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15 採集実習⑤
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次の採集場所についた時には、ロジェは精神的に参ってしまったので木陰で休むことになった。
「……ごめん……」
「ロジェ、俺たちが採集しておくからゆっくり休んでな」
「ロジェくん、ポーション置いておくね」
カラスバがまたロジェの父が作ったポーションを渡してくれるが、一体いくつ持っているのか恐ろしくて聞けなかった。ウスマが気を使ってくれるのが申し訳ない気持ちになる。ロジェは素直に休むことにした。
「ロジェ、大丈夫か?」
手に採取した薬草を持ってフォックがやってきた。
「う、うん、ごめんねフォック」
「気にしてないぞ。所で話は変わるが、さっき騎士クラスの遠征のやつらと会ったぞ。ルートが被ってるみたいだ」
「そういえば、サレイユがそう言ってたかも。騎士クラスの遠征実習と魔術クラスのルートが一部被ってるって」
「えっ!サレイユ様ってあの騎士団長の息子の?」
「そうだよ。僕、友達なんだ」
驚くウスマにカラスバは答える。サレイユは、あの校舎裏でどこぞの貴族の息子と睦み合っていた男か…とロジェは思い出して憂鬱になる。そんなところにフォックが話を続ける。
「聞いたところいくつかの少人数グループで移動してるみたいだ。また、他のグループと会うかもな」
騎士クラスの遠征…、ロジェはマクシムのことを思い出す。
『演習実習だし、マクシムとは会わないよね……』
「ロジェは休んでてくれ」
「うん……」
「じゃあ俺達は薬草取りに行ってるから」
ウスマとフォック、そしてカラスバも薬草採取に行く。ここの群生地は転々と生えているので、採取に時間がかかるようだ。
『……何もできないから今は体調回復を優先させよう……ウスマとフォックには悪いけど……でも僕の体調不良って三人のせいだよな…』
一人ぼんやりとした頭で考えているうちに、ロジェはゆっくりと瞼を閉じて眠りに入っていた。
+++++++++++++++++++++++++++
「行き倒れ…じゃないよな?」
「魔術クラスのやつじゃないか?」
「……ん……」
覚えがない声が聞こえて目を覚ますと、寝ていたロジェの周りに学園の遠征用の騎士服を着たガタイのいい青年が何人かロジェを見ていた。いつの間にか深く寝てしまっていたようだ。
「えっと…騎士クラスの人達ですか?」
「そうだが、ここで寝ていたが大丈夫か?」
「…あー、体調悪くて休んでました。同じ魔術クラスの仲間は今、近くで薬草採取してます」
「そうか、起こして悪かったな」
青年はそう言ってロジェから離れて同じ班のリーダーに報告している。今はもう少し休むことにした。
ロジェから離れた所で騎士クラスのグループが休憩しているのが見えた。ロジェはカラスバから貰ったポーションを思い出して、手に取り少しづつ口に含んで飲み始める。
『父さんのポーションの味だ…変わらないや』
父を思い出して、少し感傷的な気分になっていた所に近くに人の気配を感じた。騎士クラスの生徒が何か用だろうか?とロジェはそちらに目をやるとよく知った青年がいた。
「ロジェ、大丈夫か?」
「……マクシム……」
ロジェは偶然にも恋人のマクシムに会う偶然に驚く。マクシムはしゃがんでバツが悪いような不安気な表情でロジェを見つめた。
「体調が悪い魔術クラスの生徒がいるって聞いたけどお前だったんだな」
「う、うん……ちょっとね……」
ロジェはマクシムに何を話していいかわからなかった。彼を好きな気持ちはあるが、自分は昨晩、カラスバと友人達と身体を重ねてしまいマクシムへの裏切り行為をしてしまった。ロジェは自己嫌悪をして体調が悪くなるほどだったのに、今マクシムと再会してしまうなんて……タイミングが悪かった。
「手紙、読んだか?」
「手紙…?きてないよ?」
「本当か?」
「うん……」
マクシムがロジェに手紙を出したなんて知らなかった。別れの手紙だろうか…と思うと、胸が痛くなるが、今の自分には別れを受け入れる他はない。
