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まだ見ぬ先へとすすむため
風変わりな人
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ハヨンが孟の城で生活を始めて、三日経った。相変わらず人手は足りないが、毎日の仕事にも誰がどこを担当するかがおおむね決まってきているので、秩序のある生活を送れるようになった。
客人扱いである老婆や青龍は、時折孟の町へと出かけて行くなどして、気ままに過ごしているようにも見えるが、大抵はどこにいるのかわからないので、謎に満ちたままだ。そのため、ハヨンは老婆と青龍の両方と、しっかりと話したことがない。ハヨンは何とかして青龍や老婆と、話すきっかけができないかと悩んでいた。
そんな中、ハヨンはリョンヘから召集がかかった。いつも午後から任されていた城の裏門の警備を、他の兵士に頼んで交代してもらい、約束のリョンヘの執務室に向かう。
その途中、鮮やかな碧色の衣を纏う、長身の男の後ろ姿を見つけた。束ねられた髪が振り子のように左右に揺れている。あの出立から見るに、どうやら青龍のムニルだ。彼は長身長髪で、人目を惹くような色の衣を着ているので、一目見て判別がつく。
(あの人は悪い人じゃないけれど、どう接したらいいかわからないな…)
ハヨンの周囲では、あの様に抱き締めたりする人物は母ぐらいしかいなかった。そのため、初めて人の姿で彼と会ったときに、とても戸惑った。さらに、彼、と心の中では呼んでいるものの、女性であるハヨンよりも、女の色気を纏っているような気がする。ハヨンは彼はどの様な人柄なのかを、詳しく知っているわけではないが、彼は今までに出会ったことのない様な人物だとハヨンは感じていた。
青龍の彼に話しかけようかとハヨンが躊躇っていると、ハヨンの気配に気づいたのか、彼が振り向く。
「あら、ハヨンさんじゃないの。」
「ムニルさん、こんにちは。」
彼の柔らかな笑みは、人を惹き付ける不思議な力があるのだろうか。ハヨンもつられて笑みを浮かべる。
ハヨンはムニルが佇む方へ近づいていく。その時、ムニルは何も言わなかったし、お互いに微笑んだままの状態だったが、不思議と慣れない人との気まずい空気は流れず、穏やかな静けさだった。
ムニルの隣に立ったハヨンが、何か話しかけようとする前に、ムニルが口を開く。
「もしかしてハヨンさんも王子からの招集?」
「そうなんです。もしかしてムニルさんもですか?」
そうハヨンがたずねると、ムニルは少し唇を尖らせて不満げな様子を見せる。彼のこういった仕草は本当に無邪気に見えて、嫌味がない。ハヨンは思わず、どうすれば、こうして自然と可愛らしい仕草ができるのだろう、と思わず考えてしまっていた。
「そうなのよ。せっかく孟の市場にいるおばあちゃんとお茶する約束してたのに。まぁ、大事な話なんだろうし、仕方ないけどね。」
本当に、声と体格のことさえなければ、女性そのものに思える。しかし、よくよく考えてみると、女らしい、男らしいというのは他人が勝手に決めるものであって、ムニルの独特な雰囲気は、ムニルだからこそのものなのだ。そうハヨンが勝手に解釈していると、一緒に行きましょう。とムニルからの誘われた。向かう先も同じで、断る理由もないため、二人で再び歩き始める。
「それにしても、もう茶飲み友達ができたなんて、ムニルさんすごいですね。」
「あら、ありがとう。昔から女の人に囲まれて暮らしてきたからかしらねぇ。女の人の方が友達は多いくらいなのよ。」
「お姉さんや妹さんですか?」
ハヨンは何度か姉妹が欲しいと思ったことがある。時折見かける兄弟で遊ぶ姿などを見てそれはそれは羨ましかったものだ。
するとムニルはふふふふっと意味ありげに笑う。
「さぁ、どうでしょうね。」
