31 / 36
31 【番外編】別荘に行こう3
しおりを挟む
夜の帳が降りる時間、ロジェはクタクタに疲れた身体をベッドに横たわっていた。今日は色々とありすぎたので、眠気が襲いまぶたが閉じそうになった時に、体の後ろにいつもの感触がやってきてロジェの身体を抱きしめた。
「ロジェくん!ごめん!調子に乗ったのは悪かったから許してよ」
「……カラスバくん、眠いからもう寝かせて……」
「やだ!許してくれるまで寝させない!」
昼間はカラスバの弟達の前で性愛を見せる学びをして、その後は全身やベッドやビショビショになるくらい性行為をしてしまった。正気に戻ったさすがにロジェは怒ってしまい、夕食はカラスバとは口を聞かなかった。ちなみに夕食は別荘近くの農家の人に食事を作ってもらった。美味しかった。
「ねー許して!でないと僕、泣いちゃう!嫌わないで!」
カラスバがロジェを後ろから抱きしめて叫んでいる。うるさいし、ロジェは面倒くさくなってしまい許すことにした。
「あーもう、許すよ……明日は勉強しないと……っ…すぅすぅ…むにゃむにゃ……」
ロジェは深い眠りに落ちてしまった。カラスバはロジェの頬にキスを落とす。
「ロジェくんありがとう!あっ……寝ちゃったのか……あれだけヤッたからなあ……アイスミの言うとおりにロジェくんに無理させ過ぎかも」
ロジェの身体を自分に向けさせてそっと抱きしめる。胸にロジェの呼吸と体温を感じて、カラスバに温かい感情が芽生えそうになる。
「たまにはこうしてセックスしないのもいいかも……いや睡眠姦って手があったか。フフフフフ……」
邪悪な笑顔のカラスバはゆっくりとロジェの寝間着を脱がし始めた。
++++++++++++++++++++++++++++++++
「ロジェさん、兄さんと喧嘩したんですか?」
大きめのデスクで勉強していたロジェは、同じデスクで難しそうな本を読んでいるアイスミに聞かれた。
「いやー喧嘩ってわけじゃないけど……カラスバくんが僕に許可を取らずに勝手に……その……したから怒っただけで……」
ロジェはとても曖昧な言い方で濁す。睡眠中に犯されてしまい、ロジェが夜中に起きた時にはすでに身体は発情しており、またカラスバと性行為をしまくるハメになってしまった。
「兄さんはロジェさんに甘えすぎですからね。少しは厳しく接したしたほうがいいんですよ」
ペラリと本のページをめくるアイスミの顔は涼し気だ。朝食時に、機嫌が悪いままのロジェに必死に謝るカラスバにアイスミが「兄さんうるさいよ」とカラスバを部屋に閉じ込めたので、ロジェは今は静かにテスト勉強に集中できている。
「カラスバくんが部屋から出られない魔術をかけれるなんて、アイスミくんは凄いんだね」
「二重三重にかけただけなんで、兄さんなら昼食前には出てきそうですけどね。あっ、ロジェさん、そこは引っ掛け問題ですよ。そこの魔術式は……」
勉強しているロジェに年下とはいえアイスミが教えてくれるのは助かる。
「ロジェさん、兄さんの助手だけあってできてますね」
「カラバくんに色々と教えてもらったからかな。それにしてもアイスミくん、まだ学園入学してないのに僕よりはるかに勉強できてすごいね!」
「兄さん達に比べるとまだ学びが足りなくて……あっロジェさん、兄さんが部屋から出たみたいですよ。僕の魔術が破壊されました」
ロジェとアイスミがいる部屋の扉がいきなり開け放たれて、カラスバがズカズカと入ってくる。
「アイスミ!酷いじゃないか!僕を閉じ込めて!」
「兄さんがあんまりにもウザ……うるさかったのでつい。すいませんでした」
「今、ウザいって言わなかったか?まあいい。ロジェくん!僕がいない間、アイスミと二人きりで勉強しててひどいよ!これは浮気一歩手前だよ!」
「教えてもらってただけだよ……」
「なら僕が教えるよ」
カラスバは満面の笑みでニッコリとロジェに笑うが、ロジェは反撃した。
「カラスバくん、今度、提出する論文まとめた?まだやってないよね?」
「あっ、忘れてた……!」
「魔術学会に発表するんでしょ?僕はアイスミくんに教えてもらうから、カラスバくんは論文やらないと」
