7 / 7
エンター7「わかりあいバックスペース」
しおりを挟む
二人きりのパソコン教室。
タイプの違う美少女二人が抱き合ったまま、身体を解されて、涙で緊張が流れたのか、ゆっくりと桃菜は語りだした。
中学生チャンピオンになる少し前から、女性特有の胸のふくらみがどんどん増していったことが全ての原因だった。
そのふくらみのせいで、肩がこり、タイピングスピードが遅くなっていったこと。
さらには、他の人たちから奇異な視線を投げられるようになり、胸で相手選手を誘惑して勝った、とまで言われるようになった。
タイピングで有名な三神打高校に入るも、気にしていることを同級生達が影でヒソヒソと話す声が聞こえていた。
キーボードにあたって邪魔にしかならない胸のせいで、タイピング速度はどんどん下がっていった。
「顧問の先生にまで胸の事を言われて……私……、クラスにも部活にも居場所が無くなって……なんだかもう全部嫌になって……」
そして、タイピングを辞めた桃菜は転校を余儀なくされたのだ……。
「……ひっぅ……タイピングから逃げて、……自分から逃げて……私何してるんだろう……」
涙しながらも、桃菜はこれまでの話を炎理に伝えていった。
炎理に抱かれて、今までため込んでいたものを一気にはきだしていく。
「……っ、だから、私……転校したらタイピングはしないって……決めてたのに……うぅぅ」
「うん、うん……そうだったんだね、うん……」
炎理は、ぎゅっ、と桃菜の不安を取り除くよう抱きしめていた腕に力をこめる。
「胸なんか大きくなってほしくなかった! 私は普通にタイピングがしたいだけなのに……っ!」
ずっと言えなかった。
心の奥でたまっていた感情。
桃菜は全てさらけ出していく。
「なんで! なんで! 胸なんて……! 私はタイピングが……胸なんかより、タイピングが……っ!」
炎理は、黙って頷く。
「石豪華さん、私……」
桃菜は、抱きしめてくれている、炎理の両手に手を添えて、顔を傾け、すぐ近くの炎理の瞳を見つめて言う。
「タイピングがしたいです……」
取り乱していた心が、少しずつ落ち着いてくる。
炎理が、うんっと頷くと、二人のおでこがコツンとぶつかりあった。
――その時、パソコン教室の扉が勢いよく開いた。
「炎理、桃原さん、HR終わったから! 二人してサボって目立って男の子から気にしてもらおうだなんて許さないからっ」
ずかずかと、之乃美が入ってきた。
桃菜と炎理はお互いに顔を見合わせると、微笑み立ち上がった。
炎理と桃菜はとても軽やかな顔で、手を繋いでパソコン教室を後にしたのだった。
タイプの違う美少女二人が抱き合ったまま、身体を解されて、涙で緊張が流れたのか、ゆっくりと桃菜は語りだした。
中学生チャンピオンになる少し前から、女性特有の胸のふくらみがどんどん増していったことが全ての原因だった。
そのふくらみのせいで、肩がこり、タイピングスピードが遅くなっていったこと。
さらには、他の人たちから奇異な視線を投げられるようになり、胸で相手選手を誘惑して勝った、とまで言われるようになった。
タイピングで有名な三神打高校に入るも、気にしていることを同級生達が影でヒソヒソと話す声が聞こえていた。
キーボードにあたって邪魔にしかならない胸のせいで、タイピング速度はどんどん下がっていった。
「顧問の先生にまで胸の事を言われて……私……、クラスにも部活にも居場所が無くなって……なんだかもう全部嫌になって……」
そして、タイピングを辞めた桃菜は転校を余儀なくされたのだ……。
「……ひっぅ……タイピングから逃げて、……自分から逃げて……私何してるんだろう……」
涙しながらも、桃菜はこれまでの話を炎理に伝えていった。
炎理に抱かれて、今までため込んでいたものを一気にはきだしていく。
「……っ、だから、私……転校したらタイピングはしないって……決めてたのに……うぅぅ」
「うん、うん……そうだったんだね、うん……」
炎理は、ぎゅっ、と桃菜の不安を取り除くよう抱きしめていた腕に力をこめる。
「胸なんか大きくなってほしくなかった! 私は普通にタイピングがしたいだけなのに……っ!」
ずっと言えなかった。
心の奥でたまっていた感情。
桃菜は全てさらけ出していく。
「なんで! なんで! 胸なんて……! 私はタイピングが……胸なんかより、タイピングが……っ!」
炎理は、黙って頷く。
「石豪華さん、私……」
桃菜は、抱きしめてくれている、炎理の両手に手を添えて、顔を傾け、すぐ近くの炎理の瞳を見つめて言う。
「タイピングがしたいです……」
取り乱していた心が、少しずつ落ち着いてくる。
炎理が、うんっと頷くと、二人のおでこがコツンとぶつかりあった。
――その時、パソコン教室の扉が勢いよく開いた。
「炎理、桃原さん、HR終わったから! 二人してサボって目立って男の子から気にしてもらおうだなんて許さないからっ」
ずかずかと、之乃美が入ってきた。
桃菜と炎理はお互いに顔を見合わせると、微笑み立ち上がった。
炎理と桃菜はとても軽やかな顔で、手を繋いでパソコン教室を後にしたのだった。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。



I’m 無乳首少女。
緩街◦璃名
青春
地に垂直な胸と三段腹が特徴的な女子高生‘’部稜 痴舞美”(べそば ちまみ)は、ことごとく純情だった。その平らな胸の内には、ある男への復讐心がふつふつと燃え続けていた。
ちょっと見して…。…。
やっぱりあいつに…食われたのね!!
そう、彼女には片乳首が無いのである。
少女が好きになった男は、"逐西 七麻"(ちくにし びちお)。彼は端正な顔立ちから、数多の女が彼の腕中で鳴いたという。
だが彼には、乳首を食らうことが好きな
異常性癖の持ち主で━━!?
乳首を巡る復讐×青春の究極アタオカ・ラブストーリー!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる