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溺愛御曹司は大胆な恋人がお好き
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しおりを挟むこのまま扉を開けたらどうしたらいい? 優磨くんのところまで駆けて手を引いて逃げればいいのか。それとも「結婚しないで」と叫べばいいか。
奪ったらどうすればいい? 走って逃げてそのあとは? 優磨くんは城藤での信用を失うのではないだろうか。困らせることになるのでは。そもそも、優磨くんは私と一緒に逃げてくれるのだろうか。
怖くて堪らない。それでも、優磨くんが知らない人と結婚してしまうなんて絶対に嫌だ。
「レッツ! ぶち壊せ!」
美麗さんの声に私は豪華な装飾の扉を思いっきり押した。
キィィィ
扉が開くと明るい光がチャペルの中を照らしている。
大勢の視線を浴びるかと思ったのに、バージンロードを挟んだ参列者席には誰もいない。
拍子抜けして一歩中に入ると奥の祭壇に立つ人物がこちらを振り返った。
「波瑠?」
驚いた声の主に私はゆっくり近づく。目が潤んでほとんど前が見えないまま。
「どうしてここに?」
優磨くんが祭壇を下りて私に駆け寄る。そんな彼を見て堪らずその場に崩れ落ちた。
「波瑠!」
私に合わせて床に膝をついた優磨くんは、私の手を取ろうとして慌てて自分の手を引っ込めた。
「どうして? 波瑠がここに来たのは何で?」
「……ないで」
「え?」
「結婚しないで!」
ポロポロと涙を流しながら優磨くんに必死に訴えた。
「優磨くん……他の人と結婚しないで……」
愛してるって言ったじゃない。離れないって言ってくれたじゃない。
「一生離れないって誓いをどうして他の女性とするの?」
「波瑠」
「私を一人にしないで……」
「しないよ。波瑠以外と結婚なんてしない」
私の必死な顔に、今度は躊躇いもせず優しく抱きしめた。
「俺には波瑠だけだよ」
「でも、優磨くんは他の人と結婚するんだって……だからここに居るんでしょ?」
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