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軍事同盟
滓の王城
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翌日、リョンへとハヨン達はジンホによる城の案内を受けていた。ここの城は、ほぼ石と金属で作られており、外敵からの強固な守りと、金属の加工を長い間繁栄させてきたことが十分窺える。
唯一木造なのは門の戸とその前にある堀の上の橋だが、橋は滑車を使って取外し可能だ。これならば籠城しても外からは敵も攻め込みにくい。燐の国では石橋なので、ここはまた課題を発見できた。
「ここは本当に戦に対する考え方が徹底しているな。私達の国は考えが甘かった。」
リョンへもそうジンホに告げている。リョンヤンとジンホの時ほど打ち解けた雰囲気は無いものの、静かに会話する二人の姿からはよそよそしい雰囲気もない。
(きっとお二人とも静かな方だからな。リョンヤン様は割りとお喋りな方だったし…。いや、でも待って。リョンもおしゃべりなのは負けてないよね?)
ハヨンは少し前を歩くリョンへとジンホを見ながらそんなことを考えていた。リョンへとリョンのあの対照的な性格はいったいどこから現れたというのか。ハヨンには今までの中で最も不思議なことの一つとなった。
「いや、あなたの国は兵も強いし獣わ操り、戦うことによって城の状態も十分賄えていると思う。ただ、確かに門の橋がどれも石橋なのが少し気になるが…。私としてはあの城の雰囲気は好きだから、あまり大きく変えてほしくないのだ。」
石畳のゆえにここの城は植物がほとんどはえていない。そのため無機質な雰囲気が強い。もしかするとジンホはそれが嫌なのかもしれない。
「そうだな。私もあの城は気に入っている。」
リョンへの表情は柔らかく、外の世界に憧れを持っているとはいえ、城も自分の家として大事なのだとハヨンは感じた。新たな発見があったことが素直に嬉しい。
そのまま、ハヨン達は軍の訓練場に赴いた。
「我が国は飛び道具が多いので、騎馬、歩兵、弓・投石兵、後方支援という四つに分かれている。ちなみに、騎馬の者はいつもは王族の護衛者としても働いている。」
(後方支援…。)
ハヨンは今までに聞いたことのない部隊の存在に驚いた。
「飛び道具は相手側に飛んでいったらそれきりだ。回収は出来ないから新たに矢や火薬が必要になる。そのためにも火薬の調合をしたり、飛び道具を使うものの護衛も必要なのだ。」
今まさに訓練場では火薬を扱う訓練をしているようで、火を点ける方法について上官が講義している。
その上官が試しに一度離れた場所に火薬を飛ばしたが、恐ろしいほど大きな衝撃音がハヨン達のところまで届いた。何人かの兵士がすぐさま水で満たされた桶で火を消している。
そのめらめらとほんの一瞬燃え上がった炎はハヨンの瞼の裏でまだちらついていた。
「火薬はまた飛び道具でも別格だな…」
リョンへがそう呟いたことにハヨンは心のなかで激しく同意した。あんなものは燐の国には存在しない。せいぜい弓や投石器だけだ。それに比べると威力も火を使うことも、火薬は異色なものだ。
飛び道具というのは、暗器や投石器なども入る。飛び道具の利点は自分は離れた場所にいながら相手に傷を負わせることができる点だが、暗器だと倒せても一人だし、小さいので負傷のみで終わる可能性がある。一方投石器は範囲も広く、威力も大きいが持ち運びに不便だ。
しかし火薬は軽く、小さいので運びやすい上に威力も大きい。
「そうですね…」
ハヨンはこれをもし秘密裏に燐の国の何者かが入手していたら…と考えると身震いしてしまう。ジンホ王子が以前言っていた、何者かが滓の武器を大量に仕入れていると言うのが事実であるなら、こう言った武器が反逆を狙うものたちの手に渡っていてもおかしくは無いのだ。滓に滞在留守ことによって、燐の国のさまざまな危ういところを、思い知らされるのだった。
唯一木造なのは門の戸とその前にある堀の上の橋だが、橋は滑車を使って取外し可能だ。これならば籠城しても外からは敵も攻め込みにくい。燐の国では石橋なので、ここはまた課題を発見できた。
「ここは本当に戦に対する考え方が徹底しているな。私達の国は考えが甘かった。」
リョンへもそうジンホに告げている。リョンヤンとジンホの時ほど打ち解けた雰囲気は無いものの、静かに会話する二人の姿からはよそよそしい雰囲気もない。
(きっとお二人とも静かな方だからな。リョンヤン様は割りとお喋りな方だったし…。いや、でも待って。リョンもおしゃべりなのは負けてないよね?)
ハヨンは少し前を歩くリョンへとジンホを見ながらそんなことを考えていた。リョンへとリョンのあの対照的な性格はいったいどこから現れたというのか。ハヨンには今までの中で最も不思議なことの一つとなった。
「いや、あなたの国は兵も強いし獣わ操り、戦うことによって城の状態も十分賄えていると思う。ただ、確かに門の橋がどれも石橋なのが少し気になるが…。私としてはあの城の雰囲気は好きだから、あまり大きく変えてほしくないのだ。」
石畳のゆえにここの城は植物がほとんどはえていない。そのため無機質な雰囲気が強い。もしかするとジンホはそれが嫌なのかもしれない。
「そうだな。私もあの城は気に入っている。」
リョンへの表情は柔らかく、外の世界に憧れを持っているとはいえ、城も自分の家として大事なのだとハヨンは感じた。新たな発見があったことが素直に嬉しい。
そのまま、ハヨン達は軍の訓練場に赴いた。
「我が国は飛び道具が多いので、騎馬、歩兵、弓・投石兵、後方支援という四つに分かれている。ちなみに、騎馬の者はいつもは王族の護衛者としても働いている。」
(後方支援…。)
ハヨンは今までに聞いたことのない部隊の存在に驚いた。
「飛び道具は相手側に飛んでいったらそれきりだ。回収は出来ないから新たに矢や火薬が必要になる。そのためにも火薬の調合をしたり、飛び道具を使うものの護衛も必要なのだ。」
今まさに訓練場では火薬を扱う訓練をしているようで、火を点ける方法について上官が講義している。
その上官が試しに一度離れた場所に火薬を飛ばしたが、恐ろしいほど大きな衝撃音がハヨン達のところまで届いた。何人かの兵士がすぐさま水で満たされた桶で火を消している。
そのめらめらとほんの一瞬燃え上がった炎はハヨンの瞼の裏でまだちらついていた。
「火薬はまた飛び道具でも別格だな…」
リョンへがそう呟いたことにハヨンは心のなかで激しく同意した。あんなものは燐の国には存在しない。せいぜい弓や投石器だけだ。それに比べると威力も火を使うことも、火薬は異色なものだ。
飛び道具というのは、暗器や投石器なども入る。飛び道具の利点は自分は離れた場所にいながら相手に傷を負わせることができる点だが、暗器だと倒せても一人だし、小さいので負傷のみで終わる可能性がある。一方投石器は範囲も広く、威力も大きいが持ち運びに不便だ。
しかし火薬は軽く、小さいので運びやすい上に威力も大きい。
「そうですね…」
ハヨンはこれをもし秘密裏に燐の国の何者かが入手していたら…と考えると身震いしてしまう。ジンホ王子が以前言っていた、何者かが滓の武器を大量に仕入れていると言うのが事実であるなら、こう言った武器が反逆を狙うものたちの手に渡っていてもおかしくは無いのだ。滓に滞在留守ことによって、燐の国のさまざまな危ういところを、思い知らされるのだった。
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