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第38話 後ろ姿
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昼食後、俺は読書、隣の席のリナはスマフォを見てそれぞれ過ごした。
今、読んでいるのはシリーズ物の小説で、主人公はVRMMORPGゲームをやっていたんだけれど、サービス終了時になぜか異世界転生してしまった。から始まる物語だ。
この主人公は最強なのに小心者と言うギャップがあって、部下の前で上位者としての威厳を保つ為に見えない所で努力するんだ。立場が人を成長させると言う物語のテーマがあるんだと思う。
読んでいた小説の物語がひと段落付いた所で、ふと『リナは何を見ているのかな?』と思って少し画面を覗いたら、肌色多めだった………うん。聞くのは止めておこう。なんかニヤついているし。。。
----------------------------------------------------
そして午後の授業が始まる頃になったけれど。
サオリと石井君はまだ教室に帰って来てなかった。大変そうだなぁ。。。とは思うが事情を知らないので何かしてやれる事がある気はしない。
「サオリちゃん戻って来ないねぇ」
「…来ないな」
そして、先生が来たので午後の授業が始まってしまった。
しばらくしたら、サオリと石井君が帰って来て先生に謝罪をしていた。
話が終わった頃に、二人の顔を覗いたが、二人とも疲れているようだった。
ランチ後ミーティングの内容だか、結果が思わしくなかったんだろう。。。
俺の席を通り過ぎる時に、サオリが少し立ち止まったけれど。
今は授業中だからしてやれる事はない。何も出来ずに見返していたら俺にため息をついた後、後ろの方の席に行ってしまった。
「はぁ………」
思わずため息をついてしまった。疲労が俺にも移ってしまったかのようだ。
「大変そうだね。サオリちゃん」
「そうだなぁ」
「今日の夜、愚痴を聞いてみるよ。話したら楽になるかもしれないし」
「あぁ。お願い。今朝も聞こうかとも思ったんだけど、俺にはあんまり話したくないようだし」
サオリとは今朝から登校までの時間があったんだ。
話してくれるなら、もう愚痴か相談かを聞かされていてもおかしくないからな。
そう考えると女の娘同士の方が話してくれたりするのかもしれない。
もしくは、石井君となら………自分には、話してくれないのか、と思うと胸が痛い。
かと言って、俺にどうにも出来ない事で頼られても困る。
きっと、素っ気ない返事をしてしまうし、下手な事を言えば喧嘩になるかもしれない。人間関係って複雑だ。
良い事かどうかはともかく昔の幼馴染との関係は、もっと単純だった。
それこそ、ただ一緒にいるだけでよかったんだ。
今のサオリに対して何か出来る事ないものかと考えつつ。午後の授業を受けた。
----------------------------------------------------
午後の授業が終わり、放課後になった。
この後の予定は、リナを家に送って荷物を取ってからその後、駅かどこかで待ってサオリと合流だ。
ただ念の為、帰る前に一度サオリに問いかけに行く事にした。席を立ち上がって、石井君と話しているサオリに声を掛けようとした。
「ちょっと良いか?」
「虎杖から話しかけて来るの珍しいな。今日の予定の事か?」
いや、俺はサオリに話しかけようとしたんだけど、、、まぁ石井君が答えて来た。まぁ、いいや。
「そう。今日の予定はどうかなと」
「んー。それなりに遅くはなりそうかな。白井さんはどう思う?」
「多分、遅くなるかな」
「わかった。それじゃ今日も駅で待ってるよ」
「うん。電車乗る頃に連絡するね」
「おう。それじゃまた後でな」
「それじゃ、「また来週」」
石井君とも挨拶してから、席で待っていたリナに声を掛ける。
「じゃ、帰ろうか。途中どっか寄りたい所とかある?」
「特にはないかな。それに何かあったらサオリちゃん待ってる時に買えばいいし」
そんな話を下校をしていく俺たち、今度はリナの方から近づいて来たので手を繋いで帰る。なんかもう早くも慣れて来た。。。
思い返せば、リナとも小学校の頃は繋いで帰ったりとかはしてたしな。。。
でもサオリに後で色々言われそうだ。そう考えるとちょっと、いや、ぶっちゃけかなり、面倒になった。なので、思わずため息が出てしまった。
「こんな可愛い女の娘と一緒に帰っていてため息つくとか、どういうつもり?」
「自分で言うのかよ………」
「悪い?」
「いや、悪くない」
そう言いながら、隣のリナの顔を見る。
うん。目の前の娘は可愛い。それは間違いない。
それと、改めてみると小学校の時の里奈の面影もある気がする。
俺はなぜ、最初に目の前の娘が幼馴染だった事に気づかなかったんだろうな。。。
「それじゃ、あとでもっと可愛い姿見せるからね♪」
そんな事を言いながら、俺の手を引っ張っていく後ろ姿が
小学校の頃の里奈の姿に重なった気がした。
つづく
----------------------------------------------------
あとがき
続きが気になると言う方は是非
お気に入りをお願いいたします!