「……うっ……わかったよ。アイスミ!勉強を教えたお礼にロジェくんに筆下ろしをお願いとかしないように!」
「しませんよ……」
「じゃあロジェくん後でね!急いで片付けるから」
カラスバはそう言うと風の速さで部屋から出ていった。部屋にはロジェとアイスミが残された。
「兄さんは普段からロジェさんにあんな風なんですか?大変ですね」
「……う…うん……」
アイスミに激しく同情されてしまい、ロジェはうまく答えることができなかった。
+++++++++++++++++++
「ロジェくん!アイスミ!論文、終わったぞ!」
本気を出したカラスバは論文をすごい速さで終わらせて、ロジェ達が勉強していた部屋に入るが誰もいなかった。
「二人がいない……やはり二人は僕のいない間に筆下ろしセックスでもしてるんじゃ……ん?メモがある」
机の上にロジェの文字で書かれたメモが置いてあり、カラスバは手にとって読む。
――勉強が終わって、シコクくんとウスズミくんに誘われたので湖に行きます。ロジェより ――
メモを読んだカラスバは、転移魔術で別荘の近く にある湖まで一瞬で転移する。湖近くの短い草が生えた場所の木陰に、敷物の上にアイスミが座って読書をしていた。カラスバは歩いてアイスミに近寄った。
「ああ、兄さん、論文は終わりましたか」
「酷いじゃないかアイスミ。僕を残してロジェくんと湖にくるなんて」
「シコクとウスズミがロジェさんとボートに乗りたいって言ったから着いてきたまでです。論文を終わらせてない兄さんが悪いのでは」
「……もう終わらせたからいいんだよ。あいつら、ボートの上でロジェくんといかがわしいことをしてないだろうな」
「してませんよ。兄さんじゃあるまいし」
湖の方を見ると、遠くにボートに乗った三人が見えた。ロジェは櫂で漕ぐ担当らしく、シコクとウスズミは水面に指を指して魚を探しているようだった。カラスバに気づいたのか、シコクとウスズミが両手を振って、その後にロジェが手を振っていた。木陰にいたアイスミが立ち上がって手を振り返した。
「ロジェさん、結構面倒見いいですよね。兄さんのお守りしてるだけありますよね」
「お守りじゃない。助手だから。戻ってきたら次は僕がロジェくんとボートに乗るからな!」
「シコク達に対抗してどうするんですか……」
ボートの近くに水鳥が止まり、シコクとウスズミが興味津々で水鳥をみている。ロジェは二人に話しかけて笑っているようだった。
+++++++++++++++++++++++
「シコクくんとウスズミくん、落ちないように気をつけてね」
「「はーい」」
ボートを漕ぐ手を休めて、ロジェは水面下の魚を興味津々見ているシコクとウスズミを見守るように見ていた。
『僕も弟がいたら良かったなあ。こんな感じでかわいいのかも』
ロジェは姉しかいないので、二人を見てそう考えていると、シコクとウスズミが湖畔にカラスバが来ていることに気づいて手をふる。
「兄さんだ!」
「兄さーん!」
ロジェも湖畔のカラスバに向けて手を振るが、昨夜の睡眠中に犯されたことを未だ気にしてしまう。
『はあ……いつものこととはいえ、こうも毎日だと疲れる……このままでは僕が淫乱になってしまう……いや、僕が悪いんじゃないカラスバくんが性欲旺盛なのがよくないんだ。なにか性欲を抑える薬……性欲を抑えるポーションを作ればいいのでは……?』
ロジェが新たなポーションの案を考えていると、シコクとウスズミに声をかけられてロジェは我に返る。
「ロジェさん!鳥いますよ!」
「あ、本当だ」
「鳥さん、かわいいですね」
鳥が水面を泳いだあとに波紋が広がる。それを見つめていると、シコクとウスズミの視線を感じて目を上げた。
「ロジェさんはカラスバ兄さんのことが好きなんですよね?」
「えっと……」
ロジェは言葉に詰まってしまう。カラスバと関係を持ったのは脅されて無理矢理だったからだ。しかし今では認めたくはないが、ロジェは身体も精神も隷属してしまっている。これは普通の恋人の関係ではないとロジェは思うが、年下すぎるシコクとウスズミに言っていいものではない。
「僕達に性愛を見せる実技の相手のロジェさんはカラスバ兄さんにとって大切な人だと思います」
