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突然ですが、王子だったそうです
三年前の話
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ときは、遡る事三年前。彼ら二人が一緒にした最後の仕事での話だ。
~三年前~
木々は白く染め上げられ、冷たい風が二人の体温を奪っていく。二人は、王都の裏路地を辺りを確認しながらこそこそと歩いていく不審者を、建物の上から追いかけていた。不審者が走れば、彼等も首元に身に着けた黒と白のマフラーが取れないように気を付けながら、追いかけた。
不審者が完全に歩みを止めた。これ以上動かない。と、判断したラモールがオルコの方を見る。
「あいつでいいのか?」
「暗くてよく見えないけど、きっとそうだと思うよ。」
二人はお互いの顔を見て、一つ頷いた。ラモールは、自分の身長より少し小さめな大鎌を、オルコは、五歳児の身長と同じぐらいのサイズのある大剣を構えた。そのまま、建物の上から不審者に向かって飛び降りた。二人は、相手の前に着地をし、睨みつけた。
「な、何の用なんだ?!」
「…迎えに来た。」
それを聞くなり、相手は安堵の笑みを浮かべた。
「やっとか!待ちくたびれたんだ。」
「そうか。なら…」
そう言って、鎌を振り上げ、下げたとたんに相手の首は紅い雫をあたりにまき散らしながら、空を飛んでいくはずだった。
「待って!!」
そう言って、二人の間に飛び込んで来たのはオルコだった。ラモールは、咄嗟に下ろすのをやめようとしたが、彼の筋力では重力には逆らえずに鎌の刃は、オルコの左肩に綺麗に入って行った。
「あっ…えっ…オ、ルコ…?」
何か重いものが落ちる音がした。下を見れば、人の腕が落ち、あたりを赤く染めていた。前には、左腕がなくなり、流れ滴る血を止めようとする相棒の姿。
「彼じゃ…ない…。」
「ぇ…?」
「何だよ…?!」
先程まで笑っていた相手は顔を青くして何処かに走って行ってしまった。
「腕…俺…ごめ「大丈…夫、だから…医者…呼んで…」わ、わかった!すぐ戻るからな!!」
そう告げて、ラモールは走った。冬の冷たい空気のせいで、息を吸う度に肺が痛んだ。それでも、彼は走った。大好きな相棒のために。
医者を呼んで元の場所に戻ると、オルコはそのまま医者によって運ばれた。すぐに後を追おうとしたが、足はなかなか動いてはくれなかった。
(早く、追わなきゃ…!)
(俺のせいなのに…俺にそんな資格無い…)
(今謝れば…許してくれるかも…)
(許してくれる訳…無いよ…)
追いたいが、追えない。ラモールはもどかしくてたまらなかったが、足は一向に動こうとしない。彼は、どんどん遠くなっていくオルコの背中を眺めることしか出来なかった。
最後に二人が一緒に居たのはそれが最後だった。気持ちが落ち着き、会いに行った頃には、オルコは既に医者の元からいなくなっていた。
~現在~
「ごめん…」
三年前の罪悪感から、彼の口からはそんな言葉しか出てこなかった。それと同時に、瞳には涙がたまっていた。
「ごめん。」
遂に耐え切れなくなったのか、彼の瞳からは、決壊したダムのように涙が溢れてきた。
「気にしなくていいから。」
オルコは左手でラモールの頭を撫でながら、右手で零れた涙をすくいとった。
「だから、泣かないで。」
オルコの優しい声に、ラモールの涙は零れる一方だった。
~三年前~
木々は白く染め上げられ、冷たい風が二人の体温を奪っていく。二人は、王都の裏路地を辺りを確認しながらこそこそと歩いていく不審者を、建物の上から追いかけていた。不審者が走れば、彼等も首元に身に着けた黒と白のマフラーが取れないように気を付けながら、追いかけた。
不審者が完全に歩みを止めた。これ以上動かない。と、判断したラモールがオルコの方を見る。
「あいつでいいのか?」
「暗くてよく見えないけど、きっとそうだと思うよ。」
二人はお互いの顔を見て、一つ頷いた。ラモールは、自分の身長より少し小さめな大鎌を、オルコは、五歳児の身長と同じぐらいのサイズのある大剣を構えた。そのまま、建物の上から不審者に向かって飛び降りた。二人は、相手の前に着地をし、睨みつけた。
「な、何の用なんだ?!」
「…迎えに来た。」
それを聞くなり、相手は安堵の笑みを浮かべた。
「やっとか!待ちくたびれたんだ。」
「そうか。なら…」
そう言って、鎌を振り上げ、下げたとたんに相手の首は紅い雫をあたりにまき散らしながら、空を飛んでいくはずだった。
「待って!!」
そう言って、二人の間に飛び込んで来たのはオルコだった。ラモールは、咄嗟に下ろすのをやめようとしたが、彼の筋力では重力には逆らえずに鎌の刃は、オルコの左肩に綺麗に入って行った。
「あっ…えっ…オ、ルコ…?」
何か重いものが落ちる音がした。下を見れば、人の腕が落ち、あたりを赤く染めていた。前には、左腕がなくなり、流れ滴る血を止めようとする相棒の姿。
「彼じゃ…ない…。」
「ぇ…?」
「何だよ…?!」
先程まで笑っていた相手は顔を青くして何処かに走って行ってしまった。
「腕…俺…ごめ「大丈…夫、だから…医者…呼んで…」わ、わかった!すぐ戻るからな!!」
そう告げて、ラモールは走った。冬の冷たい空気のせいで、息を吸う度に肺が痛んだ。それでも、彼は走った。大好きな相棒のために。
医者を呼んで元の場所に戻ると、オルコはそのまま医者によって運ばれた。すぐに後を追おうとしたが、足はなかなか動いてはくれなかった。
(早く、追わなきゃ…!)
(俺のせいなのに…俺にそんな資格無い…)
(今謝れば…許してくれるかも…)
(許してくれる訳…無いよ…)
追いたいが、追えない。ラモールはもどかしくてたまらなかったが、足は一向に動こうとしない。彼は、どんどん遠くなっていくオルコの背中を眺めることしか出来なかった。
最後に二人が一緒に居たのはそれが最後だった。気持ちが落ち着き、会いに行った頃には、オルコは既に医者の元からいなくなっていた。
~現在~
「ごめん…」
三年前の罪悪感から、彼の口からはそんな言葉しか出てこなかった。それと同時に、瞳には涙がたまっていた。
「ごめん。」
遂に耐え切れなくなったのか、彼の瞳からは、決壊したダムのように涙が溢れてきた。
「気にしなくていいから。」
オルコは左手でラモールの頭を撫でながら、右手で零れた涙をすくいとった。
「だから、泣かないで。」
オルコの優しい声に、ラモールの涙は零れる一方だった。
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