そうやって、うまくかわしてゆくからか、ハヨンはムニルの情報をあまり知らない。
(謎の多い人だな…)
ハヨンは先程の彼の返答をの言葉を思い返しながら首を捻るのだった。
客人扱いである老婆や青龍は、時折孟の町へと出かけて行くなどして、気ままに過ごしているようにも見えるが、大抵はどこにいるのかわからないので、謎に満ちたままだ。そのため、ハヨンは老婆と青龍の両方と、しっかりと話したことがない。ハヨンは何とかして青龍や老婆と、話すきっかけができないかと悩んでいた。
そんな中、ハヨンはリョンヘから召集がかかった。いつも午後から任されていた城の裏門の警備を、他の兵士に頼んで交代してもらい、約束のリョンヘの執務室に向かう。
その途中、鮮やかな碧色の衣を纏う、長身の男の後ろ姿を見つけた。束ねられた髪が振り子のように左右に揺れている。あの出立から見るに、どうやら青龍のムニルだ。彼は長身長髪で、人目を惹くような色の衣を着ているので、一目見て判別がつく。
(あの人は悪い人じゃないけれど、どう接したらいいかわからないな…)
ハヨンの周囲では、あの様に抱き締めたりする人物は母ぐらいしかいなかった。そのため、初めて人の姿で彼と会ったときに、とても戸惑った。さらに、彼、と心の中では呼んでいるものの、女性であるハヨンよりも、女の色気を纏っているような気がする。ハヨンは彼はどの様な人柄なのかを、詳しく知っているわけではないが、彼は今までに出会ったことのない様な人物だとハヨンは感じていた。
青龍の彼に話しかけようかとハヨンが躊躇っていると、ハヨンの気配に気づいたのか、彼が振り向く。
「あら、ハヨンさんじゃないの。」
「ムニルさん、こんにちは。」
彼の柔らかな笑みは、人を惹き付ける不思議な力があるのだろうか。ハヨンもつられて笑みを浮かべる。
ハヨンはムニルが佇む方へ近づいていく。その時、ムニルは何も言わなかったし、お互いに微笑んだままの状態だったが、不思議と慣れない人との気まずい空気は流れず、穏やかな静けさだった。
ムニルの隣に立ったハヨンが、何か話しかけようとする前に、ムニルが口を開く。
「もしかしてハヨンさんも王子からの招集?」
「そうなんです。もしかしてムニルさんもですか?」
そうハヨンがたずねると、ムニルは少し唇を尖らせて不満げな様子を見せる。彼のこういった仕草は本当に無邪気に見えて、嫌味がない。ハヨンは思わず、どうすれば、こうして自然と可愛らしい仕草ができるのだろう、と思わず考えてしまっていた。
「そうなのよ。せっかく孟の市場にいるおばあちゃんとお茶する約束してたのに。まぁ、大事な話なんだろうし、仕方ないけどね。」
本当に、声と体格のことさえなければ、女性そのものに思える。しかし、よくよく考えてみると、女らしい、男らしいというのは他人が勝手に決めるものであって、ムニルの独特な雰囲気は、ムニルだからこそのものなのだ。そうハヨンが勝手に解釈していると、一緒に行きましょう。とムニルからの誘われた。向かう先も同じで、断る理由もないため、二人で再び歩き始める。
「それにしても、もう茶飲み友達ができたなんて、ムニルさんすごいですね。」
「あら、ありがとう。昔から女の人に囲まれて暮らしてきたからかしらねぇ。女の人の方が友達は多いくらいなのよ。」
「お姉さんや妹さんですか?」
ハヨンは何度か姉妹が欲しいと思ったことがある。時折見かける兄弟で遊ぶ姿などを見てそれはそれは羨ましかったものだ。
するとムニルはふふふふっと意味ありげに笑う。
「さぁ、どうでしょうね。」
そうやって、うまくかわしてゆくからか、ハヨンはムニルの情報をあまり知らない。
(謎の多い人だな…)
ハヨンは先程の彼の返答をの言葉を思い返しながら首を捻るのだった。
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