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剣士の休日
里帰り 參
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「ねぇ、ヨウさん。人のものとは思えないような力ってあると思う?」
宵も深まった頃、酒を口にしはじめたヨウにハヨンは尋ねた。こんな非現実的な話を素面の人に聞いてもらうのはなんだか恥ずかしかったからだ。
チャンヒは朝早くから畑仕事があるので、もう寝付いてしまい、ハヨンはヨウ朝方まで話し込むことになった。
「まぁ、まずは王族の持つ力はそうだな。」
「うん、そうなんだけど、王族以外の人も不思議な力を持つことはあるかな。」
ハヨンはどうしてもあの宴会で、暗殺者の負った火傷の正体を知りたかった。しかし、奇妙な体験のため、なかなか話しづらいのだ。
「…何かあったのか」
ハヨンが無意味な質問をする性格ではないと知っていたヨウは、口もとへ徳利を運ぶ手を止めた。
「うん、私が一回刺客と一対一で対峙したときに、急に辺りが眩しくなって、気がついたら暗殺者は倒れて火傷を負っていたの。でもそこは宴会場だったから、火なんてなかったし、刺客だけ火傷を負ってて、他は焦げさえもなかったの。へウォン様達と考えたんだけどわからなかった」
「火ならば朱雀か…」
「え?」
「考えるとすれば、城内での異変に気づいた朱雀が何かしたと考えられるんじゃないか?朱雀は火の力を持つしな。」
「…ヨウさんは朱雀とか四獣とか信じてるの?」
ヨウは見えるものしか信じないとでも言いそうな人物だと思っていたので、ハヨンは心底驚いた。
「うーん、信じてるのかはわからん。昔、故郷の国を出ていろいろなものを見ると、何が起こってもおかしくは無いんだなと思えるようになってな。それに伝説になってるものは、急にどこかから急に出て話ができた訳じゃない。何かわけがあるから伝説になったんだろ?だから朱雀ではなくとも朱雀に近いものはいるかもしれないしな。」
確かに、不可解なことが起きるのは、必ずしも伝説の四獣達と仕業とは限らない。伝説とは何でも誇張・美化されるものだ。
「ヨウさんが、城を守ろうと力がはたらいているっていうのには私も賛同する。何回か護衛するときに、気がつくと勝手に暗殺者に応戦してたことがあったの」
「それは勘、ではなくてか?」
人は武道を極めると、人の微かな動きや息遣いでも察することができるようになる。そして、危機的な物事にも咄嗟に対応していることもある。ヨウはそのことを言っているのだろう。
「うーん、私異変にはいつも気づけるんだけど、その正体に気付く前に、いつのまにか応戦してるんだよね。」
何度思い返しても、無意識のうちであると言いはることができる。
「わしはそんなことあったことが無いな。城には何かあるんじゃないか?」
「そうかもね。それにリョンヘ王子は不可解なことによく巻き込まれるらしいし。」
城でのことは考えれば考えるほど疑問が沸き起こってくる。なぜリョンヘばかり妙な事件に遭うのか。それにこの前はリョンヘだけでなく、王族や貴族を巻き込んだ事件だった。
「そういえばこの前の刺客は何者かに操られているみたいだったし、不気味なことばかりだよ。」
「そいつはなんだ、洗脳でもされたのか?」
ハヨンは頭を振った。その方がどんなに話が単純だっただろうか。
やはり様々なものを見聞きしたヨウでさえ、首をひねっている。
「暗殺をしかけたこと以外は全部覚えてるの。それに意識もはっきりとしていてそうとは見えないの。」
もう殆ど迷宮入りの案件だ。可愛そうに彼はもう永久に牢から出れないだろう。
「黒幕がわかればいいんだけどな。」
ハヨンはため息をつきながら体をぐっと反らし、伸びをする。この話はいつも煮詰まって疲れる。
「…でもそれを知った者は生きているのが難しいだろうな。」
黒幕がどんな力を持っているのかさえもわからないからだ。
