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リョンヤン王子
派閥
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ハヨンは自室に帰ってから、ようやくリョンヤン王子が昔、自分を助けてくれた恩人だったかを考え始めた。
(顔は…。まぁ、目もととか似ていたし、結構似通っている所は多かったなぁ。)
しかし、彼と親戚だから似ているということも十分ありうるし、何しろ十年も前のことだ。この年頃の者なら顔立ちが変化することもある。
(ただ、雰囲気が全然似てない…。あんな優しそうな感じじゃなくてもっとこう…。生意気な感じだった?)
と考えてから、これでは不敬にあたるのでは、とハヨンは少々焦った。しかし王族はリョンヤン王子一人ではない。これからはもっと警備の仕事が増えるからと大体の王族の名前は教えて貰った。
(いつかあの人に恩返しできる日が来るといいな…。)
ハヨンは今日教えて貰ったことを忘れないように紙に書き留めていく。そんなことをしながら、ふとリョンのことを思い出した。
(武闘会の朝以来会ってないな…。それに気が散るからって結構雑に対応した気がする。会ったら謝らなきゃ。)
ハヨンはこの前まで週に一度は会えていたのに、もう十日も会っていないことに気がつく。
(…何かあったのかな。)
あんな怪しい男、気にする必要など無いのに、と考えながらも妙に心に残るのだった。
「それで、犯人は何者だったんですか?」
ガドンに呼び出されたハヨンと、あの日花の間の辺りを警備していた兵士達はようやく犯人の事情を証して貰えることになった。
ようやく、といってもハヨンは下っぱの下っぱなので、王族に深く関わることを教えてもらえるかも分からなかったから、まさかと言った方が正しいかもしれない。
「あいつはやはり、踊り手のヒョヌンだった。どうやらリョンヤン王子に反感を持つ庶民の一派が寄越した刺客だったようだな。」
(リョンヤン王子に反感を持つ人もいるのか…)
やはり王族になると存在するだけで邪魔と判断され、会ったことも無いのに憎まれたりするのだ。
「ハヨンはまだ、この城に来たばかりだからわからないだろうな。これはあまり表だって言いたくはないんだが、やはりこの城でも派閥があるんだ。」
ガドンは部屋の外に声が漏れないよう、声をひそめる。余程矢面には出せないことなのだ。
「この国はな、王が認めた者が次期王になるんだ。例えば今の王だって5人兄弟の末息子だった。だから表向きはリョンヤン王子が第一王位継承者だが、今からでも新たに王子が生まれれば、その王子が次の王かもしれない。
それで、次の王は誰々が良いって臣下も国民も好き勝手に言って、王のご意志でしか次期王を決められないのだったら…。というわけだ。」
ガドンは言葉を濁したが、何を誤魔化したかはわかりきっていた。
「この城の者は大抵どれかの派閥に別れているから、それで揉めることはたまにあるが…。まぁ、周りに流されるなよ。」
きっとガドンも誰が王になって欲しいか、望みはあるだろう。しかし私情を挟まず話してくれたことは、ハヨンには大いに助かった。
(顔は…。まぁ、目もととか似ていたし、結構似通っている所は多かったなぁ。)
しかし、彼と親戚だから似ているということも十分ありうるし、何しろ十年も前のことだ。この年頃の者なら顔立ちが変化することもある。
(ただ、雰囲気が全然似てない…。あんな優しそうな感じじゃなくてもっとこう…。生意気な感じだった?)
と考えてから、これでは不敬にあたるのでは、とハヨンは少々焦った。しかし王族はリョンヤン王子一人ではない。これからはもっと警備の仕事が増えるからと大体の王族の名前は教えて貰った。
(いつかあの人に恩返しできる日が来るといいな…。)
ハヨンは今日教えて貰ったことを忘れないように紙に書き留めていく。そんなことをしながら、ふとリョンのことを思い出した。
(武闘会の朝以来会ってないな…。それに気が散るからって結構雑に対応した気がする。会ったら謝らなきゃ。)
ハヨンはこの前まで週に一度は会えていたのに、もう十日も会っていないことに気がつく。
(…何かあったのかな。)
あんな怪しい男、気にする必要など無いのに、と考えながらも妙に心に残るのだった。
「それで、犯人は何者だったんですか?」
ガドンに呼び出されたハヨンと、あの日花の間の辺りを警備していた兵士達はようやく犯人の事情を証して貰えることになった。
ようやく、といってもハヨンは下っぱの下っぱなので、王族に深く関わることを教えてもらえるかも分からなかったから、まさかと言った方が正しいかもしれない。
「あいつはやはり、踊り手のヒョヌンだった。どうやらリョンヤン王子に反感を持つ庶民の一派が寄越した刺客だったようだな。」
(リョンヤン王子に反感を持つ人もいるのか…)
やはり王族になると存在するだけで邪魔と判断され、会ったことも無いのに憎まれたりするのだ。
「ハヨンはまだ、この城に来たばかりだからわからないだろうな。これはあまり表だって言いたくはないんだが、やはりこの城でも派閥があるんだ。」
ガドンは部屋の外に声が漏れないよう、声をひそめる。余程矢面には出せないことなのだ。
「この国はな、王が認めた者が次期王になるんだ。例えば今の王だって5人兄弟の末息子だった。だから表向きはリョンヤン王子が第一王位継承者だが、今からでも新たに王子が生まれれば、その王子が次の王かもしれない。
それで、次の王は誰々が良いって臣下も国民も好き勝手に言って、王のご意志でしか次期王を決められないのだったら…。というわけだ。」
ガドンは言葉を濁したが、何を誤魔化したかはわかりきっていた。
「この城の者は大抵どれかの派閥に別れているから、それで揉めることはたまにあるが…。まぁ、周りに流されるなよ。」
きっとガドンも誰が王になって欲しいか、望みはあるだろう。しかし私情を挟まず話してくれたことは、ハヨンには大いに助かった。
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