「真剣な相手でないと、性愛の実技しないよね」
シコクとウスズミはそう言うが、普通は弟達に性行為は見せないが、この二人もあのカラスバの弟なので普通の常識ではないのだろうとロジェは思い背筋が寒くなる。
「「ロジェさん、兄さんをよろしくお願いしますね」」
「はは……」
シコクとウスズミ二人から同時に言われてしまい、ロジェは曖昧に笑うしかなかった。
++++++++++++++++++++++++
夜になり、カラスバは廊下を歩いてロジェの部屋に向かっていた。昼間はシコクとウスズミがロジェに遊んでもらう言って、ロジェは二人の相手をして本を読んだりカードゲームを付き合うなどして、まったくカラスバに構う暇はなかった。
『昨夜はロジェくんに無理させて怒らせてしまったから、今日は一緒に寝るだけにしよう。我慢できるように善処しよう』
ロジェの部屋のドアをそっと開けると、すでに室内は暗くもう寝ているようだ。音を出さないようにゆっくりとベッドの近くまで歩いていくと、寝ているロジェの身体の膨らみがいつもよりやけに大きかった。
「…………」
不思議に思いながらもカラスバがロジェの身体にかかっている毛布を剥がすと、寝ているロジェの両脇にシコクとウスズミが寄り添うようにぐっすりと寝ていた。それを見たカラスバはロジェに静音魔術をかけてから、シコクとウスズミの身体を揺すって起こす。
「シコク!ウスズミ!起きろ!自分達の部屋に帰れ!」
「うーん、兄さん?まだ朝じゃないよ」
「兄さんもロジェさんと一緒に寝にきたの?」
目をこすりながらシコクとウスズミはカラスバに答える。
「ロジェくんと一緒に寝ていいのは僕だけだ!お前達は部屋に帰って寝なさい!」
「兄さんのケチ!」
「ケチ!」
抗議する二人をカラスバは転移魔術を使って無理矢理部屋に戻した。静かになった室内に寝ているロジェとカラスバの二人きりとなり、ロジェにかけていた静音魔術を解除する。
「これでよし」
「……うん……、あれ?カラスバくん……」
目を覚ましたロジェが身体を起こしてカラスバの方を見る。カラスバはベッドに入り、ロジェの肩を抱いて顔を近づけた。
「シコクくんとウスズミくんは?」
「あの二人は自分達の部屋に戻ったよ。まったくいい年してロジェくんと寝たいなんて子供すぎるよね」
「カラスバくんも自分の部屋に戻ったら……?」
自分のことを棚に上げたカラスバを横目で見つつロジェがそう言うと、カラスバはロジェをベッドに押し倒す。
「酷いよ!僕とロジェくんの仲なのにそんなこというなんて!ロジェくんと寝るのは僕だけだよ!」
またカラスバが我儘を言い始めて、ロジェはため息を付きたくなるが、自分の体に伸し掛かってくるカラスバの背中に腕を回し抱きしめる。
「……わかったから……ほら、もう寝ようよ。」
「うん!」
覆いかぶさるカラスバに言い聞かせるようにロジェは言う。すると、カラスバがロジェの顔に頬ずりをしねだるように身体を密着させる。寝る気が本当にあるのか……とロジェは思っていると、カラスバに口を塞がれて舌を絡め取られて吸われしまう。
「んんっ……カラスバくん……寝るって言ったよね……?」
「一回だけならいいよね?ね?」
そう言ってカラスバはロジェの脚の間を膝で開いて、自身の硬くなった中心を当ててくる。
「……一回だけなら……」
「やった!ロジェくん大好き!」
額にキスを落としカラスバは嬉しそうに笑う。いつも押し切られてしまうロジェは微妙に嫌そうな顔をしているものの、すでに先程のキスで身体は発情していた。
「ほんと一回だけだよ」
「うん」
しかし昨日と同じように一回だけでは終わらず、何回もカラスバに絶頂させられてしまい、別荘にいる間はカラスバとその弟達にロジェは振り回されてしまったのであった。
学園に戻りその後のテストは上位になったものの、もう別荘は懲り懲りだ……とロジェは返ってきたテスト結果を見て思ったのであった。
「ロジェくん!ごめん!調子に乗ったのは悪かったから許してよ」
「……カラスバくん、眠いからもう寝かせて……」
「やだ!許してくれるまで寝させない!」
