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おもてなし
心配事
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「随分とややこしいことになりましたね…」
彼らが去ったあと、リョンヤンはこめかみを手で押さえながらそう呟いた。
国と国同士の緊張が高まる中、さらに内側でも不穏な動きがあるのだから、対処するには時間も手間もかかるだろう。
「私もまさかこんなことが起こっているなんて思ってもみませんでした。」
ハヨンは少しだけ緊張をときながらそう答える。ジンホの護衛者の目付きは、やはり長い間戦ってきた戦士の目をしていて、彼の纏っている空気はあまりにも重かった。ハヨンとしては同じ職に就く者として、やはり一緒の空間にいるのは緊張したのだ。
(黙っているだけでもあんなに迫力があるなんて…。自分もいつかはそうなれるかな。)
戦わずして相手を怯ませる。そんな力をハヨンは羨ましく思う。
「同盟を結ぶ時は多分こちらから向こうへ出向かねばならないでしょう。私は行けないから、リョンヘが父上の使者として出向くでしょうね。」
リョンヤンはやはり体が弱いので、あまり外を出歩くことがない。もし仮に外出先で体調をくずしては危険だからだ。
本人には決して言えないが、ハヨンには彼は鳥かごの鳥のように見えることがある。ハヨンがこの城に来てから彼が城の外に出るのを見たことが無いのだ。
息苦しくはありませんか。
王子なのだから息苦しい生活を送るのは当たり前なのかもしれない。でもハヨンはそう馬鹿げた質問を投げかけたくなるときがある。
リョンヘのあまりにも自由で、型にはまらない生き方をしているのを近くで見ているせいもあるだろう。
考え込むリョンヘの顔は、少し青ざめているせいか、いつもよりも体調が悪く見える。彼が心から笑い、心から安らげる場所はあるのだろうか、とハヨンは心配になる。
(私がこの人の身を守ることで、少しでも安らいでもらいたい…)
ハヨンは剣の柄をぎゅっと掴み、その重みを感じながら、考えるのだった。
しばらくして、ジンホ王子の訪問を歓迎する宴が、広間で始まった。
「この国はいい。自然が豊かだ。」
ジンホは外を眺めながらそう呟いた。この広間は、大きな窓があり、皆はその窓に向かって座り、自然の美しさを楽しむという形になっている。
燐の国は獣を操る国。しかしそれと共に力を貸してもらっている獣達に敬意を払い、自然豊かな国でもある。
城にも至る所に木が根をおろし、庭は四季折々の花を咲かせる。そこには池もあり、鳥等が羽を休めて水を飲む姿は日常となっていた。
「ありがとうございます」
リョンヤンはそう笑いながら侍女達に酒を注ぐように目で指示をした。ヨンホは相当な豪酒のようで、みるみるうちに杯の酒を飲み干してゆく。
対照的にリョンヤンは一口ほどしか口にしていなかったので、やはりここにも違いが現れるのだな、とハヨンは何となく面白かった。
宴にはリョンヘも参加しており、黙って食事をしていた。どうやら城でのリョンヘの姿は、厳格な王子とされているらしい。最近それを知ったハヨンは、心の底では彼を心配していた。
リョンの時とはかけ離れた表情で過ごし、陰では獣を操れない王子、出来損ないの王子、と言われながらも、貴族に対抗しながら平民派の先陣をきっている。彼の心は休まっているのだろうか。
時折話しかけられて無難に答えているリョンヘを見て、だんだんとその不安が募ってゆく。
(何だか二人が壊れてしまわないか恐い。)
そんな脆くもないはずの二人を心配してしまうのはやはり主人として、友達として慕っているからか。
これから大きく国の様子が動いていくことがわかった以上、二人とも何かしらの問題に巻き込まれていく。そして、この国も民も、母も、大切な者達の行く末が左右される。
(全ての人を守れる力が欲しい、私はまだ、こんなにも力が足りない…)
二人の王子の顔を見ながら、今日のジンホとの手合わせを思い出す。白虎隊での鍛錬では通用していたためか、慢心していた。上には上がいるのだ。ハヨンは焦燥を抑えるために、ぐっと歯を食い縛るのだった。
