト・ダークエンジェルの正体が、洗脳された鈴静だったのだから。
「僕は……一体……そうか……堕天使に………洗脳されて………」
入院していたままの服装、そして何か鈍器で殴られた様な強烈な痛み。
おそらく自分は堕天使となって人を殺害していたと鈴静は推測する。
罪悪感で心臓がバクバクと唸りを上げ、今までの戦闘のダメージが体中に襲いかかる。
死を悟った瞬間如鬼が彼に近づき、涙を流しながら膝をついた。
「鈴静さん! 死なないでください! 生きて! 生きて帰りましょう! Zトレーラーに!」
「如鬼さん……それは無理です………僕は洗脳された後の記憶はありません。でも急激な進化に……体はボロボロ。それだけは分かります……」
堕天使へと進化し元の人間に退化した結果、体が負荷に耐えきれず死へ誘われる。
ゆっくりと瞼を閉じ、彼の生涯は終わった。
「鈴静さん!? 起きてください!? 鈴静さん!?」
『如鬼、鈴静はさっきの攻撃が致命傷になると同時に洗脳が解けたんだ。つまり最初から助ける方法なんてなかったんだよ』
スーの言葉で自分に責任を感じる如鬼。
鈴静を殺したのは文字通り自分なのだから。
知らなかったでは決して済まされない。
『如鬼、鈴静を想うなら堕天使を倒すことが罪滅ぼしになるんじゃないかな?』
彼女の涙は止まらない。
しかし体は鈴静の遺体から離れ、後悔と決意が入り混じりながら、兄である現人の元へ向かった。
「現人くん!」
「夏華ちゃん、あの堕天使を倒せたんだね」
ワーウルフ・ダークエンジェルを殴り倒しながら、現人が返答する。
複雑な気持ちだ。
倒さなければ先には進めなかった。
それでも仲間を殺したことには変わりない。
その光景は光炎も観ている。
沈黙を続けていると言うことは、自分と同じくあまりにもショックだったのだろう。
当たり前だ。
付き合いは彼女の方が長いのだから。
冷静ではいられないまま如鬼は震え声で「う……うん」と返事をする。
現人は彼女の恐怖した様な様子に、不思議に思う。
(なんだろう。夏華ちゃんがこんなにも怯えた声を出したところ、聞いたことがない)
今まで感情を表に出すことをしなかった妹。
それほどの危機的状況だったのか?
それとも大人になって何かが変わったのか?
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