昼間はカラスバの弟達の前で性愛を見せる学びをして、その後は全身やベッドやビショビショになるくらい性行為をしてしまった。正気に戻ったさすがにロジェは怒ってしまい、夕食はカラスバとは口を聞かなかった。ちなみに夕食は別荘近くの農家の人に食事を作ってもらった。美味しかった。
「ねー許して!でないと僕、泣いちゃう!嫌わないで!」
カラスバがロジェを後ろから抱きしめて叫んでいる。うるさいし、ロジェは面倒くさくなってしまい許すことにした。
「あーもう、許すよ……明日は勉強しないと……っ…すぅすぅ…むにゃむにゃ……」
ロジェは深い眠りに落ちてしまった。カラスバはロジェの頬にキスを落とす。
「ロジェくんありがとう!あっ……寝ちゃったのか……あれだけヤッたからなあ……アイスミの言うとおりにロジェくんに無理させ過ぎかも」
ロジェの身体を自分に向けさせてそっと抱きしめる。胸にロジェの呼吸と体温を感じて、カラスバに温かい感情が芽生えそうになる。
「たまにはこうしてセックスしないのもいいかも……いや睡眠姦って手があったか。フフフフフ……」
邪悪な笑顔のカラスバはゆっくりとロジェの寝間着を脱がし始めた。
++++++++++++++++++++++++++++++++
「ロジェさん、兄さんと喧嘩したんですか?」
大きめのデスクで勉強していたロジェは、同じデスクで難しそうな本を読んでいるアイスミに聞かれた。
「いやー喧嘩ってわけじゃないけど……カラスバくんが僕に許可を取らずに勝手に……その……したから怒っただけで……」
ロジェはとても曖昧な言い方で濁す。睡眠中に犯されてしまい、ロジェが夜中に起きた時にはすでに身体は発情しており、またカラスバと性行為をしまくるハメになってしまった。
「兄さんはロジェさんに甘えすぎですからね。少しは厳しく接したしたほうがいいんですよ」
ペラリと本のページをめくるアイスミの顔は涼し気だ。朝食時に、機嫌が悪いままのロジェに必死に謝るカラスバにアイスミが「兄さんうるさいよ」とカラスバを部屋に閉じ込めたので、ロジェは今は静かにテスト勉強に集中できている。
「カラスバくんが部屋から出られない魔術をかけれるなんて、アイスミくんは凄いんだね」
「二重三重にかけただけなんで、兄さんなら昼食前には出てきそうですけどね。あっ、ロジェさん、そこは引っ掛け問題ですよ。そこの魔術式は……」
勉強しているロジェに年下とはいえアイスミが教えてくれるのは助かる。
「ロジェさん、兄さんの助手だけあってできてますね」
「カラバくんに色々と教えてもらったからかな。それにしてもアイスミくん、まだ学園入学してないのに僕よりはるかに勉強できてすごいね!」
「兄さん達に比べるとまだ学びが足りなくて……あっロジェさん、兄さんが部屋から出たみたいですよ。僕の魔術が破壊されました」
ロジェとアイスミがいる部屋の扉がいきなり開け放たれて、カラスバがズカズカと入ってくる。
「アイスミ!酷いじゃないか!僕を閉じ込めて!」
「兄さんがあんまりにもウザ……うるさかったのでつい。すいませんでした」
「今、ウザいって言わなかったか?まあいい。ロジェくん!僕がいない間、アイスミと二人きりで勉強しててひどいよ!これは浮気一歩手前だよ!」
「教えてもらってただけだよ……」
「なら僕が教えるよ」
カラスバは満面の笑みでニッコリとロジェに笑うが、ロジェは反撃した。
「カラスバくん、今度、提出する論文まとめた?まだやってないよね?」
「あっ、忘れてた……!」
「魔術学会に発表するんでしょ?僕はアイスミくんに教えてもらうから、カラスバくんは論文やらないと」
「……うっ……わかったよ。アイスミ!勉強を教えたお礼にロジェくんに筆下ろしをお願いとかしないように!」
「しませんよ……」
「じゃあロジェくん後でね!急いで片付けるから」
カラスバはそう言うと風の速さで部屋から出ていった。部屋にはロジェとアイスミが残された。
「兄さんは普段からロジェさんにあんな風なんですか?大変ですね」
「……う…うん……」
アイスミに激しく同情されてしまい、ロジェはうまく答えることができなかった。
