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三章 中央区
対立する者達 3
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俺達は念の為一日休み、それから笹山高校を目指す事にした。
それが何故かと言えば、避難所と聞いて俺の頭に過ったのは黒薙による支配だったからだ。
もし避難所があのような状況になっていれば、戦わざるをえない状況になるかもしれない。その時、人に対して躊躇なく行動できるのは恐らく俺だけだろう。爺さんも人を斬ったことは無い、と言っていたし対人には向いていない。
そして、午前中の内に俺達は笹山高校へと到着した。少し年季を感じる壁、そして塀は有るが犬なら飛び越えてきそうな程の高さ。だがその塀に有刺鉄線が巻かれているのを見ると、中に人は残っているように思える。
まず俺だけが笹山高校の敷地へと足を踏み入れた。いざとなれば戦うつもりで、手には銃を持ったまま。もしもここに居る連中ぎ見れば、俺は危険人物とみなされ警戒してるだろう。
「誰か居ないか!」
俺は校舎に向かって大声で叫ぶ。だが校舎からは何も反応がなく、俺は首を傾げた。もしかしたらここは放棄されたのか?とそんな事が頭に過り、中に入ろうとした時だった。
校舎の窓の一つが開き、その窓から俺よりも年上に見える若い男性が顔を出して声を上げた。
「止まれ!ここへ何の用だ!」
「友人を探している!ここに御渡 孝、堅持 城悟という奴は居ないか!」
「……っ!ま、待っていろ!」
男性は窓を慌てて閉めてそのまま動きは無かった。だが、暫くして先程の男性が玄関から駆けててきて、俺の前で立ち止まる。
息は絶え絶えで、全力で走ってきたのが分かる。
「あ、あの二人の友人と言うのは本当か!?」
「そうだが……?」
どうやらこの男性が知っているのは間違いなさそうだが、何が様子がおかしい。まさか、二人に何か有ったのか?
「あの二人が仲違いして大変なんだ!頼む、話を聞いてくれ!」
まさか二人が?気になった俺は男性の言葉に耳を傾ける事にした。
「騒動が起きてから、この学校に自然と人が集まり避難所として運営される事になったんだ。 人数は百人を超えだが、幸いこの避難所には『希望の力』持ちが七人も居て、その力のお陰で何とかなっていた」
男性は話を続ける。
「けれど、次第に『ホープ』持ちの連中の不満が溜まっていたみたいで……一週間前に突然、御渡 孝をリーダーとした『ホープ』持ちの五人がこの避難所を離脱した」
「……そこに堅持 城悟もついて行ったのか?」
「いや、堅持君はここに残り、残る一人の『ホープ』持ちと休まず動き回っている。ただ……状況はあまり上手くいっていない」
この言い方から察するに、どうやら孝、城悟の二人は『ホープ』を持っているようだ。これに関しては俺には朗報だな。
「それから堅持君が何度か御渡君を説得しようと試みたようだが……数日前、彼はもう説得を諦めると言ってきた。恐らく……意見が合わずに言い争いにでもなったんじゃ無いだろうか」
あの二人……何やってんだよ。孝の行動は理解出来なくは無いが……城悟は相変わらず優し過ぎるというか何というか。だが、喧嘩するのは馬鹿だろ。
「な、なあ!頼む!あの二人を説得して、また前のような避難所に戻してくれ……!」
この男性のお陰で状況は理解出来たし、そこには感謝しよう。だが、避難所に戻すのは無理だ。俺はあの二人を引き抜こうと考えてここに来たのだから。
「まあ、城悟はここに居るんだろう?取り敢えず会わせてくれ。説得に関しては考えてみるが、約束は出来ない」
「あ、ああ……分かった。堅持君は今外に出ている筈だ、夕方になれば戻ってくると思う」
「なら、仲間と玄関で待たせて貰っても良いか?俺達もずっと歩いて来て疲れてるんだ」
「それは構わない。取り仕切っている人達には俺から言っておこう」
そう言って男性は俺の元を離れ、学校の中へと入って行った。
