上 下
26 / 53

第25話 嘘泣き

しおりを挟む
「じゃ、あーんして」

「ほら、さっさとしなって。欲しいんでしょ? 私のが」

そう言いながら、リナがカレーと肉が乗っかったスプーンを差し出してくれる。

----------------------------------------------------

「いや、、、あの」

「私のカレーが食べれないっての?」

なんだこのパワハラギャル、、、しかし、それ以前の問題だ。

「そんなことはないが、、、、、、遠くない?」

なぜなら、俺達は今、向かい合ってる。
うちの学食のテーブルは大きめだから、かなり頑張らないと届かない。
そんなに頑張ってたら流石に目立ちすぎだ。

「じゃ、隣行く」

そう言って、席を立ってカレーと共に隣に座った。
隣の席に着いたあと、改めて俺にスプーンを差し出して来たんだが

「あのさ、、、」

「なによ。やっぱ私のカレーは食べれないの?」

「震えてるカレー食べたくないんだけど。。。。溢れるよ? 汚れつくし」

リナは顔を真っ赤にしてて、そしてスプーンが震えていた。
でも、、、、これはまずい。溢される気がしてならない。

カレーの汚れは、ほんと落ちないんだぞ。
前に洗濯機に入れて洗っただけだと落ちなくて、シミ抜きしろって
めっちゃ怒られたんだから!

「なんなのっ! 全くっ!!!!」

そう言ってスプーンを放りだしてしまった。
俺が悪いのかな。そうかな。。。。

「とりあえず。いただきます」

スプーンで口に放り込む様にカレーと肉を入れた。
うん。。。美味しい。
本当はこのスプーンについたカレーを舐めとりたいが、、、やめておこう。

「つまんない」

「面白くさせるために食べてるわけじゃないってば」

「つまんない、つまんない、つまんない」

どうしろって言うんだまったく。。。。

「別のもの、汚れないものだったらいいから。。。ね?」

「じゃ、チョコレートフォンデュ、それかチーズフォンデュ」

どっちも、垂れるじゃないか。。。ダメだろ。
そう思ったけれど、目の前のリナはもう機嫌を取り戻したようだ。
コイツ、ちょろいな。

「あーうん。学生服じゃない時でお願い」

「と言うことは次のデートだね♪」

「ん。。。友達同士で食事いくのは普通だろ。デートではない。。。気がする」

「私がデートだと思ったらデートなの」

「はいはい。それでいいよ……それじゃ昨日のサイゼは?」

「ダブルデート」

「使い方間違ってない?」

「じゃぁ、二股デート。私、二人目の彼女でいいよ?♡」

また何かに影響されたようなことを言ってる。。。
からかいやがって、、、そう思いつつ返答をする

「保留で、そもそも二股じゃない」

「あれぇ? 保留なんだぁ。そうなんだぁ。私キープちゃん? ひどいなぁ。シクシク(嘘泣き)」

なんで保留なんて言ってしまったんだろう。。。
。。。たしかにさっきのはまずかった。。。

「そんなつもりじゃ、、、」

(無かったのか、、、? どうなんだ?)

----------------------------------------------------

戸惑っていると、後ろから声を掛けられた。

「ちょっとアンタ、何リナちゃん泣かしてんのよ」

それはサオリだった。

「別に泣かしてなんて、、、ていうかあれは、多分嘘泣きだ」

「は? 嘘泣きでも女の娘、泣かしてなに居直ってんの?」

えぇ。。。理不尽じゃないか。。。
嘘泣きでもダメなの?

「サオリちゃーん。いった君が虐めるよぉ~」

「よしよし、いい子だねぇ。もう大丈夫だよ」

「うーん。サオリママ大好き」

そんなことを言いながら、サオリのおっぱいに顔を埋めてるリナ。
なにそれ超羨ましいんですけど!!!
変わって欲しい!!! いや、尊い?

そんなどうでも事を考えてしまってると
声を掛けて来る人物がいた。

「あの、白井さん。そろそろ委員会行かないと」

石井君だった。

「あ、そうね。どうする? 私たちは教室方面に行くけど途中まで送ってく? アイツ放っておいて」

サオリが、そんな事を言いながら、俺の方を見る。
まぁ、さっきのは俺が悪い。。。。。

「ううん。大丈夫。サオリママが助けてくれたから」

「本当に? なら良いけど。また虐められたら言ってね」

「はーい」

その優しさを俺にも分けてくれまいか。。。。サオリさんよ。。。。
年上お姉さんが良いと思ってたが、、、ママもいいなぁ。
クリークママみたいな。。。。

「じゃ、行こう。白井さん。時間食ったから、ちょっと急がないと」

「ええ。いきましょう」

そう言って、二人は連れ立って行ってしまった。
俺たちから離れる際に、石井君はまた手を振っていた。

そうか、二人は同じ委員会で活動してたのか。。。
サオリがやってたのは知ってたけど、石井君の事は全然意識してなかった
ほんとうになんにも興味無かったんだな俺。

そっか、、、ちょっと寂しい。

そんな事を思ってると、リナが寄って来て
俺の手に手を当ててこう言った。

「私ならずっと側にいるよ?」

つづく
----------------------------------------------------
あとがき

続きが気になると言う方は是非
お気に入りをお願いいたします!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

俺の家には学校一の美少女がいる!

ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。 今年、入学したばかりの4月。 両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。 そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。 その美少女は学校一のモテる女の子。 この先、どうなってしまうのか!?

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

私がガチなのは内緒である

ありきた
青春
愛の強さなら誰にも負けない桜野真菜と、明るく陽気な此木萌恵。寝食を共にする幼なじみの2人による、日常系百合ラブコメです。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

オタクな俺のことを嫌いな筈の幼馴染を振ったら ~なぜかタイムリープしてデレデレになっていた~

ケイティBr
青春
『アタシはアタシだよ』幼馴染が本当の事を教えてくれない。  それは森池 達也(モリイケ タツヤ)が高校最後のクリスマスを迎える前の事だった。幼馴染である、藤井 朱音(フジイ アカネ)に近所の公園に呼び出されて告白された。 けれど、俺はその告白を信じられなかったのでアカネを振ってしまう。  次の日の朝、俺はなぜか高校最初の登校日にタイムリープしていた。そこで再会した幼馴染であるアカネは前回と全く違う態度だった。  そんな距離感が近い俺たちを周囲はお似合いのカップルだと言うんだ。一体どうなってるんだ。そう思ってアカネに聞いても。 「たっくんが何言ってるのか分かんないよ。アタシはアタシだよ」  としか言ってはくれない。  これは、タイムリープした幼馴染同士が関係をやり直すラブストーリー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

処理中です...