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第1章「異世界への異性転生」
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岩崎甚太郎は30歳を迎え、淡々としたサラリーマン生活に嫌気が差していた。
毎日同じような光景、同じような業務に追われ、日々の疲れが抜けず、どんどん溜まっていくような気がしていた。
「はぁ……俺も、もう若くないな」
残業して遅くなった電車に乗り込み、辺りを見回す。
乗客は少なく、まばらに座っているくらいで、立ってる客は一人もいない。
甚太郎は、視線を窓の外へと向けて、そっと呟く。
「異世界転生とか出来たらな……」
その瞬間――。
まばゆい閃光が、まるで夜空に散りばめられた星のように甚太郎を包み込んだ。
甚太郎の心臓は一瞬高鳴り、気が付くと、現実とは異なる場所に立たされていた。
見知らぬ景色に、見知らぬ大地。
周囲を見渡すと、青々とした木が立ち並ぶ中に、ぽっかりと空いた場所には小さな泉、そしてそこから小川が流れている。
木々の隙間からは、甚太郎の住んでいた町ではありえないくらいの碧い空が広がっていた。
甚太郎は、まるで夢の中にいるような錯覚に襲われた。
「これは一体……? え、なんだこの声!?」
戸惑いと興奮が入り混じった声を発する。
今までの男性の声とはあきらかに違う声。
まるで風にそよぐ桜の花びらのような柔らかさを持ち、不思議な安心感を与える少女の声だった。
慌てて自分の姿を見ようと、手を伸ばすと、細くて白い手が甚太郎の視界に入る。
「この手、この声、どういうことだ……?」
自分の喉元に触れ、細い首、声の変化に驚きを隠せない。
言葉を出すたび、それは確実に女性のものとして耳に響いてくる。
「どういうことなんだーーー!!」
と、叫んでみても、叫び声すらとても可愛く、可憐で聞いてて心地が良いくらいだった。
女性の声を自分が出していることに戸惑いながらも、少しずつその新しい身体に慣れていく感覚が湧き上がってきた。
「……これって、俺、女の子になったんだよな?」
甚太郎は自分自身に問いかけてみるものの、心の奥底では確信していた。
なぜなら、視界を少し下げると、大きな胸が自分についているのだから……。
甚太郎は、白い手でその部分に触れ、その感触に驚きと戸惑いと微かな快感に目を細める。
「あ……んっ……」
以前とはまったく異なる身体の感触が、甚太郎の意識に女性としての新たなアイデンティティをもたらしていた。
胸を揉みながら気づいたが、黒の短髪だった甚太郎の髪は、銀色に輝き、お尻にかかるまでの長さになっていた。
風が吹くたび、髪の毛からは、ほんのりと甘い香りが漂い、いつまでも嗅いでいたくなってしまう。
サラリーマンスーツだった服装は、黒いゴシックドレスに変わっていた。
ドレスは大きな胸を強調するかのように、胸の部分だけ生地が変わり、白になっている。
腰はきゅっと引き締められているのか、そのせいで胸はより際どく見える。
スカートから伸びるすらりとした脚には、黒いタイツを履いてるようだ。
今までの岩崎甚太郎とは対照的な存在、新しい自分の姿に、甚太郎は完全に引き込まれてしまった。
「どこかに鏡はないか……?」
今の自分の姿を確認したくて、小さな泉に向かって歩き出すと、しなやかな体の動きに感動を覚えた。
「これ若返ってないか……?」
身体が軽く、膝も痛くない。
この身体に、甚太郎は胸が高鳴りっぱなしだった。
泉は日本ではありえないくらい澄んだ水で、これなら自分の顔を確認できると、好奇心を抑えきれず、水面を覗き込むと――。
――そこには、銀髪に赤い瞳の少女が映っていた。
かつての岩崎甚太郎の面影はどこにもなく、代わりに美しい20代、いや10代の後半くらいだろうかの少女の姿があった。
肌は、白く瑞々しく、体つきは、しなやかな曲線を描ている。
髪に触れると、しっとりとした質感に興奮が込み上げ、初めて感じる美女の髪の感触に心が踊った。
「まさか、こんな美しい身体に変わるとは……」
呟いた後、指先で自分の唇をなぞるってみると、ぷにんっとした感触に戸惑いを感じた。
しばらく、自分の姿に見とれていると――。
「聖女様ー! 聖女様ー!」
と、声が聞こえてきた。
甚太郎は、声のする方に向き直り、様子を伺う。
遠くの方で、同じ制服を着た男女5人がこっちに気づき、走ってくるのが見えた。
甚太郎は、どうするか悩んだが、警戒しつつもその団体が来るのを待っていた。