こうして他国の王子と関わっていくことで、この燐がどのような状態に置かれているのかを、ハヨンは初めて知っていく。そうやって己の力の無さを痛感しているうちに、ジンホ一行が城を出る日となった。
「ではそろそろ出発いたします。短い間でしたが、お世話になりました。」
数日の間に、リョンヤンとヨンホはまったく性格が違っていたものの、政策や戦術の考え方では一致したらしく、かなり親しくなっていた。
「また、戦術について語ろうではないか、リョンヤン王子。」
「そうですね。まだまだ話足りなかったですし、次の機会の時を楽しみにしてます」
二人が随分と親しげに話すようになったので、ハヨンは何だか微笑ましく思えてくる。
(なんでだろう、こんなふうに思うの失礼かな。いや、でも見た目も全然違う二人がこうやって楽しそうにお話しなさっているのって意外だし、嬉しいと言うか…)
ハヨンはなぜだか二人に申し訳なさを感じて、心の中で言い訳をしていた。
「では、失礼いたします。」
そうして共に見送りに来ていた王にも一礼して、一行は去って行ったのだった。
ジンホ達の後ろ姿が完全に見えなくなった後、思わずふうっと息をもらす従者が何人かいた。どうやら始終緊張していたので、疲れたらしい。
みなその後はそれぞれの持ち場に戻ってゆく。ハヨンもこれからの予定を聞いていなかったので、ヘウォンを訪ねようと思っていたら、リョンヤンに呼び止められた。
「どうかなさいましたか?」
「いえ、初めての大役お疲れ様でした。ヘウォン殿には伝えてあるので、今日はもうゆっくり休んでください。」
「ありがとうございます」
ハヨンもリョンヤンに労いの言葉をかけられてやっと仕事が終わったことを実感する。そのせいか何やらいつもより肩が重く感じた。筋肉が緊張で強張っていたのだろう。
「またあなたに頼みたいことがあるんですが、明日の朝、隊の朝礼が終わったらすぐに私のもとに来てはくれませんか」
「はい、承知しました。」
ハヨンはリョンヤンに一礼し、下女の宿舎に足を向ける。
(今日までの、そしてこれからの行動が幸となるか不幸となるかわからないけど、私はリョンヤン様の護衛者として、リョンの友達として精一杯あがこう。)
ハヨンはジンホから入った知らせを思い返しながらそう心に決めた。高く昇った日は、ハヨンを力強く照らしているのだった。
彼らが去ったあと、リョンヤンはこめかみを手で押さえながらそう呟いた。
国と国同士の緊張が高まる中、さらに内側でも不穏な動きがあるのだから、対処するには時間も手間もかかるだろう。
「私もまさかこんなことが起こっているなんて思ってもみませんでした。」
ハヨンは少しだけ緊張をときながらそう答える。ジンホの護衛者の目付きは、やはり長い間戦ってきた戦士の目をしていて、彼の纏っている空気はあまりにも重かった。ハヨンとしては同じ職に就く者として、やはり一緒の空間にいるのは緊張したのだ。
(黙っているだけでもあんなに迫力があるなんて…。自分もいつかはそうなれるかな。)
戦わずして相手を怯ませる。そんな力をハヨンは羨ましく思う。
「同盟を結ぶ時は多分こちらから向こうへ出向かねばならないでしょう。私は行けないから、リョンヘが父上の使者として出向くでしょうね。」
リョンヤンはやはり体が弱いので、あまり外を出歩くことがない。もし仮に外出先で体調をくずしては危険だからだ。
本人には決して言えないが、ハヨンには彼は鳥かごの鳥のように見えることがある。ハヨンがこの城に来てから彼が城の外に出るのを見たことが無いのだ。
息苦しくはありませんか。
王子なのだから息苦しい生活を送るのは当たり前なのかもしれない。でもハヨンはそう馬鹿げた質問を投げかけたくなるときがある。
リョンヘのあまりにも自由で、型にはまらない生き方をしているのを近くで見ているせいもあるだろう。
考え込むリョンヘの顔は、少し青ざめているせいか、いつもよりも体調が悪く見える。彼が心から笑い、心から安らげる場所はあるのだろうか、とハヨンは心配になる。
(私がこの人の身を守ることで、少しでも安らいでもらいたい…)
ハヨンは剣の柄をぎゅっと掴み、その重みを感じながら、考えるのだった。
しばらくして、ジンホ王子の訪問を歓迎する宴が、広間で始まった。
「この国はいい。自然が豊かだ。」
ジンホは外を眺めながらそう呟いた。この広間は、大きな窓があり、皆はその窓に向かって座り、自然の美しさを楽しむという形になっている。
