チェンジソルジャーザーガ

ガトリングレックス

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目覚める戦士編

第4話 戦いに慣れし戦士

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幕昰と合流した六問は怪人科の部屋を訪れ、共に入れるように頭を下げた。

「お願いします。もう1度この部署に入らせてください」

「そう言ってもねぇ。君は位が高いんだ。前線で働く必要はないんだよ。それに幕昰くん。六問くんはそもそも警察の人間ではない。我々にはズーシリーズがある。もう彼に頼る必要はない」

上司に断言されてしまった幕昰はそれでも「お願いします」と頭を下げる。
すると光炎が隣に立ち、同じく頭を下げた。

「私からもお願いします。ズースリーの性能は六問さんを超えていません。量産化もまだ整っていないですし、ズーシリーズを集結させるにもかなり時間が掛かるでしょう」

「光炎くん、君はズーシリーズを過信しすぎている。そう言いたいのかね?」

「はい。製作者である私が言うんです。間違いありません」

彼女の熱弁に上司は大きな鼻息を立てると、腕組みをし始める。
そして口を動かした。

「分かった。しかしだよ。もし六問くんと幕昰くんが不祥事を起こしたらすぐに怪人科から出てってもらう。それでいいね」

その発言を聞き、安心した様子で「ありがとうございます」と感謝を幕昰は言った。

それから1日が経過、早朝に出動命令が出たズートレーラーはすぐに現場へ向かう。
運転するのは3人のチームで唯一の男性、鈴静すずしずスズメ。
30代前半で名前から女性だと面と向かう前に勘違いされるのがコンプレックスである。
カーナビの案内に従っていると現場に到着、車両を止めた。

如鬼はズースリーを装着、六問も左手首の腕輪に右手をかざすと電気を纏ってザーガへと姿を変えた。

「六問、いつも通りやれば必ず倒せる。頑張れよ」

幕昰の応援にサムズアップし「はい!」と元気よく返事を返す。
白バイに彼女が乗り込むと、ズートレーラーの後方ハッチが開き出撃して行く。

「じゃあ俺も行って来ます」

「あぁ、任せたぞ」

ザーガは車両から降りると、高く跳び上がり、ズースリーについて行った。

現場に到着すると乾涸ひからびた死体が乱雑に放置されており、その真ん中に堕天使が立っている。

「ようやく来たか。強者よ」

その姿はまるで吸血コウモリと牛の幻獣ミノタウロスを融合させた様な物で、2本の鋭い牙、悪魔を彷彿とさせる2本の角、とんでもない筋肉質なブラウンの体、黒き装飾で身を包んでいる。

「お前! 罪のない人間を何人殺した!」

「罪のない? なにを言っている? 生きていることが罪の人間など、死んで当然だろう」

六問の怒りから放った叫びをバットタウロス・ダークエンジェルは不敵な笑みで返し、バトルアックスを召喚する。

『如鬼、無理は絶対にしちゃダメよ』

「分かりました。これより攻撃に入ります」

スキャンを終えた如鬼がサブマシンガン〈アーチャー〉の銃口を堕天使の左胸に向けて連射する。

「グワ!?」

全弾命中、敵が怯んだところでマガジンを取り外しリロードする。
しかし傷口をすぐさま再生させ、猛突進して来るバットタウロス・ダークエンジェル。
その速度あっという間に60キロを超え、バトルアックスを大きく振りかぶる。

「このぉぉぉ!」

そこにザーガが割り込むと角を掴み、勢いをそのままに投げ飛ばした。

だが黒き翼を大きく広げ荒々しく咆哮を上げると、その場で着地する。

「ふん。人間の強者とはその程度か」

「悪いけどあなたの能力とステータスは把握済み。倒す方法を知っている以上、ここで倒させてもらう」

「そうか、ではそれが事実か、やってみろ! ヲォォォォォォ!」

バトルアックスを構え再び突進を仕掛ける堕天使、それに対してズースリーは白バイに収納された超振動ブレード〈セイバー〉を右腕に装着する。
止まらないバットタウロス・ダークエンジェルに剣先を向けると、腹を貫通し、大量の血が吹き出す。
あまりの勢いに負担が腕へと重くのしかかり「ウッ」と思わず声が出た。

「………あなたの能力は吸血した血を代償に自身を再生させること。再生を続ければいずれ底が尽き撃破可能」

「素晴らしい! 素晴らしいぞ人間! 戦いはこうでなければなぁ!」

人間の策士に喜びながら叫びを上げ、痛みに耐えながらバトルアックスを振りかぶる。

『躱して如鬼!』

「無理です。このまま攻撃を続行します」

大量の返り血を浴びながら命令に逆らい、リロードした〈アーチャー〉でゼロ距離射撃を繰り出す。
思わぬ攻撃に風穴が開けられ吹き飛ばされる堕天使、体を再生しきれず息を切らした様子。
だが戦いを楽しむ彼は高笑いを上げ、バトルアックスをブンブンと振り回す。

(如鬼さん、あの若さで戦いに慣れすぎている。攻めに躊躇ちゅうちょがない。それは戦闘するには向いてるのかもしれないけど……)

彼女のその冷静さ、それを六問には諸刃の剣に見え、嫌な予感がするのだった。
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