そして俺は爺さん達を呼び、そのまま玄関で城悟が戻るのを待つ事にした。生きていたのが分かり、久々に会えて嬉しいが……少し複雑な気持ちを抱えたまま、俺は夕方までの時間を過ごす事になる。
それが何故かと言えば、避難所と聞いて俺の頭に過ったのは黒薙による支配だったからだ。
もし避難所があのような状況になっていれば、戦わざるをえない状況になるかもしれない。その時、人に対して躊躇なく行動できるのは恐らく俺だけだろう。爺さんも人を斬ったことは無い、と言っていたし対人には向いていない。
そして、午前中の内に俺達は笹山高校へと到着した。少し年季を感じる壁、そして塀は有るが犬なら飛び越えてきそうな程の高さ。だがその塀に有刺鉄線が巻かれているのを見ると、中に人は残っているように思える。
まず俺だけが笹山高校の敷地へと足を踏み入れた。いざとなれば戦うつもりで、手には銃を持ったまま。もしもここに居る連中ぎ見れば、俺は危険人物とみなされ警戒してるだろう。
「誰か居ないか!」
俺は校舎に向かって大声で叫ぶ。だが校舎からは何も反応がなく、俺は首を傾げた。もしかしたらここは放棄されたのか?とそんな事が頭に過り、中に入ろうとした時だった。
校舎の窓の一つが開き、その窓から俺よりも年上に見える若い男性が顔を出して声を上げた。
「止まれ!ここへ何の用だ!」
「友人を探している!ここに御渡 孝、堅持 城悟という奴は居ないか!」
「……っ!ま、待っていろ!」
男性は窓を慌てて閉めてそのまま動きは無かった。だが、暫くして先程の男性が玄関から駆けててきて、俺の前で立ち止まる。
息は絶え絶えで、全力で走ってきたのが分かる。
「あ、あの二人の友人と言うのは本当か!?」
「そうだが……?」
どうやらこの男性が知っているのは間違いなさそうだが、何が様子がおかしい。まさか、二人に何か有ったのか?
「あの二人が仲違いして大変なんだ!頼む、話を聞いてくれ!」
まさか二人が?気になった俺は男性の言葉に耳を傾ける事にした。
「騒動が起きてから、この学校に自然と人が集まり避難所として運営される事になったんだ。 人数は百人を超えだが、幸いこの避難所には『希望の力』持ちが七人も居て、その力のお陰で何とかなっていた」
男性は話を続ける。
「けれど、次第に『ホープ』持ちの連中の不満が溜まっていたみたいで……一週間前に突然、御渡 孝をリーダーとした『ホープ』持ちの五人がこの避難所を離脱した」
「……そこに堅持 城悟もついて行ったのか?」
「いや、堅持君はここに残り、残る一人の『ホープ』持ちと休まず動き回っている。ただ……状況はあまり上手くいっていない」
この言い方から察するに、どうやら孝、城悟の二人は『ホープ』を持っているようだ。これに関しては俺には朗報だな。
「それから堅持君が何度か御渡君を説得しようと試みたようだが……数日前、彼はもう説得を諦めると言ってきた。恐らく……意見が合わずに言い争いにでもなったんじゃ無いだろうか」
あの二人……何やってんだよ。孝の行動は理解出来なくは無いが……城悟は相変わらず優し過ぎるというか何というか。だが、喧嘩するのは馬鹿だろ。
「な、なあ!頼む!あの二人を説得して、また前のような避難所に戻してくれ……!」
この男性のお陰で状況は理解出来たし、そこには感謝しよう。だが、避難所に戻すのは無理だ。俺はあの二人を引き抜こうと考えてここに来たのだから。
「まあ、城悟はここに居るんだろう?取り敢えず会わせてくれ。説得に関しては考えてみるが、約束は出来ない」
「あ、ああ……分かった。堅持君は今外に出ている筈だ、夕方になれば戻ってくると思う」
「なら、仲間と玄関で待たせて貰っても良いか?俺達もずっと歩いて来て疲れてるんだ」
「それは構わない。取り仕切っている人達には俺から言っておこう」
そう言って男性は俺の元を離れ、学校の中へと入って行った。
そして俺は爺さん達を呼び、そのまま玄関で城悟が戻るのを待つ事にした。生きていたのが分かり、久々に会えて嬉しいが……少し複雑な気持ちを抱えたまま、俺は夕方までの時間を過ごす事になる。
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