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人は恋に踊らされる
おかしな展開
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滓の国の第二王子の訪問を前に、ハヨンとリョンヤンは宴会の手配や、役人からの滓についての近況報告を聞いたりと様々な仕事に追われていた。
というのも、今回の滓の王子の訪問は、リョンヤンがもてなすことになったのだ。やはり他国の王子をもてなすのは、年頃も近く、身分も近しい者の方が打ち解けやすい。そのため、王子との親交をはかるための催しや、城の案内の方法など、覚えなければならないことが、膨大なのだ。
一方ハヨンは、そのリョンヤンの護衛をするので、リョンヤンの一日の行程や、王子たちの訪れる場所の警備体制などを話し合う。
白虎隊の基礎訓練などは毎日護衛の間を縫って参加していたのだが、今はもう、休憩をとることも難しく、夜には寝台に倒れ込んだまま、寝入ってしまう。
「どうだ、最近。」
「めちゃくちゃ忙しい。でも楽しいよ。」
そんな中、珍しくハヨンが少し寝坊した。いつもの場所に姿を現した彼女の目元に、隈が出来ていることに気がついたリョンがそう尋ねると元気な返事が返ってきた。
精神的なものでは特に追い詰められているわけでも無いようなので、リョンはハヨンに体調管理について言及しないことにする。
「そう言えばね、だいぶ噂が広まってるみたいでねリョンヤン様に質問されたよ」
「それは…結構気まずいな。大丈夫だったか?」
「うん。大丈夫。」
最近ハヨンは稽古をしながらリョンと話すという方法を止めて、以前よりも早くこの場所に来て、稽古をしてからリョンに会うようにしているらしい。リョンのもとを訪れるときには既に汗が流れていたり、息があがっていたりする。
リョンもハヨンと過ごすのは心地がいいので嬉しいのだが、時折自分がハヨンの稽古の邪魔をしてはいないかと心配になっていた。
「あ、そう言えばね。最近私のことを探してる貴族がいるらしいの。残念ながら叔父様の家をずっと訪ねていて、私が城にいることに気づいてないみたいだけど」
「何か手を打った方がいいかもな。そう言えばハヨン、貴族を避難させる前に普通に刺客とやりあってたけど、それでもハヨンが兵士だと気づかなかったのか?」
彼女のあの時の動きは、並みのものではなかった。普通なら彼女が、ただの貴族の娘ではないと分かるはずだ。
「うん。チュ家がもともと武官が多いから、その影響でちょっと勇ましいお嬢さんと思ってるらしいよ。」
「…ちょっと勇ましいねぇ。」
どうやらハヨンを見初めた貴族は、節穴だったようだ。彼女の腕前は、勇ましいの一言で表せるものではない。リョンもそれなりに剣を扱えると自負しているが、彼女のあの目覚ましい反射速度には勝てる自信がない。
リョンの反応にハヨンは楽しそうに笑う。彼女は女扱いをすると照れるくせに、そういった強いなどという言葉には素直に喜ぶ。リョンは心の中で彼女らしい、と呟いた。
というのも、今回の滓の王子の訪問は、リョンヤンがもてなすことになったのだ。やはり他国の王子をもてなすのは、年頃も近く、身分も近しい者の方が打ち解けやすい。そのため、王子との親交をはかるための催しや、城の案内の方法など、覚えなければならないことが、膨大なのだ。
一方ハヨンは、そのリョンヤンの護衛をするので、リョンヤンの一日の行程や、王子たちの訪れる場所の警備体制などを話し合う。
白虎隊の基礎訓練などは毎日護衛の間を縫って参加していたのだが、今はもう、休憩をとることも難しく、夜には寝台に倒れ込んだまま、寝入ってしまう。
「どうだ、最近。」
「めちゃくちゃ忙しい。でも楽しいよ。」
そんな中、珍しくハヨンが少し寝坊した。いつもの場所に姿を現した彼女の目元に、隈が出来ていることに気がついたリョンがそう尋ねると元気な返事が返ってきた。
精神的なものでは特に追い詰められているわけでも無いようなので、リョンはハヨンに体調管理について言及しないことにする。
「そう言えばね、だいぶ噂が広まってるみたいでねリョンヤン様に質問されたよ」
「それは…結構気まずいな。大丈夫だったか?」
「うん。大丈夫。」
最近ハヨンは稽古をしながらリョンと話すという方法を止めて、以前よりも早くこの場所に来て、稽古をしてからリョンに会うようにしているらしい。リョンのもとを訪れるときには既に汗が流れていたり、息があがっていたりする。
リョンもハヨンと過ごすのは心地がいいので嬉しいのだが、時折自分がハヨンの稽古の邪魔をしてはいないかと心配になっていた。
「あ、そう言えばね。最近私のことを探してる貴族がいるらしいの。残念ながら叔父様の家をずっと訪ねていて、私が城にいることに気づいてないみたいだけど」
「何か手を打った方がいいかもな。そう言えばハヨン、貴族を避難させる前に普通に刺客とやりあってたけど、それでもハヨンが兵士だと気づかなかったのか?」
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「うん。チュ家がもともと武官が多いから、その影響でちょっと勇ましいお嬢さんと思ってるらしいよ。」
「…ちょっと勇ましいねぇ。」
どうやらハヨンを見初めた貴族は、節穴だったようだ。彼女の腕前は、勇ましいの一言で表せるものではない。リョンもそれなりに剣を扱えると自負しているが、彼女のあの目覚ましい反射速度には勝てる自信がない。
リョンの反応にハヨンは楽しそうに笑う。彼女は女扱いをすると照れるくせに、そういった強いなどという言葉には素直に喜ぶ。リョンは心の中で彼女らしい、と呟いた。
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