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二章 領域と支配
領域支配 10 再攻略準備
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その後、俺達は無事に渦の外に出ることができた。もしかしたら赤黒いゴブリンが出てくるのではと危惧したが、それは杞憂に終わり何も出てくる事は無かった。
そのまま駐車場のゴブリン達を蹴散らしながら退散し、無事に俺の自宅まで戻って一息つくことが出来た。
そして今、落ち着いた俺達は赤黒いゴブリンの対策を話し合っていた。
「爺さん、あのアカグロに一人で勝てると思うか?」
俺の言葉に爺さんは顔を顰める。
「ん……?アカグロとは何じゃ?」
「肌が赤黒いからアカグロだ。赤黒いゴブリンじゃ呼ぶのが面倒臭い」
爺さんは呆れたように首を振る。
「何でもかんでも略すとは……全く、最近の若いモンは」
「その言葉……じじ臭いぞ」
「爺だから良いんじゃ。して、アカグロに勝てるかどうかだったかのう。うーむ、正直言って相手は出来るが……倒し切れるかは不安じゃのう。全力でやった訳では無いが、奴の皮膚が硬すぎる」
「なら、防御に徹すれば時間を稼ぐ事は出来るって事か?」
爺さんは頷く。
「防ぎ続けるだけなら、恐らくは大丈夫じゃ。無論、簡単では無いがの」
「それなら……俺が火力を何とか出来れば倒せる可能性が高いな」
「儂が耐え、お主が削る、という事かのう?これまた随分と年寄り使いの荒い作戦じゃのう……」
「俺じゃまだアカグロとやり合うのは無理だ。悔しいが数秒で殺される未来しか見えん」
「はあ……潔というか根性が無いというか……」
「出来る限り危ない橋は出来る限り渡らない主義なんだ。だから徹底的に安全な作戦を立てるし、準備も怠りたく無い」
「ま、それは悪い事じゃ無さそうだがのう……」
「とにかく、爺さんが前衛で防御、俺が後衛で火力。これが最適だ。後は……互いの役割をしっかりとこなせば勝てる筈だ」
そうして——対アカグロの作戦は決まった。
だが、問題となるのは俺の火力面だ。『威力』の付与した刀でまともなダメージが入らない。だから俺は遠距離で刀以上の貫通力を持った攻撃手段を考えなければならない。
「『兵器作成』。『威力』を付与した『拳銃』」
俺がそう呟くと、俺の右手には警察が使う拳銃が出現する。リボルバー型で、確か……ニューナンブとかいう銃の種類だったか?銃犯罪の少ない日本で使う為に、その威力は拳銃の中でも低かった筈だ。
俺は作り出した拳銃を眺めながら、頭を捻って考える。
取り敢えず拳銃を使うのは確定している。それが俺の触れた物の中で最も威力の有る遠距離武器なのは間違いない。
問題は弾数が五発と少ない事と、威力が足りるかどうかだ。
弾数については『弾数増加』で倍の十発に出来るし、最悪『修復』で弾の補充も可能だ。
だが、威力は……。
銃自体の性能は『威力』の付与。弾の種類は……俺が詳しく分からないせいで手を出しにくい。
本物の拳銃だと石弾みたいに素材で何とかなる訳でも無いだろうし……あ、弾が大きければその分威力が上がるか?これは後で試してみよう。
考えるのに疲れた俺は、ごろごろしている爺さんに話しかける。
「なあ爺さん、銃や弾丸に詳しかったりは……」
「刀以外は知らんの」
「だよな……」
爺さんの回答に俺は空を仰ぐ。まあ分かりきってたけどな……。
その後も特に何かを閃く訳でも無く、考えるのをやめて爺さんへと話しかける。
「爺さんは何か欲しい武器は無いのか?防御に徹するなら、刀一本だとやり辛く無いか?」
「そうだのう……」
爺さんは顎髭を触りながら暫く考える。
「それなら、小太刀は作れんかのう?」
「小太刀?それって……短い刀だよな?」
「ま、それで有っておる。刀と小太刀を使い分ければ、もっと楽になる気がするんじゃ」
「なるほど……」
防御用だし、取り敢えず威力は要らないよな。
「『頑丈』と『短い』を付与した『刀』を」
俺の手元には刃渡りの短い刀。だが……少し短すぎるか?