『むしろ僕がマクシムに別れを言わなければいけなかった……もう僕はカラスバくんに性欲処理で犯され汚された淫らな身体なんだ……』
意を決して、ロジェはマクシムに告げることにした。顔を上げてマクシムを見つめる。
「マクシム……僕は……」
「騎士クラスの人?ロジェくんは体調悪いからそっとしておいてくれるかな?」
カラスバの声が聞こえたと思ったら、いつの間にかロジェの隣にいて肩を抱き寄せられ、驚いたロジェは身体をビクッと震わせる。
「カ、カラスバくん……いつの間に……?」
「お前、いつからいたんだ……?」
いつの間にか現れたカラスバにマクシムも驚いている。二人を気にした様子もなくカラスバは涼し気な顔でマクシムに言い放った。
「ロジェくんは体調が悪いんだ。空気読んで休ませてあげて?」
「はあ?お前なんだよ?」
「騎士クラスは実習中の私語は禁止されてなかった?わかったらもう行ってくれるかな?」
「…っ…」
マクシムは苦虫を噛み潰したような顔をしたが、カラスバの言葉に大人しく引き下がり、その場を離れようと立ち上がった。
「ロジェ…」
「な、なに?」
「学園に戻ったら二人で話そう」
そう言うと、振り返らずにマクシムは騎士クラスのグループの方に戻っていった。
『……マクシム……』
ロジェはマクシムが去っていった方を見ていたが、それを黙ってカラスバは見ていた。
『ロジェくん、まだ元カレに未練があるのか。そこも一途でいいね。ただ……』
カラスバはニヤリと笑う。
『もう僕なしてはいられない身体になっているから、堕ちるのは時間の問題だけどね。ふふっ』
「ロジェくん、体調よくなった?」
「うん…僕も採取しないと…」
「ああ、それなんだけど、思ったよりも薬草が取れたからロジェくんはまだ休んでていいよ」
カラスバはロジェに労るように笑いかける。
『夜はまた性欲処理と奴隷の仕事が待ってるからね。でも今日はやめておこうかな?奴隷の主人としてもう無理させちゃだめだな。反省だなこれは』
ポーションをチビチビ飲むロジェを見ながらカラスバは邪悪なことを考えていた。
「……ごめん……」
「ロジェ、俺たちが採集しておくからゆっくり休んでな」
「ロジェくん、ポーション置いておくね」
カラスバがまたロジェの父が作ったポーションを渡してくれるが、一体いくつ持っているのか恐ろしくて聞けなかった。ウスマが気を使ってくれるのが申し訳ない気持ちになる。ロジェは素直に休むことにした。
「ロジェ、大丈夫か?」
手に採取した薬草を持ってフォックがやってきた。
「う、うん、ごめんねフォック」
「気にしてないぞ。所で話は変わるが、さっき騎士クラスの遠征のやつらと会ったぞ。ルートが被ってるみたいだ」
「そういえば、サレイユがそう言ってたかも。騎士クラスの遠征実習と魔術クラスのルートが一部被ってるって」
「えっ!サレイユ様ってあの騎士団長の息子の?」
「そうだよ。僕、友達なんだ」
驚くウスマにカラスバは答える。サレイユは、あの校舎裏でどこぞの貴族の息子と睦み合っていた男か…とロジェは思い出して憂鬱になる。そんなところにフォックが話を続ける。
「聞いたところいくつかの少人数グループで移動してるみたいだ。また、他のグループと会うかもな」
騎士クラスの遠征…、ロジェはマクシムのことを思い出す。
『演習実習だし、マクシムとは会わないよね……』
「ロジェは休んでてくれ」
「うん……」
「じゃあ俺達は薬草取りに行ってるから」
ウスマとフォック、そしてカラスバも薬草採取に行く。ここの群生地は転々と生えているので、採取に時間がかかるようだ。
『……何もできないから今は体調回復を優先させよう……ウスマとフォックには悪いけど……でも僕の体調不良って三人のせいだよな…』
一人ぼんやりとした頭で考えているうちに、ロジェはゆっくりと瞼を閉じて眠りに入っていた。
+++++++++++++++++++++++++++
「行き倒れ…じゃないよな?」
「魔術クラスのやつじゃないか?」
「……ん……」