今、読んでいるのはシリーズ物の小説で、主人公はVRMMORPGゲームをやっていたんだけれど、サービス終了時になぜか異世界転生してしまった。から始まる物語だ。
この主人公は最強なのに小心者と言うギャップがあって、部下の前で上位者としての威厳を保つ為に見えない所で努力するんだ。立場が人を成長させると言う物語のテーマがあるんだと思う。
読んでいた小説の物語がひと段落付いた所で、ふと『リナは何を見ているのかな?』と思って少し画面を覗いたら、肌色多めだった………うん。聞くのは止めておこう。なんかニヤついているし。。。
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そして午後の授業が始まる頃になったけれど。
サオリと石井君はまだ教室に帰って来てなかった。大変そうだなぁ。。。とは思うが事情を知らないので何かしてやれる事がある気はしない。
「サオリちゃん戻って来ないねぇ」
「…来ないな」
そして、先生が来たので午後の授業が始まってしまった。
しばらくしたら、サオリと石井君が帰って来て先生に謝罪をしていた。
話が終わった頃に、二人の顔を覗いたが、二人とも疲れているようだった。
ランチ後ミーティングの内容だか、結果が思わしくなかったんだろう。。。
俺の席を通り過ぎる時に、サオリが少し立ち止まったけれど。
今は授業中だからしてやれる事はない。何も出来ずに見返していたら俺にため息をついた後、後ろの方の席に行ってしまった。
「はぁ………」
思わずため息をついてしまった。疲労が俺にも移ってしまったかのようだ。
「大変そうだね。サオリちゃん」
「そうだなぁ」
「今日の夜、愚痴を聞いてみるよ。話したら楽になるかもしれないし」
「あぁ。お願い。今朝も聞こうかとも思ったんだけど、俺にはあんまり話したくないようだし」
サオリとは今朝から登校までの時間があったんだ。
話してくれるなら、もう愚痴か相談かを聞かされていてもおかしくないからな。
そう考えると女の娘同士の方が話してくれたりするのかもしれない。
もしくは、石井君となら………自分には、話してくれないのか、と思うと胸が痛い。
かと言って、俺にどうにも出来ない事で頼られても困る。
きっと、素っ気ない返事をしてしまうし、下手な事を言えば喧嘩になるかもしれない。人間関係って複雑だ。
良い事かどうかはともかく昔の幼馴染との関係は、もっと単純だった。
それこそ、ただ一緒にいるだけでよかったんだ。
今のサオリに対して何か出来る事ないものかと考えつつ。午後の授業を受けた。
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午後の授業が終わり、放課後になった。
この後の予定は、リナを家に送って荷物を取ってからその後、駅かどこかで待ってサオリと合流だ。
ただ念の為、帰る前に一度サオリに問いかけに行く事にした。席を立ち上がって、石井君と話しているサオリに声を掛けようとした。
「ちょっと良いか?」
「虎杖から話しかけて来るの珍しいな。今日の予定の事か?」
いや、俺はサオリに話しかけようとしたんだけど、、、まぁ石井君が答えて来た。まぁ、いいや。
「そう。今日の予定はどうかなと」
「んー。それなりに遅くはなりそうかな。白井さんはどう思う?」
「多分、遅くなるかな」
「わかった。それじゃ今日も駅で待ってるよ」
「うん。電車乗る頃に連絡するね」
「おう。それじゃまた後でな」
「それじゃ、「また来週」」
石井君とも挨拶してから、席で待っていたリナに声を掛ける。
「じゃ、帰ろうか。途中どっか寄りたい所とかある?」
「特にはないかな。それに何かあったらサオリちゃん待ってる時に買えばいいし」
そんな話を下校をしていく俺たち、今度はリナの方から近づいて来たので手を繋いで帰る。なんかもう早くも慣れて来た。。。
思い返せば、リナとも小学校の頃は繋いで帰ったりとかはしてたしな。。。
でもサオリに後で色々言われそうだ。そう考えるとちょっと、いや、ぶっちゃけかなり、面倒になった。なので、思わずため息が出てしまった。
「こんな可愛い女の娘と一緒に帰っていてため息つくとか、どういうつもり?」
「自分で言うのかよ………」
「悪い?」
「いや、悪くない」
そう言いながら、隣のリナの顔を見る。
うん。目の前の娘は可愛い。それは間違いない。
それと、改めてみると小学校の時の里奈の面影もある気がする。
俺はなぜ、最初に目の前の娘が幼馴染だった事に気づかなかったんだろうな。。。
「それじゃ、あとでもっと可愛い姿見せるからね♪」
そんな事を言いながら、俺の手を引っ張っていく後ろ姿が
小学校の頃の里奈の姿に重なった気がした。
つづく
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