ハヨンは城に仕えるのは、地位や衣食住は保証されるが、命が保証されないのは、どこも同じだな、と考えた。しかし、誰かの陰謀に巻き込まれて命を落とすのは避けたいと願うハヨンだった。
宵も深まった頃、酒を口にしはじめたヨウにハヨンは尋ねた。こんな非現実的な話を素面の人に聞いてもらうのはなんだか恥ずかしかったからだ。
チャンヒは朝早くから畑仕事があるので、もう寝付いてしまい、ハヨンはヨウ朝方まで話し込むことになった。
「まぁ、まずは王族の持つ力はそうだな。」
「うん、そうなんだけど、王族以外の人も不思議な力を持つことはあるかな。」
ハヨンはどうしてもあの宴会で、暗殺者の負った火傷の正体を知りたかった。しかし、奇妙な体験のため、なかなか話しづらいのだ。
「…何かあったのか」
ハヨンが無意味な質問をする性格ではないと知っていたヨウは、口もとへ徳利を運ぶ手を止めた。
「うん、私が一回刺客と一対一で対峙したときに、急に辺りが眩しくなって、気がついたら暗殺者は倒れて火傷を負っていたの。でもそこは宴会場だったから、火なんてなかったし、刺客だけ火傷を負ってて、他は焦げさえもなかったの。へウォン様達と考えたんだけどわからなかった」
「火ならば朱雀か…」
「え?」
「考えるとすれば、城内での異変に気づいた朱雀が何かしたと考えられるんじゃないか?朱雀は火の力を持つしな。」
「…ヨウさんは朱雀とか四獣とか信じてるの?」
ヨウは見えるものしか信じないとでも言いそうな人物だと思っていたので、ハヨンは心底驚いた。
「うーん、信じてるのかはわからん。昔、故郷の国を出ていろいろなものを見ると、何が起こってもおかしくは無いんだなと思えるようになってな。それに伝説になってるものは、急にどこかから急に出て話ができた訳じゃない。何かわけがあるから伝説になったんだろ?だから朱雀ではなくとも朱雀に近いものはいるかもしれないしな。」
確かに、不可解なことが起きるのは、必ずしも伝説の四獣達と仕業とは限らない。伝説とは何でも誇張・美化されるものだ。
「ヨウさんが、城を守ろうと力がはたらいているっていうのには私も賛同する。何回か護衛するときに、気がつくと勝手に暗殺者に応戦してたことがあったの」
「それは勘、ではなくてか?」
人は武道を極めると、人の微かな動きや息遣いでも察することができるようになる。そして、危機的な物事にも咄嗟に対応していることもある。ヨウはそのことを言っているのだろう。
「うーん、私異変にはいつも気づけるんだけど、その正体に気付く前に、いつのまにか応戦してるんだよね。」
何度思い返しても、無意識のうちであると言いはることができる。
「わしはそんなことあったことが無いな。城には何かあるんじゃないか?」
「そうかもね。それにリョンヘ王子は不可解なことによく巻き込まれるらしいし。」
城でのことは考えれば考えるほど疑問が沸き起こってくる。なぜリョンヘばかり妙な事件に遭うのか。それにこの前はリョンヘだけでなく、王族や貴族を巻き込んだ事件だった。
「そういえばこの前の刺客は何者かに操られているみたいだったし、不気味なことばかりだよ。」
「そいつはなんだ、洗脳でもされたのか?」
ハヨンは頭を振った。その方がどんなに話が単純だっただろうか。
やはり様々なものを見聞きしたヨウでさえ、首をひねっている。
「暗殺をしかけたこと以外は全部覚えてるの。それに意識もはっきりとしていてそうとは見えないの。」
もう殆ど迷宮入りの案件だ。可愛そうに彼はもう永久に牢から出れないだろう。
「黒幕がわかればいいんだけどな。」
ハヨンはため息をつきながら体をぐっと反らし、伸びをする。この話はいつも煮詰まって疲れる。
「…でもそれを知った者は生きているのが難しいだろうな。」
黒幕がどんな力を持っているのかさえもわからないからだ。
ハヨンは城に仕えるのは、地位や衣食住は保証されるが、命が保証されないのは、どこも同じだな、と考えた。しかし、誰かの陰謀に巻き込まれて命を落とすのは避けたいと願うハヨンだった。
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