覚えがない声が聞こえて目を覚ますと、寝ていたロジェの周りに学園の遠征用の騎士服を着たガタイのいい青年が何人かロジェを見ていた。いつの間にか深く寝てしまっていたようだ。
「えっと…騎士クラスの人達ですか?」
「そうだが、ここで寝ていたが大丈夫か?」
「…あー、体調悪くて休んでました。同じ魔術クラスの仲間は今、近くで薬草採取してます」
「そうか、起こして悪かったな」
青年はそう言ってロジェから離れて同じ班のリーダーに報告している。今はもう少し休むことにした。
ロジェから離れた所で騎士クラスのグループが休憩しているのが見えた。ロジェはカラスバから貰ったポーションを思い出して、手に取り少しづつ口に含んで飲み始める。
『父さんのポーションの味だ…変わらないや』
父を思い出して、少し感傷的な気分になっていた所に近くに人の気配を感じた。騎士クラスの生徒が何か用だろうか?とロジェはそちらに目をやるとよく知った青年がいた。
「ロジェ、大丈夫か?」
「……マクシム……」
ロジェは偶然にも恋人のマクシムに会う偶然に驚く。マクシムはしゃがんでバツが悪いような不安気な表情でロジェを見つめた。
「体調が悪い魔術クラスの生徒がいるって聞いたけどお前だったんだな」
「う、うん……ちょっとね……」
ロジェはマクシムに何を話していいかわからなかった。彼を好きな気持ちはあるが、自分は昨晩、カラスバと友人達と身体を重ねてしまいマクシムへの裏切り行為をしてしまった。ロジェは自己嫌悪をして体調が悪くなるほどだったのに、今マクシムと再会してしまうなんて……タイミングが悪かった。
「手紙、読んだか?」
「手紙…?きてないよ?」
「本当か?」
「うん……」
マクシムがロジェに手紙を出したなんて知らなかった。別れの手紙だろうか…と思うと、胸が痛くなるが、今の自分には別れを受け入れる他はない。
『むしろ僕がマクシムに別れを言わなければいけなかった……もう僕はカラスバくんに性欲処理で犯され汚された淫らな身体なんだ……』
意を決して、ロジェはマクシムに告げることにした。顔を上げてマクシムを見つめる。
「マクシム……僕は……」
「騎士クラスの人?ロジェくんは体調悪いからそっとしておいてくれるかな?」
カラスバの声が聞こえたと思ったら、いつの間にかロジェの隣にいて肩を抱き寄せられ、驚いたロジェは身体をビクッと震わせる。
「カ、カラスバくん……いつの間に……?」
「お前、いつからいたんだ……?」
いつの間にか現れたカラスバにマクシムも驚いている。二人を気にした様子もなくカラスバは涼し気な顔でマクシムに言い放った。
「ロジェくんは体調が悪いんだ。空気読んで休ませてあげて?」
「はあ?お前なんだよ?」
「騎士クラスは実習中の私語は禁止されてなかった?わかったらもう行ってくれるかな?」
「…っ…」
マクシムは苦虫を噛み潰したような顔をしたが、カラスバの言葉に大人しく引き下がり、その場を離れようと立ち上がった。
「ロジェ…」
「な、なに?」
「学園に戻ったら二人で話そう」
そう言うと、振り返らずにマクシムは騎士クラスのグループの方に戻っていった。
『……マクシム……』
ロジェはマクシムが去っていった方を見ていたが、それを黙ってカラスバは見ていた。
『ロジェくん、まだ元カレに未練があるのか。そこも一途でいいね。ただ……』
カラスバはニヤリと笑う。
『もう僕なしてはいられない身体になっているから、堕ちるのは時間の問題だけどね。ふふっ』
「ロジェくん、体調よくなった?」
「うん…僕も採取しないと…」
「ああ、それなんだけど、思ったよりも薬草が取れたからロジェくんはまだ休んでていいよ」
カラスバはロジェに労るように笑いかける。
『夜はまた性欲処理と奴隷の仕事が待ってるからね。でも今日はやめておこうかな?奴隷の主人としてもう無理させちゃだめだな。反省だなこれは』
ポーションをチビチビ飲むロジェを見ながらカラスバは邪悪なことを考えていた。
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