16 / 43
【揉捻】回転する想い
6
しおりを挟むそして、ついにその時はやってきた
ケイ様は陛下の側に立ち、僕達は専用に用意された席についた
案内された席は、ホール全体が見える、舞台の特等席のような場所
何も知らされずに集められた貴族たちも、それぞれ席につき始めた
僕達がいるこの席は高いところにあって、下にいるこれから裁かれる貴族たちがあまりにもちっぽけに見える
もちろん、その中にはプラント公爵もいる
あんなに恐れてた相手なのに、こんなに小さく見えるなんて
それだけでも圧倒的優位に立つような感覚がある
でも、今はそれは錯覚では無い
「これより、貴族裁判を執り行う!」
陛下の一声で裁判は開始した
何も知らなかった貴族たちはざわつき始めたが、高所から観察すると、これから裁かれる者とそうでない者の違いがよく分かる
「何かしただろうか」と焦る貴族
「知られたのではないか」と焦る貴族
顔色は全く違った
でも、公爵は焦りも恐怖も無く堂々と座っている
知られるはずないから焦る必要が無い、と思っているのだろう
……証拠は慎重なアズが集めた物だ、大丈夫
次々と裁かれる貴族達
そのどれもが爵位の剥奪や財産の没収などを言い渡されている
そしてついに来たプラント公爵
見たところ、残ってる反王室派は公爵のみ
反王室派の最後の裁判だ
「第一王子殺害未遂、他国との違法薬物の貿易、奴隷や兵器の取引等が挙げられます!」
「お待ちください、国王陛下!私はそれら全てに覚えが一切ございません!何か、情報の間違いではありませんか?」
こいつ……白々しい!
この期に及んで涼しい顔で嘘を吐いて、本当に人間か!?
今すぐ殴り込みたい衝動を抑えて、もう少し様子を見てみる
「ふむ……確かにそうかも知れぬ。ならばこの場でもう一度、証拠となる記録魔法を再生して見ようでは無いか。のぉ?プラント元・公爵よ」
「は……記録魔法?」
そうして再生された魔法は、それはそれはひどい物だった
密輸現場の、取引相手との会話
まともな精神で聴いてられるようなものでは無かった
公爵は戦争を起こそうとしていたんだ
なるほど……僕に渡してきた猛毒も戦争の兵器の試作品だったってこと
本当に救いようが無い
映像の他にも書面や証人など、公爵は絶対に逃げられなくなった
涼しい顔に焦りが見え、惨めったらしく言い訳を並べる姿は何よりも滑稽で、爵位を剥奪されたその男は醜態を晒しながら地下牢へと連れて行かれた
あとで面会の予定だけど、急に死んだ筈の双子が圧倒的な立場で現れたらどう反応するだろうか
楽しみっちゃ楽しみだけど、顔も見たく無いって気持ちもある
そんな風に考えていると、陛下がまた動き出した
さて、神子の役目はこれからだ……
ケイ様は陛下の側に立ち、僕達は専用に用意された席についた
案内された席は、ホール全体が見える、舞台の特等席のような場所
何も知らされずに集められた貴族たちも、それぞれ席につき始めた
僕達がいるこの席は高いところにあって、下にいるこれから裁かれる貴族たちがあまりにもちっぽけに見える
もちろん、その中にはプラント公爵もいる
あんなに恐れてた相手なのに、こんなに小さく見えるなんて
それだけでも圧倒的優位に立つような感覚がある
でも、今はそれは錯覚では無い
「これより、貴族裁判を執り行う!」
陛下の一声で裁判は開始した
何も知らなかった貴族たちはざわつき始めたが、高所から観察すると、これから裁かれる者とそうでない者の違いがよく分かる
「何かしただろうか」と焦る貴族
「知られたのではないか」と焦る貴族
顔色は全く違った
でも、公爵は焦りも恐怖も無く堂々と座っている
知られるはずないから焦る必要が無い、と思っているのだろう
……証拠は慎重なアズが集めた物だ、大丈夫
次々と裁かれる貴族達
そのどれもが爵位の剥奪や財産の没収などを言い渡されている
そしてついに来たプラント公爵
見たところ、残ってる反王室派は公爵のみ
反王室派の最後の裁判だ
「第一王子殺害未遂、他国との違法薬物の貿易、奴隷や兵器の取引等が挙げられます!」
「お待ちください、国王陛下!私はそれら全てに覚えが一切ございません!何か、情報の間違いではありませんか?」
こいつ……白々しい!
この期に及んで涼しい顔で嘘を吐いて、本当に人間か!?
今すぐ殴り込みたい衝動を抑えて、もう少し様子を見てみる
「ふむ……確かにそうかも知れぬ。ならばこの場でもう一度、証拠となる記録魔法を再生して見ようでは無いか。のぉ?プラント元・公爵よ」
「は……記録魔法?」
そうして再生された魔法は、それはそれはひどい物だった
密輸現場の、取引相手との会話
まともな精神で聴いてられるようなものでは無かった
公爵は戦争を起こそうとしていたんだ
なるほど……僕に渡してきた猛毒も戦争の兵器の試作品だったってこと
本当に救いようが無い
映像の他にも書面や証人など、公爵は絶対に逃げられなくなった
涼しい顔に焦りが見え、惨めったらしく言い訳を並べる姿は何よりも滑稽で、爵位を剥奪されたその男は醜態を晒しながら地下牢へと連れて行かれた
あとで面会の予定だけど、急に死んだ筈の双子が圧倒的な立場で現れたらどう反応するだろうか
楽しみっちゃ楽しみだけど、顔も見たく無いって気持ちもある
そんな風に考えていると、陛下がまた動き出した
さて、神子の役目はこれからだ……
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
溺愛彼氏は消防士!?
すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。
「別れよう。」
その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。
飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。
「男ならキスの先をは期待させないとな。」
「俺とこの先・・・してみない?」
「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」
私の身は持つの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。
※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。


イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
恋とキスは背伸びして
葉月 まい
恋愛
結城 美怜(24歳)…身長160㎝、平社員
成瀬 隼斗(33歳)…身長182㎝、本部長
年齢差 9歳
身長差 22㎝
役職 雲泥の差
この違い、恋愛には大きな壁?
そして同期の卓の存在
異性の親友は成立する?
数々の壁を乗り越え、結ばれるまでの
二人の恋の物語
【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、娘の幼稚園の親子イベントで娘の友達と一緒にいた千春と出会う。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになると思うのでご安心ください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる