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第十三話 教会へ
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現実世界では嫌なこともあったけど、家に帰ってゲームを前にするとすっかり忘れていた。
「ログインッ!」
目を開けると、僕は「森の町」からは東に位置する「湖の町」の入り口に立っていた。
マモルに助けてもらった後、昨日はここまで送ってもらってログアウトしたのだった。
姿は青銅の鎧と白いワンピースを身に着けた女性アバターに変わっている。
「よし、それじゃ、アコライトに転職するぞ!」
と、意気込んだところで、「パーティチャットが届いてます」とウインドウが表示される。
ウインドウをタップすると、
「アイアさん、こんばんわー」
と、メッセージが表示されたので、僕は返事をその下の空白に書き込む。
「マモルさん、こんばんわー」
と、チャットを返し、ウインドウを閉じて顔を上げると、目の前にマモルが立っていた。
「うわぁ!」
僕は思わず尻餅をつきそうなくらい驚いてしまった。
「こんばんわ」
と、何事もなかったかのように挨拶をするマモル。
「もぅ、ビックリしましたよー!」
「チャットに夢中になってると危ないというのを実践で伝えてみました」
昨日助けてもらった時は、真面目な方だと思っていたけど、意外に茶目っ気もあるみたいだ。
「ぼ、わ、私は今からアコライトに転職してきます」
「はい、いってらっしゃい、アコライトへの転職は昨日説明した通り、町にある教会に行って、いくつかのおつかいクエストをするだけだから」
「では、いってきます!」
「あ、待って、これを渡すためにきたんだ」
そう言ってマモルはウインドウを操作して僕にトレードを申請してくる。
「たぶん、転職のクエで必要になるアイテムだから貰って?」
「え、そんな、悪いですよ!」
「いいんだ、どうせ、この辺でとれる簡単なドロップアイテムだから……それに転職したら、俺とパーティ組むんだから先行投資だと思ってくれたらいいよ」
申し訳ないと思いつつ、僕はトレードを承諾した。
「わかりました、すいません、この恩は必ず返しますので」
「ははは、そこまで気にしなくてもいいさ、それより、頑張ってね」
「はい、では、いってきます」
僕は優しくしてくれたマモルにドキドキしながら、ペコリと頭を下げると、教えてもらった教会へと向かった。
教会に入ると、神父さんが一人教会の掃除をしていた。
僕の存在に気付くと、
「おや? お祈りですかな?」
と、掃除の手を止めて尋ねてくる。
お祈りとは、呪いの装備や、呪いデバフを解除する方法だ。
他にも方法はあるらしいが、一番簡単なのが、教会でお祈りをしてもらうことらしい。
「いえ、アコライトへの転職に来ました」
僕がそう答えると、神父の目に鋭さが増したような気がした。
「そうですか、では、この紙に書いてあるものを村はずれにある孤児院に届けてきてください」
紙を渡され、目を通すと、さっきマモルにもらったアイテムの一部だった。
きっと届けるアイテムはランダムで、その全てのアイテムをマモルは用意してくれたのだろう。
「ありがとう」と心の中でお礼を言い、神父さんに一礼してから、僕は孤児院へと向かった。
「ログインッ!」
目を開けると、僕は「森の町」からは東に位置する「湖の町」の入り口に立っていた。
マモルに助けてもらった後、昨日はここまで送ってもらってログアウトしたのだった。
姿は青銅の鎧と白いワンピースを身に着けた女性アバターに変わっている。
「よし、それじゃ、アコライトに転職するぞ!」
と、意気込んだところで、「パーティチャットが届いてます」とウインドウが表示される。
ウインドウをタップすると、
「アイアさん、こんばんわー」
と、メッセージが表示されたので、僕は返事をその下の空白に書き込む。
「マモルさん、こんばんわー」
と、チャットを返し、ウインドウを閉じて顔を上げると、目の前にマモルが立っていた。
「うわぁ!」
僕は思わず尻餅をつきそうなくらい驚いてしまった。
「こんばんわ」
と、何事もなかったかのように挨拶をするマモル。
「もぅ、ビックリしましたよー!」
「チャットに夢中になってると危ないというのを実践で伝えてみました」
昨日助けてもらった時は、真面目な方だと思っていたけど、意外に茶目っ気もあるみたいだ。
「ぼ、わ、私は今からアコライトに転職してきます」
「はい、いってらっしゃい、アコライトへの転職は昨日説明した通り、町にある教会に行って、いくつかのおつかいクエストをするだけだから」
「では、いってきます!」
「あ、待って、これを渡すためにきたんだ」
そう言ってマモルはウインドウを操作して僕にトレードを申請してくる。
「たぶん、転職のクエで必要になるアイテムだから貰って?」
「え、そんな、悪いですよ!」
「いいんだ、どうせ、この辺でとれる簡単なドロップアイテムだから……それに転職したら、俺とパーティ組むんだから先行投資だと思ってくれたらいいよ」
申し訳ないと思いつつ、僕はトレードを承諾した。
「わかりました、すいません、この恩は必ず返しますので」
「ははは、そこまで気にしなくてもいいさ、それより、頑張ってね」
「はい、では、いってきます」
僕は優しくしてくれたマモルにドキドキしながら、ペコリと頭を下げると、教えてもらった教会へと向かった。
教会に入ると、神父さんが一人教会の掃除をしていた。
僕の存在に気付くと、
「おや? お祈りですかな?」
と、掃除の手を止めて尋ねてくる。
お祈りとは、呪いの装備や、呪いデバフを解除する方法だ。
他にも方法はあるらしいが、一番簡単なのが、教会でお祈りをしてもらうことらしい。
「いえ、アコライトへの転職に来ました」
僕がそう答えると、神父の目に鋭さが増したような気がした。
「そうですか、では、この紙に書いてあるものを村はずれにある孤児院に届けてきてください」
紙を渡され、目を通すと、さっきマモルにもらったアイテムの一部だった。
きっと届けるアイテムはランダムで、その全てのアイテムをマモルは用意してくれたのだろう。
「ありがとう」と心の中でお礼を言い、神父さんに一礼してから、僕は孤児院へと向かった。
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