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第1話

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「あ、生徒会長だ」
「清き一票をよろしくお願いします!」
高校三年にもなれば、卒業に向けて、後任を探すことになる。
会長は、二年生の男子生徒を推薦したそうだ。
そのため男子生徒の推しポイントの演説、ポスター配布、なんでもやった。
もう時間がないのだろう。会長は焦っているようにも思えた。
私は。

「会長、少し休んでください」
「会長、がんばりすぎじゃないですか?」←

「会長、がんばりすぎじゃないですか?」
会長に声をかける。
会長は、一瞬驚いたような表情で私を見るが、すぐにいつもの笑顔で受け答えをした。
「そんなことはないよ。僕は彼の良さを知ってもらいたいんだ。友人として、人として」
素晴らしい心がけだと思った。会長はとても人がいい。だから好きになったのだ。

「なんだか彼が羨ましいです。私のことも見てほしいな」
「それなら私も協力します。何か手伝えることはありませんか?」←

「それなら私も協力します。何か手伝えることはありませんか?」
「本当か。そうだな、ならきみも彼の良さを知ってほしい。彼と共に過ごし、彼の良さを皆に広めてもらいたいんだ」

>>>>やり直し

「なんだか彼が羨ましいです。私のことも見てほしいな」←
「それなら私も協力します。何か手伝えることはありませんか?」

「なんだか彼が羨ましいです。私のことも見てほしいな」
「えっ……あ、ああ。えと、そう、だな。きみのことも、うん。見てるよ」
会長の白い肌がほんのり赤く染まっている。会長は押しに弱いのかも。それはそれでかわいい。
「会長、私、応援してます。でも無理はしないでくださいね」
「ああ、ありがとう。そうだ、炭酸飲料は飲めるかな。実はさっき自販機でアタリが出てさ。僕は苦手だから飲めなくて」
「え、いいんですか」
「きみが良ければ」
私は会長から炭酸飲料を受け取ると、その炭酸飲料を。

豪快に振り、プルタブを開けた。
会長の頬にぴたりと押し当てた。←

会長の頬にぴたりと押し当てた。
「うわっ」
「あは、会長、びっくりしてる」
「そ、そりゃあいきなり頬に当てられたらびっくりするだろう」
かわいい、会長。耳まで真っ赤。
「あのね、会長」

「私、会長のことが好きだよ」←
「会長は知らないかもしれないけど、会長のことを見ている人はきっといるよ」

「私、会長のことが好きだよ」
「へ」
「会長のことが好き。知らなかったんですか?」
「……ごめん。その、きみのことは好きだけど、僕の思う好きはきみの思う好きとは違うんだ」

>>>>やり直し

「私、会長のことが好きだよ」
「会長は知らないかもしれないけど、会長のことを見ている人はきっといるよ」←

「会長は知らないかもしれないけど、会長のことを見ている人はきっといるよ」
「へ」
「じゃあまた明日! 会長さようならあ」
言い逃げのように走り去る私。これではまるで、ピンポンダッシュみたいだ。
会長はワケがわからないって顔してる。
わからなくていいの。今はまだ、私の胸の中だけに留めておきたいから。
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