「これは……短すぎるか?」
俺は出来た刀を爺さんへと見せる。体を起こしてそれを見た爺さんの表情はあまり良くないものだった。
「それは……小太刀というよりは、短刀かのう。灰間の小僧、もう少しだけ刃を長く出来んか?」
「すまん……微調整がきかないんだ。これで我慢するか、それとも元の刀を二本持つか……」
「お主の能力にもこんな欠点が有ったとは。ならそれで良い、使い分けをしたいだけじゃ」
俺は爺さんへと短刀を渡す。爺さんはそれを暫く眺めた後、また寝転がる体勢へと戻った。
どうやら爺さんはこれで万全らしい。
残るは俺の銃か。だが考え過ぎて疲れた、俺も少し昼寝でもしよう。
そのまま駐車場のゴブリン達を蹴散らしながら退散し、無事に俺の自宅まで戻って一息つくことが出来た。
そして今、落ち着いた俺達は赤黒いゴブリンの対策を話し合っていた。
「爺さん、あのアカグロに一人で勝てると思うか?」
俺の言葉に爺さんは顔を顰める。
「ん……?アカグロとは何じゃ?」
「肌が赤黒いからアカグロだ。赤黒いゴブリンじゃ呼ぶのが面倒臭い」
爺さんは呆れたように首を振る。
「何でもかんでも略すとは……全く、最近の若いモンは」
「その言葉……じじ臭いぞ」
「爺だから良いんじゃ。して、アカグロに勝てるかどうかだったかのう。うーむ、正直言って相手は出来るが……倒し切れるかは不安じゃのう。全力でやった訳では無いが、奴の皮膚が硬すぎる」
「なら、防御に徹すれば時間を稼ぐ事は出来るって事か?」
爺さんは頷く。
「防ぎ続けるだけなら、恐らくは大丈夫じゃ。無論、簡単では無いがの」
「それなら……俺が火力を何とか出来れば倒せる可能性が高いな」
「儂が耐え、お主が削る、という事かのう?これまた随分と年寄り使いの荒い作戦じゃのう……」
「俺じゃまだアカグロとやり合うのは無理だ。悔しいが数秒で殺される未来しか見えん」
「はあ……潔というか根性が無いというか……」
「出来る限り危ない橋は出来る限り渡らない主義なんだ。だから徹底的に安全な作戦を立てるし、準備も怠りたく無い」
「ま、それは悪い事じゃ無さそうだがのう……」
「とにかく、爺さんが前衛で防御、俺が後衛で火力。これが最適だ。後は……互いの役割をしっかりとこなせば勝てる筈だ」
そうして——対アカグロの作戦は決まった。
だが、問題となるのは俺の火力面だ。『威力』の付与した刀でまともなダメージが入らない。だから俺は遠距離で刀以上の貫通力を持った攻撃手段を考えなければならない。
「『兵器作成』。『威力』を付与した『拳銃』」
俺がそう呟くと、俺の右手には警察が使う拳銃が出現する。リボルバー型で、確か……ニューナンブとかいう銃の種類だったか?銃犯罪の少ない日本で使う為に、その威力は拳銃の中でも低かった筈だ。
俺は作り出した拳銃を眺めながら、頭を捻って考える。
取り敢えず拳銃を使うのは確定している。それが俺の触れた物の中で最も威力の有る遠距離武器なのは間違いない。
問題は弾数が五発と少ない事と、威力が足りるかどうかだ。
弾数については『弾数増加』で倍の十発に出来るし、最悪『修復』で弾の補充も可能だ。
だが、威力は……。
銃自体の性能は『威力』の付与。弾の種類は……俺が詳しく分からないせいで手を出しにくい。
本物の拳銃だと石弾みたいに素材で何とかなる訳でも無いだろうし……あ、弾が大きければその分威力が上がるか?これは後で試してみよう。
考えるのに疲れた俺は、ごろごろしている爺さんに話しかける。
「なあ爺さん、銃や弾丸に詳しかったりは……」
「刀以外は知らんの」
「だよな……」
爺さんの回答に俺は空を仰ぐ。まあ分かりきってたけどな……。
その後も特に何かを閃く訳でも無く、考えるのをやめて爺さんへと話しかける。
「爺さんは何か欲しい武器は無いのか?防御に徹するなら、刀一本だとやり辛く無いか?」
「そうだのう……」
爺さんは顎髭を触りながら暫く考える。
「それなら、小太刀は作れんかのう?」
「小太刀?それって……短い刀だよな?」
「ま、それで有っておる。刀と小太刀を使い分ければ、もっと楽になる気がするんじゃ」
「なるほど……」
防御用だし、取り敢えず威力は要らないよな。
「『頑丈』と『短い』を付与した『刀』を」
俺の手元には刃渡りの短い刀。だが……少し短すぎるか?
「これは……短すぎるか?」
俺は出来た刀を爺さんへと見せる。体を起こしてそれを見た爺さんの表情はあまり良くないものだった。
「それは……小太刀というよりは、短刀かのう。灰間の小僧、もう少しだけ刃を長く出来んか?」
「すまん……微調整がきかないんだ。これで我慢するか、それとも元の刀を二本持つか……」
「お主の能力にもこんな欠点が有ったとは。ならそれで良い、使い分けをしたいだけじゃ」
俺は爺さんへと短刀を渡す。爺さんはそれを暫く眺めた後、また寝転がる体勢へと戻った。
どうやら爺さんはこれで万全らしい。
残るは俺の銃か。だが考え過ぎて疲れた、俺も少し昼寝でもしよう。
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