+++++++++++++++++++
「ロジェくん!アイスミ!論文、終わったぞ!」
本気を出したカラスバは論文をすごい速さで終わらせて、ロジェ達が勉強していた部屋に入るが誰もいなかった。
「二人がいない……やはり二人は僕のいない間に筆下ろしセックスでもしてるんじゃ……ん?メモがある」
机の上にロジェの文字で書かれたメモが置いてあり、カラスバは手にとって読む。
――勉強が終わって、シコクくんとウスズミくんに誘われたので湖に行きます。ロジェより ――
メモを読んだカラスバは、転移魔術で別荘の近く にある湖まで一瞬で転移する。湖近くの短い草が生えた場所の木陰に、敷物の上にアイスミが座って読書をしていた。カラスバは歩いてアイスミに近寄った。
「ああ、兄さん、論文は終わりましたか」
「酷いじゃないかアイスミ。僕を残してロジェくんと湖にくるなんて」
「シコクとウスズミがロジェさんとボートに乗りたいって言ったから着いてきたまでです。論文を終わらせてない兄さんが悪いのでは」
「……もう終わらせたからいいんだよ。あいつら、ボートの上でロジェくんといかがわしいことをしてないだろうな」
「してませんよ。兄さんじゃあるまいし」
湖の方を見ると、遠くにボートに乗った三人が見えた。ロジェは櫂で漕ぐ担当らしく、シコクとウスズミは水面に指を指して魚を探しているようだった。カラスバに気づいたのか、シコクとウスズミが両手を振って、その後にロジェが手を振っていた。木陰にいたアイスミが立ち上がって手を振り返した。
「ロジェさん、結構面倒見いいですよね。兄さんのお守りしてるだけありますよね」
「お守りじゃない。助手だから。戻ってきたら次は僕がロジェくんとボートに乗るからな!」
「シコク達に対抗してどうするんですか……」
ボートの近くに水鳥が止まり、シコクとウスズミが興味津々で水鳥をみている。ロジェは二人に話しかけて笑っているようだった。
+++++++++++++++++++++++
「シコクくんとウスズミくん、落ちないように気をつけてね」
「「はーい」」
ボートを漕ぐ手を休めて、ロジェは水面下の魚を興味津々見ているシコクとウスズミを見守るように見ていた。
『僕も弟がいたら良かったなあ。こんな感じでかわいいのかも』
ロジェは姉しかいないので、二人を見てそう考えていると、シコクとウスズミが湖畔にカラスバが来ていることに気づいて手をふる。
「兄さんだ!」
「兄さーん!」
ロジェも湖畔のカラスバに向けて手を振るが、昨夜の睡眠中に犯されたことを未だ気にしてしまう。
『はあ……いつものこととはいえ、こうも毎日だと疲れる……このままでは僕が淫乱になってしまう……いや、僕が悪いんじゃないカラスバくんが性欲旺盛なのがよくないんだ。なにか性欲を抑える薬……性欲を抑えるポーションを作ればいいのでは……?』
ロジェが新たなポーションの案を考えていると、シコクとウスズミに声をかけられてロジェは我に返る。
「ロジェさん!鳥いますよ!」
「あ、本当だ」
「鳥さん、かわいいですね」
鳥が水面を泳いだあとに波紋が広がる。それを見つめていると、シコクとウスズミの視線を感じて目を上げた。
「ロジェさんはカラスバ兄さんのことが好きなんですよね?」
「えっと……」
ロジェは言葉に詰まってしまう。カラスバと関係を持ったのは脅されて無理矢理だったからだ。しかし今では認めたくはないが、ロジェは身体も精神も隷属してしまっている。これは普通の恋人の関係ではないとロジェは思うが、年下すぎるシコクとウスズミに言っていいものではない。
「僕達に性愛を見せる実技の相手のロジェさんはカラスバ兄さんにとって大切な人だと思います」
「真剣な相手でないと、性愛の実技しないよね」
シコクとウスズミはそう言うが、普通は弟達に性行為は見せないが、この二人もあのカラスバの弟なので普通の常識ではないのだろうとロジェは思い背筋が寒くなる。
「「ロジェさん、兄さんをよろしくお願いしますね」」
「はは……」
シコクとウスズミ二人から同時に言われてしまい、ロジェは曖昧に笑うしかなかった。
++++++++++++++++++++++++
