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リョンヤン王子
呼び出し弐
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「あんなに自信満々に入隊試験を受けに来た人がこんなに緊張するなんてな。これから先、王族の方とお会いする機会もあるから慣れなくてはならないのに。意外とあがり症か?」
ヘウォンは面白いことを知ってしまったと言わんばかりに笑っている。ハヨンは少しむっとして、
「いけませんか?」
と半ばむきになって尋ねてみる。
「いやいや、ハヨンにも年相応なところがあって安心した。初任務も難なくこなして、泰然自若としているから、肝が座りすぎだなぁとは思ってたんだ。」
ヘウォンがハヨンをからかっていることは少し面白くなかったが、褒め言葉が端々にあるのを感じる。
「もう少し待っていてください。私、ヘウォン様に追い付きますので。」
と嬉しくなって、ハヨンは少し冗談を言ってみる。
「おっ、言ったなぁ?お前。」
そうこうしているうちに、王子の執務室の前に着いた。
「ヘウォン様とチュ・ハヨン殿ですね。今確認を取ります。」
戸口に立っていた兵士が執務室の中に入る。暫くして彼は出てきて、ハヨンたちを中に入れた。
「この前はどうもありがとう。おかげで助かりました。ハヨン殿」
リョンヤン王子はハヨン達が一礼し、背筋を伸ばして直立しているところに近づいてくる。
「そんなにかしこまらないで楽にしてください。」
リョンヤン王子は優しそうな笑みを浮かべている。
「先ほどのお二人の会話、執務室にも聞こえていました。仲がよろしいんですね。」
上官と上手くいくことはいいことです、とリョンヤン王子は言っていたが、ハヨンはあの会話を聞かれたのか恥ずかしくて仕方なかった。
(…リョンヤン王子にふざけているところを聞かれてしまった…!)
ハヨンは今にでも顔から火でもでそうだった。ハヨンは確かにヘウォンを追いつきたい憧れの上官と思っているが、それを冗談めかして伝えられるのはヘウォンが大らかな上官だからだ。その自分の目標の一つを、本人以外の人間にも聞かれていたというのは少し気まずいものだ。
「さて、今日私があなたを呼んだのは、お礼を言うためだけではないんです。」
(お礼を言うにしては妙だとは思ってたけど、的中するとは…)
ただお礼を言いたいのなら、忙しい王子の身なのだから、従者に感謝の意を述べる書状の1つでも書いて、持っていかせればいいのだから。
「もうヘウォン殿とハイル殿には伝えているんですが、ハヨン殿、私の専属護衛の一人になってはもらえませんか。」
(…ええっ!)
何かあると思っていたとはいえ、さすがに一足飛びで専属護衛を頼まれるようになるなんて思ってもみなかったので、ハヨンは心底驚いた。
「私、あなたの太刀捌きには惚れ惚れさせられました。洗練されて無駄がない。それに、あなたのように機転も利く方に守っていただけるなら、怖いものなしです。」
ハヨンはリョンヤン王子に、おしとやかな印象を持っていたのだが、少し興奮ぎみに話すリョンヤン王子の姿を見て、彼の無邪気なところを垣間見た気がした。
「リョンヤン王子は、武術を学ぶのがお好きなんですよ。」
「まぁ、私は体が弱いので、見るのが好きと言うだけで、実際強くはないんですが。」
と補足したヘウォンの言葉を聞き、少し照れたように話すリョンヤン王子。上からもの申すようでもなく、優しい雰囲気で、好感が持てた。
「それで、ハヨンはどうする。」
ヘウォンはハヨンに真剣な眼差しを向けた。これはハヨンの言葉で大きな事が一つ決まるのだ。何しろ、この国の王子に関わることなのだから。
ハヨンは声が震えそうになると思い、息を整えた。
「…謹んでお請けします。」
これはまた、新たな歴史の始まりだった。
ヘウォンは面白いことを知ってしまったと言わんばかりに笑っている。ハヨンは少しむっとして、
「いけませんか?」
と半ばむきになって尋ねてみる。
「いやいや、ハヨンにも年相応なところがあって安心した。初任務も難なくこなして、泰然自若としているから、肝が座りすぎだなぁとは思ってたんだ。」
ヘウォンがハヨンをからかっていることは少し面白くなかったが、褒め言葉が端々にあるのを感じる。
「もう少し待っていてください。私、ヘウォン様に追い付きますので。」
と嬉しくなって、ハヨンは少し冗談を言ってみる。
「おっ、言ったなぁ?お前。」
そうこうしているうちに、王子の執務室の前に着いた。
「ヘウォン様とチュ・ハヨン殿ですね。今確認を取ります。」
戸口に立っていた兵士が執務室の中に入る。暫くして彼は出てきて、ハヨンたちを中に入れた。
「この前はどうもありがとう。おかげで助かりました。ハヨン殿」
リョンヤン王子はハヨン達が一礼し、背筋を伸ばして直立しているところに近づいてくる。
「そんなにかしこまらないで楽にしてください。」
リョンヤン王子は優しそうな笑みを浮かべている。
「先ほどのお二人の会話、執務室にも聞こえていました。仲がよろしいんですね。」
上官と上手くいくことはいいことです、とリョンヤン王子は言っていたが、ハヨンはあの会話を聞かれたのか恥ずかしくて仕方なかった。
(…リョンヤン王子にふざけているところを聞かれてしまった…!)
ハヨンは今にでも顔から火でもでそうだった。ハヨンは確かにヘウォンを追いつきたい憧れの上官と思っているが、それを冗談めかして伝えられるのはヘウォンが大らかな上官だからだ。その自分の目標の一つを、本人以外の人間にも聞かれていたというのは少し気まずいものだ。
「さて、今日私があなたを呼んだのは、お礼を言うためだけではないんです。」
(お礼を言うにしては妙だとは思ってたけど、的中するとは…)
ただお礼を言いたいのなら、忙しい王子の身なのだから、従者に感謝の意を述べる書状の1つでも書いて、持っていかせればいいのだから。
「もうヘウォン殿とハイル殿には伝えているんですが、ハヨン殿、私の専属護衛の一人になってはもらえませんか。」
(…ええっ!)
何かあると思っていたとはいえ、さすがに一足飛びで専属護衛を頼まれるようになるなんて思ってもみなかったので、ハヨンは心底驚いた。
「私、あなたの太刀捌きには惚れ惚れさせられました。洗練されて無駄がない。それに、あなたのように機転も利く方に守っていただけるなら、怖いものなしです。」
ハヨンはリョンヤン王子に、おしとやかな印象を持っていたのだが、少し興奮ぎみに話すリョンヤン王子の姿を見て、彼の無邪気なところを垣間見た気がした。
「リョンヤン王子は、武術を学ぶのがお好きなんですよ。」
「まぁ、私は体が弱いので、見るのが好きと言うだけで、実際強くはないんですが。」
と補足したヘウォンの言葉を聞き、少し照れたように話すリョンヤン王子。上からもの申すようでもなく、優しい雰囲気で、好感が持てた。
「それで、ハヨンはどうする。」
ヘウォンはハヨンに真剣な眼差しを向けた。これはハヨンの言葉で大きな事が一つ決まるのだ。何しろ、この国の王子に関わることなのだから。
ハヨンは声が震えそうになると思い、息を整えた。
「…謹んでお請けします。」
これはまた、新たな歴史の始まりだった。
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