燐の国は獣を操る国。しかしそれと共に力を貸してもらっている獣達に敬意を払い、自然豊かな国でもある。
城にも至る所に木が根をおろし、庭は四季折々の花を咲かせる。そこには池もあり、鳥等が羽を休めて水を飲む姿は日常となっていた。
「ありがとうございます」
リョンヤンはそう笑いながら侍女達に酒を注ぐように目で指示をした。ヨンホは相当な豪酒のようで、みるみるうちに杯の酒を飲み干してゆく。
対照的にリョンヤンは一口ほどしか口にしていなかったので、やはりここにも違いが現れるのだな、とハヨンは何となく面白かった。
宴にはリョンヘも参加しており、黙って食事をしていた。どうやら城でのリョンヘの姿は、厳格な王子とされているらしい。最近それを知ったハヨンは、心の底では彼を心配していた。
リョンの時とはかけ離れた表情で過ごし、陰では獣を操れない王子、出来損ないの王子、と言われながらも、貴族に対抗しながら平民派の先陣をきっている。彼の心は休まっているのだろうか。
時折話しかけられて無難に答えているリョンヘを見て、だんだんとその不安が募ってゆく。
(何だか二人が壊れてしまわないか恐い。)
そんな脆くもないはずの二人を心配してしまうのはやはり主人として、友達として慕っているからか。
これから大きく国の様子が動いていくことがわかった以上、二人とも何かしらの問題に巻き込まれていく。そして、この国も民も、母も、大切な者達の行く末が左右される。
(全ての人を守れる力が欲しい、私はまだ、こんなにも力が足りない…)
二人の王子の顔を見ながら、今日のジンホとの手合わせを思い出す。白虎隊での鍛錬では通用していたためか、慢心していた。上には上がいるのだ。ハヨンは焦燥を抑えるために、ぐっと歯を食い縛るのだった。
こうして他国の王子と関わっていくことで、この燐がどのような状態に置かれているのかを、ハヨンは初めて知っていく。そうやって己の力の無さを痛感しているうちに、ジンホ一行が城を出る日となった。
「ではそろそろ出発いたします。短い間でしたが、お世話になりました。」
数日の間に、リョンヤンとヨンホはまったく性格が違っていたものの、政策や戦術の考え方では一致したらしく、かなり親しくなっていた。
「また、戦術について語ろうではないか、リョンヤン王子。」
「そうですね。まだまだ話足りなかったですし、次の機会の時を楽しみにしてます」
二人が随分と親しげに話すようになったので、ハヨンは何だか微笑ましく思えてくる。
(なんでだろう、こんなふうに思うの失礼かな。いや、でも見た目も全然違う二人がこうやって楽しそうにお話しなさっているのって意外だし、嬉しいと言うか…)
ハヨンはなぜだか二人に申し訳なさを感じて、心の中で言い訳をしていた。
「では、失礼いたします。」
そうして共に見送りに来ていた王にも一礼して、一行は去って行ったのだった。
ジンホ達の後ろ姿が完全に見えなくなった後、思わずふうっと息をもらす従者が何人かいた。どうやら始終緊張していたので、疲れたらしい。
みなその後はそれぞれの持ち場に戻ってゆく。ハヨンもこれからの予定を聞いていなかったので、ヘウォンを訪ねようと思っていたら、リョンヤンに呼び止められた。
「どうかなさいましたか?」
「いえ、初めての大役お疲れ様でした。ヘウォン殿には伝えてあるので、今日はもうゆっくり休んでください。」
「ありがとうございます」
ハヨンもリョンヤンに労いの言葉をかけられてやっと仕事が終わったことを実感する。そのせいか何やらいつもより肩が重く感じた。筋肉が緊張で強張っていたのだろう。
「またあなたに頼みたいことがあるんですが、明日の朝、隊の朝礼が終わったらすぐに私のもとに来てはくれませんか」
「はい、承知しました。」
ハヨンはリョンヤンに一礼し、下女の宿舎に足を向ける。
(今日までの、そしてこれからの行動が幸となるか不幸となるかわからないけど、私はリョンヤン様の護衛者として、リョンの友達として精一杯あがこう。)
ハヨンはジンホから入った知らせを思い返しながらそう心に決めた。高く昇った日は、ハヨンを力強く照らしているのだった。
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