華の剣士

小夜時雨

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新たな任務

任務の内容

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「宴会での護衛ですか。」

  リョンヤンの護衛も慣れ、だんだんと様々な場所で任されるようになった頃、ハヨンはヘウォンに呼び出された。

「そうだ。お前が白虎に入ってきたとき、元はお前の役目は宴会での護衛が主になる予定だったんだ。」

元は、というのはハヨンがリョンヤンの専属護衛になったからだろう。

「なぜ私なのです?屈強な兵士はいくらでもいるではありませんか。」

  宴会は王族と堂々と会うことのできる場所。そして招かれた客の知合いとして、暗殺者が忍び込みやすい場所でもある。そんな危険な場所にハヨンのような新人で女人を呼べば、なめられて余計によくない輩が増えるのではないのか。
  ハヨンはそう疑問をぶつけたが、ヘウォンはむしろ逆だと言った。

「同じ来賓の者だと思っていて、実は兵士だったら、今度はどんな手を使ってくるか、と相手も警戒して次は簡単に手を出さなくなるだろう?それにお前の存在を知らないやつらは、王族が丸腰状態だと思って油断する。そのことで怪しい奴を見つけられる。」

  どうやらハヨンをそして王族を囮にする前提の作戦のようだ。ハヨンは憤慨してしまった。

「もしそれで相手がかかってきたらどうするんですか!」
「そりゃあ、ハヨンがしとめるんだ。やれない訳ではないだろう?それに室内だと、屈強ながたいのいい男よりも身のこなしが軽いお前の方が有利だ。」

   確かに、ハヨンは負ける気は毛頭ない。しかしハヨンを囮にするなら、相手が警戒しないよう、剣は携えることはできない。

「私は何で戦えばよいでしょう。」
「うーん、暗器や短刀が主になるか。ハヨンの十八番おはこの剣は使いづらいからなぁ。あとはお前のもう一つ得意な体術か。」
(今まで思い入れが強いから、つい剣を重点的に極めていたけど、これからは他も平等に特訓しなければ。)

ハヨンはそう心のなかで考えて、朝の鍛錬の時間を変更することを決める。

「それでこれが今回の宴会での立ち位置だ。」

  ヘウォンが机の上に広げた見取り図を見れば、王族や来賓がどこに座り、白虎の面々がどこに立っているかを示していた。白虎は部屋の四隅に配置されている。

「あの…。私の位置が示されていないのですが…。」

四隅を見ても、先輩隊員の名前が示されているだけ。

「それは言っただろう?お前は囮だと。」
「っまさか…。」
「そのまさかだ。お前は家臣側の席で、宰相に次いで王族の席に最も近い位置に座ってもらう。」

   確かにその位置を見れば自分の名がかかれてあった。将軍のヘウォンや、大臣よりも王族に近い位置なので、度肝を抜かれる。
  女官で最高位を持っている女性でも大臣と隣あっているのに、ハヨンはなんという位置付けだろうと目眩がしそうだった。

「何か有れば直ちに対処できる場所だ。位のことは気にしなくていい。自分の力を最大限発揮することだけ考えろ。」

  まるで武道の大会に出る弟子に応援しているかのような言葉かけだが、全然状況が重なっていない。ハヨンにはヘウォンの言葉に悩まされる位逆効果だ。

「が、頑張ります。」

  重大任務を任されて嬉しいのだが、あまりにも責任が重いし、立場も微妙だ。ハヨンは珍しく弱腰になってしまった。








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