夜になり、カラスバは廊下を歩いてロジェの部屋に向かっていた。昼間はシコクとウスズミがロジェに遊んでもらう言って、ロジェは二人の相手をして本を読んだりカードゲームを付き合うなどして、まったくカラスバに構う暇はなかった。
『昨夜はロジェくんに無理させて怒らせてしまったから、今日は一緒に寝るだけにしよう。我慢できるように善処しよう』
ロジェの部屋のドアをそっと開けると、すでに室内は暗くもう寝ているようだ。音を出さないようにゆっくりとベッドの近くまで歩いていくと、寝ているロジェの身体の膨らみがいつもよりやけに大きかった。
「…………」
不思議に思いながらもカラスバがロジェの身体にかかっている毛布を剥がすと、寝ているロジェの両脇にシコクとウスズミが寄り添うようにぐっすりと寝ていた。それを見たカラスバはロジェに静音魔術をかけてから、シコクとウスズミの身体を揺すって起こす。
「シコク!ウスズミ!起きろ!自分達の部屋に帰れ!」
「うーん、兄さん?まだ朝じゃないよ」
「兄さんもロジェさんと一緒に寝にきたの?」
目をこすりながらシコクとウスズミはカラスバに答える。
「ロジェくんと一緒に寝ていいのは僕だけだ!お前達は部屋に帰って寝なさい!」
「兄さんのケチ!」
「ケチ!」
抗議する二人をカラスバは転移魔術を使って無理矢理部屋に戻した。静かになった室内に寝ているロジェとカラスバの二人きりとなり、ロジェにかけていた静音魔術を解除する。
「これでよし」
「……うん……、あれ?カラスバくん……」
目を覚ましたロジェが身体を起こしてカラスバの方を見る。カラスバはベッドに入り、ロジェの肩を抱いて顔を近づけた。
「シコクくんとウスズミくんは?」
「あの二人は自分達の部屋に戻ったよ。まったくいい年してロジェくんと寝たいなんて子供すぎるよね」
「カラスバくんも自分の部屋に戻ったら……?」
自分のことを棚に上げたカラスバを横目で見つつロジェがそう言うと、カラスバはロジェをベッドに押し倒す。
「酷いよ!僕とロジェくんの仲なのにそんなこというなんて!ロジェくんと寝るのは僕だけだよ!」
またカラスバが我儘を言い始めて、ロジェはため息を付きたくなるが、自分の体に伸し掛かってくるカラスバの背中に腕を回し抱きしめる。
「……わかったから……ほら、もう寝ようよ。」
「うん!」
覆いかぶさるカラスバに言い聞かせるようにロジェは言う。すると、カラスバがロジェの顔に頬ずりをしねだるように身体を密着させる。寝る気が本当にあるのか……とロジェは思っていると、カラスバに口を塞がれて舌を絡め取られて吸われしまう。
「んんっ……カラスバくん……寝るって言ったよね……?」
「一回だけならいいよね?ね?」
そう言ってカラスバはロジェの脚の間を膝で開いて、自身の硬くなった中心を当ててくる。
「……一回だけなら……」
「やった!ロジェくん大好き!」
額にキスを落としカラスバは嬉しそうに笑う。いつも押し切られてしまうロジェは微妙に嫌そうな顔をしているものの、すでに先程のキスで身体は発情していた。
「ほんと一回だけだよ」
「うん」
しかし昨日と同じように一回だけでは終わらず、何回もカラスバに絶頂させられてしまい、別荘にいる間はカラスバとその弟達にロジェは振り回されてしまったのであった。
学園に戻りその後のテストは上位になったものの、もう別荘は懲り懲りだ……とロジェは返ってきたテスト結果を見て思ったのであった。
0
お気に入りに追加
388
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
3/25発売!書籍化【完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
一二三書房/ブレイド文庫様より、2025/03/25発売!
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2025/03/25……書籍1巻発売日
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる