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孟の地へ
新たな仲間
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ハヨンはもう一度青龍の体を見る。どう見ても尻尾は生えてこないし、角も出ていない。鱗もなければ金色に輝く瞳でもなかった。
「私には龍には見えないのですが…」
「…しょうがないわね…」
そう言うと彼は衿元を大きく広げ始めた。周囲は思わずざわついた。
「な、何をっ!」
焦るように隣にいた兵が叫ぶ。普通の男でもこの場で唐突に服を脱ぎ始めたら、誰でも動揺するが、さらにムニルは美しく中性的だ。女性の着替えを見ているような、何となしに後ろめたい心持ちになる。
「何って。私が青龍なのを証明するのよ。あら、何かおかしなことを想像したのかしら?悪いけど、私は歴とした男だから。安心して。」
青龍の言葉にみるみる彼は赤くなった。どうやら彼は意外と初心なようだ。
(まぁね、彼の言いたいことも何となくわかるけどさ…)
ハヨンは心の中でこっそり兵士にそう呟いた。
青龍は上半身を晒し、後ろを向く。その姿を見て、一同ははっとした。うなじから腰にかけて、うねるような形で鱗が一部分に生えていたのだ。それはまさしく青龍のものと同じ色をしていたのだ。
「私はれっきとした青龍の生まれ変わりのムニルよ。」
そう居直ってから彼はそう名乗った。
「申し訳ありません!そうとは知らず…!」
周りの兵士は急に腰が低くなった。今にも平伏せんとばかりの勢いだ。ムニルの人の姿を初めて見た時、侵入者ではないかと騒いだからだろう。四獣は初代王の友、つまり王族と等しい地位を持つ。彼らの頭の中には不敬、という言葉が浮かんだ。
「あー、いいからそういうの。私、そういう堅苦しいの大っ嫌いなのよねぇ。だから畏って話しかけられたくなくて、さっきまで青龍の姿のままでいたのよ。」
と手で虫を追い払うようなしぐさをする。
「あの…」
ハヨンはためらいがちに声をかける。
「あら、何かしら?」
「なぜ私に声をかけてくださったんですか…?」
かなり親しげに抱きつかれたが、ハヨンにとって彼は全くの赤の他人で、先程はとても戸惑った。ただ、なぜかハヨンは彼に対して嫌悪感を抱かなかったし、青龍を見たときのように、むしろ懐かしい人に出会ったような気がしたのだ。
(この人が…厳つい感じの人ではないからかな…)
と雰囲気に女性らしさを感じたことを一つの理由として挙げてみる。
「あら、あなたは私の仲間だと思ったからよ。違った?」
「仲間とは…どういう…?」
ハヨンは首を傾げた。この人と自分の共通点を全く見いだせないのだ。
「やだ、あなた四獣の一人ではないの?特徴的な瞳の色だからてっきり…」
そこでようやく合点がいった。ムニルの背中に鱗が生えていたように、ハヨンの瞳が赤いのも、四獣だからだと思われたのだ。ハヨンはぱっと頬を染めた。
「そんな恐れ多い…。確かに私はなぜかこんな色の瞳をしていますが、何も力も持っていませんし、変化もできません。」
自分がとても強大な存在と思われたことが、何だか恥ずかしかった。
「あら…そうなの…。でも、あなたのことは気に入ったし、むさ苦しい中の可愛い花を見つけちゃったから、じゃんじゃん話しかけるわね。」
「はい、喜んで。」
気さくに話しかけられると、ついついハヨンも相手にのせられてしまう。その上おかしいと思われるかもしれないが、ムニルは何だか年上の女性に話しかけられたような気分になって、全く緊張しない。そして、女官とではこうはいかなかったので、ハヨンは舞い上がってしまった。
さらに、女性の兵士ということで、場内では侮られることが多かったが、ムニルは可愛いと言った。それはハヨンが女の兵士として戦うことをすんなりと受け入れてくれたと言うことだ。ハヨンは受け入れてもらえたことが嬉しかった。