どこか夢のような異世界に対する不安を感じつつも、心の中には未知への好奇心が勝っていた。
「俺、これからどうなるんだろう……」
毎日同じような光景、同じような業務に追われ、日々の疲れが抜けず、どんどん溜まっていくような気がしていた。
「はぁ……俺も、もう若くないな」
残業して遅くなった電車に乗り込み、辺りを見回す。
乗客は少なく、まばらに座っているくらいで、立ってる客は一人もいない。
甚太郎は、視線を窓の外へと向けて、そっと呟く。
「異世界転生とか出来たらな……」
その瞬間――。
まばゆい閃光が、まるで夜空に散りばめられた星のように甚太郎を包み込んだ。
甚太郎の心臓は一瞬高鳴り、気が付くと、現実とは異なる場所に立たされていた。
見知らぬ景色に、見知らぬ大地。
周囲を見渡すと、青々とした木が立ち並ぶ中に、ぽっかりと空いた場所には小さな泉、そしてそこから小川が流れている。
木々の隙間からは、甚太郎の住んでいた町ではありえないくらいの碧い空が広がっていた。
甚太郎は、まるで夢の中にいるような錯覚に襲われた。
「これは一体……? え、なんだこの声!?」
戸惑いと興奮が入り混じった声を発する。
今までの男性の声とはあきらかに違う声。
まるで風にそよぐ桜の花びらのような柔らかさを持ち、不思議な安心感を与える少女の声だった。
慌てて自分の姿を見ようと、手を伸ばすと、細くて白い手が甚太郎の視界に入る。
「この手、この声、どういうことだ……?」
自分の喉元に触れ、細い首、声の変化に驚きを隠せない。
言葉を出すたび、それは確実に女性のものとして耳に響いてくる。
「どういうことなんだーーー!!」
と、叫んでみても、叫び声すらとても可愛く、可憐で聞いてて心地が良いくらいだった。
女性の声を自分が出していることに戸惑いながらも、少しずつその新しい身体に慣れていく感覚が湧き上がってきた。
「……これって、俺、女の子になったんだよな?」
甚太郎は自分自身に問いかけてみるものの、心の奥底では確信していた。
なぜなら、視界を少し下げると、大きな胸が自分についているのだから……。
甚太郎は、白い手でその部分に触れ、その感触に驚きと戸惑いと微かな快感に目を細める。
「あ……んっ……」
以前とはまったく異なる身体の感触が、甚太郎の意識に女性としての新たなアイデンティティをもたらしていた。
胸を揉みながら気づいたが、黒の短髪だった甚太郎の髪は、銀色に輝き、お尻にかかるまでの長さになっていた。
風が吹くたび、髪の毛からは、ほんのりと甘い香りが漂い、いつまでも嗅いでいたくなってしまう。
サラリーマンスーツだった服装は、黒いゴシックドレスに変わっていた。
ドレスは大きな胸を強調するかのように、胸の部分だけ生地が変わり、白になっている。
腰はきゅっと引き締められているのか、そのせいで胸はより際どく見える。
スカートから伸びるすらりとした脚には、黒いタイツを履いてるようだ。
今までの岩崎甚太郎とは対照的な存在、新しい自分の姿に、甚太郎は完全に引き込まれてしまった。
「どこかに鏡はないか……?」
今の自分の姿を確認したくて、小さな泉に向かって歩き出すと、しなやかな体の動きに感動を覚えた。
「これ若返ってないか……?」
身体が軽く、膝も痛くない。
この身体に、甚太郎は胸が高鳴りっぱなしだった。
泉は日本ではありえないくらい澄んだ水で、これなら自分の顔を確認できると、好奇心を抑えきれず、水面を覗き込むと――。
――そこには、銀髪に赤い瞳の少女が映っていた。
かつての岩崎甚太郎の面影はどこにもなく、代わりに美しい20代、いや10代の後半くらいだろうかの少女の姿があった。
肌は、白く瑞々しく、体つきは、しなやかな曲線を描ている。
髪に触れると、しっとりとした質感に興奮が込み上げ、初めて感じる美女の髪の感触に心が踊った。
「まさか、こんな美しい身体に変わるとは……」
呟いた後、指先で自分の唇をなぞるってみると、ぷにんっとした感触に戸惑いを感じた。
しばらく、自分の姿に見とれていると――。
「聖女様ー! 聖女様ー!」
と、声が聞こえてきた。
甚太郎は、声のする方に向き直り、様子を伺う。
遠くの方で、同じ制服を着た男女5人がこっちに気づき、走ってくるのが見えた。
甚太郎は、どうするか悩んだが、警戒しつつもその団体が来るのを待っていた。
どこか夢のような異世界に対する不安を感じつつも、心の中には未知への好奇心が勝っていた。
「俺、これからどうなるんだろう……」
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