(ムニルさんにお姉さんみたいですって言ったら怒られるだろうか…)
ハヨンはそう考えながら少し微笑むのだった。
「私には龍には見えないのですが…」
「…しょうがないわね…」
そう言うと彼は衿元を大きく広げ始めた。周囲は思わずざわついた。
「な、何をっ!」
焦るように隣にいた兵が叫ぶ。普通の男でもこの場で唐突に服を脱ぎ始めたら、誰でも動揺するが、さらにムニルは美しく中性的だ。女性の着替えを見ているような、何となしに後ろめたい心持ちになる。
「何って。私が青龍なのを証明するのよ。あら、何かおかしなことを想像したのかしら?悪いけど、私は歴とした男だから。安心して。」
青龍の言葉にみるみる彼は赤くなった。どうやら彼は意外と初心なようだ。
(まぁね、彼の言いたいことも何となくわかるけどさ…)
ハヨンは心の中でこっそり兵士にそう呟いた。
青龍は上半身を晒し、後ろを向く。その姿を見て、一同ははっとした。うなじから腰にかけて、うねるような形で鱗が一部分に生えていたのだ。それはまさしく青龍のものと同じ色をしていたのだ。
「私はれっきとした青龍の生まれ変わりのムニルよ。」
そう居直ってから彼はそう名乗った。
「申し訳ありません!そうとは知らず…!」
周りの兵士は急に腰が低くなった。今にも平伏せんとばかりの勢いだ。ムニルの人の姿を初めて見た時、侵入者ではないかと騒いだからだろう。四獣は初代王の友、つまり王族と等しい地位を持つ。彼らの頭の中には不敬、という言葉が浮かんだ。
「あー、いいからそういうの。私、そういう堅苦しいの大っ嫌いなのよねぇ。だから畏って話しかけられたくなくて、さっきまで青龍の姿のままでいたのよ。」
と手で虫を追い払うようなしぐさをする。
「あの…」
ハヨンはためらいがちに声をかける。
「あら、何かしら?」
「なぜ私に声をかけてくださったんですか…?」
かなり親しげに抱きつかれたが、ハヨンにとって彼は全くの赤の他人で、先程はとても戸惑った。ただ、なぜかハヨンは彼に対して嫌悪感を抱かなかったし、青龍を見たときのように、むしろ懐かしい人に出会ったような気がしたのだ。
(この人が…厳つい感じの人ではないからかな…)
と雰囲気に女性らしさを感じたことを一つの理由として挙げてみる。
「あら、あなたは私の仲間だと思ったからよ。違った?」
「仲間とは…どういう…?」
ハヨンは首を傾げた。この人と自分の共通点を全く見いだせないのだ。
「やだ、あなた四獣の一人ではないの?特徴的な瞳の色だからてっきり…」
そこでようやく合点がいった。ムニルの背中に鱗が生えていたように、ハヨンの瞳が赤いのも、四獣だからだと思われたのだ。ハヨンはぱっと頬を染めた。
「そんな恐れ多い…。確かに私はなぜかこんな色の瞳をしていますが、何も力も持っていませんし、変化もできません。」
自分がとても強大な存在と思われたことが、何だか恥ずかしかった。
「あら…そうなの…。でも、あなたのことは気に入ったし、むさ苦しい中の可愛い花を見つけちゃったから、じゃんじゃん話しかけるわね。」
「はい、喜んで。」
気さくに話しかけられると、ついついハヨンも相手にのせられてしまう。その上おかしいと思われるかもしれないが、ムニルは何だか年上の女性に話しかけられたような気分になって、全く緊張しない。そして、女官とではこうはいかなかったので、ハヨンは舞い上がってしまった。
さらに、女性の兵士ということで、場内では侮られることが多かったが、ムニルは可愛いと言った。それはハヨンが女の兵士として戦うことをすんなりと受け入れてくれたと言うことだ。ハヨンは受け入れてもらえたことが嬉しかった。
(ムニルさんにお姉さんみたいですって言ったら怒られるだろうか…)
ハヨンはそう考えながら少し微笑むのだった。
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