兵器創造のエリアルーラー 〜崩壊し領域が現れた現代、俺は『兵器』と『特性』を駆使して世界一の支配者を目指す〜

飛楽ゆらる

文字の大きさ
上 下
15 / 87
一章 見捨てられた地方都市と『希望の力』

警察署の避難民 6

しおりを挟む

 スーパーへの移動は、心なしか体が軽く思った以上の速度で進んだ。攻略に向かった人達が倒したからか、ゴブリンの姿は無い。

 目的地は目前で、俺は速度を更に上げていく。

 そして、スーパーの駐車場が遠目に見えてきた所で、人の姿が目に入った。

 あれは……こっちに戻って来ている?

 警察の人では無い普段着の集団が、慌てた様子で引き返して来ているのが見える。

 まさか。俺の頭に不安が過ぎる。

 集団との距離が近づくと、俺は大声で声をかけた。

「どうしたんですか!」

 大声で返事を返したのは、集団の先頭を走る黒薙さんだった。

「てめぇ何でいやがる!俺達は撤退だ!あんな数、無理に決まってんだろ!」

「警察の人達は!?」

「知らねぇよ!俺達は無理だと判断してすぐに撤退したからな!」

 ……こいつら、他の人を見捨てて自分達だけ逃げたのか?

 俺は彼らに嫌悪感を抱いたが、能力を隠した自分も同じようなものだと気付く。文句を言う資格は無いのかもしれない。

 そのまま、俺と黒薙さん達五人がすれ違う。すると、黒薙さんが立ち止まりこちらに声を荒げて叫ぶ。

「おい!あいつらを助ける義理なんてねぇだろ!死にてぇのか!」

「……このままじゃ、絶対に後悔すんだよ」

 俺は黒薙さん達に振り返らず、誰にも聞こえない声で小さくそう呟いた。


♦︎


 スーパーの駐車場に着くと、警察の人達がゴブリン達を相手に必死に戦っていた。

 警察が十も居ないに関わらず、ゴブリンの数はその倍以上は居るように見え、しかもまだまだ集まって来ているように思える。警察の人達は奮闘してはいるが、多勢に無勢。怪我人も出ているようで、その人を周囲が必死にフォローしていた。

 俺はここに来るまでに全ての武器をポケットやベルトに収納していた。決して出し惜しみなどしない。
 俺はリュックを投げ捨て、全力でゴブリン達との戦いに臨む。

 警察の人達が円陣を組み対応している中で、取り囲もうとしているゴブリン達の一辺を削っていく。
 ゴブリン達の数は多く、どこを撃っても当たるような状態だ。誤射だけに注意して、俺は次々とゴブリンを屠る。

 銃の弾が切れれば次の銃へと持ち替え、次々と予備の銃を消化していく。それは俺の想定以上に武器の消費が早かった。

 だが、俺の援護でゴブリンの一角が崩れ始め、警察の人達に余裕が生まれ始める。そして余裕が出た人が攻撃が激しい箇所への援護を行い、徐々にだがゴブリン達を押し返し始めた。

 俺は警察の人達と同じ位置へと移動し、尚攻撃の手を緩めない。そしてゴブリンの増援を合流させないことを優先する。

「ギャ……ッ!」



 周囲のゴブリン達が警察の集団により息絶える。余裕が出た俺は、その顔触れを確認して顔を顰めてしまう。

「……加藤さんと村田さんが居ない?」

「あ、ありがとう助かったよ。一体その武器は……?」

「その話は後で。他の人はどこです?」

「あ、ああ。あそこの車が密集した辺りで分断された」

「分かりました。ついてこれる人はお願いします」

 俺は警察の人が示した場所へと駆ける。だがスーパーの入り口に近づくにつれて、乗り捨てられている車の数が多くなっている。その分死角や壁が増え、銃の遠距離である利点が消されてしまう。

「ギャギャ!」

 車の影から飛び出して来たゴブリン。それにすぐ反応して頭と脇腹を撃ち、絶命させる。
 
 くそっ車が邪魔だ!無駄に時間を取られる!

 ゴブリンが集まっている所は見えている。恐らくそこで加藤さんや村田さん達が戦っているのだろう。

 手段は選んでいられない。俺は車の上によじ登り、上に乗った。
だがそれは居場所を知らせるようなもので、近くのゴブリン達が俺へと殺到してくる。

 俺は集中し、確実に一匹ずつ仕止めていく。車の上を移動しながらゴブリンを撃ち抜き続け、生き残った人の姿が見えるところまで辿り着いた。

 加藤さんと村田さん、それともう一人が後方を車に阻まれゴブリン達に囲まれている。そして血を流し地面に倒れ、動かない人の姿も。
 
 俺はそれを見て音がするほどに歯を食いしばる。だが感情的にならず、状況の把握に努める。

 
 やはりゴブリン達の数は多い——が、俺はそれよりも別な事が気になった。

 それは、体が他よりも一回り大きい、青い肌のゴブリンの姿。

 明らかに上位種であろう存在。
 俺はその姿を見ただけで、身体中に鳥肌が立つのが分かった。
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

白と黒

更科灰音
ファンタジー
目を覚ますと少女だった。 今までの日常と同じようで何かが違う。 のんびり平穏な暮らしたがしたいだけなのに・・・ だいたい週1くらいの投稿を予定しています。 「白と黒」シリーズは 小説家になろう:神様が作った世界 カクヨム:リーゼロッテが作った世界 アルファポリス:神様の住む世界 で展開しています。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

外れスキル【転送】が最強だった件

名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。 意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。 失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。 そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

救助者ギルドから追放された俺は、ハズレだと思われていたスキル【思念収集】でやり返す

名無し
ファンタジー
 アセンドラの都で暮らす少年テッドは救助者ギルドに在籍しており、【思念収集】というスキルによって、ダンジョンで亡くなった冒険者の最期の思いを遺族に伝える仕事をしていた。  だが、ある日思わぬ冤罪をかけられ、幼馴染で親友だったはずのギルド長ライルによって除名を言い渡された挙句、最凶最悪と言われる異次元の監獄へと送り込まれてしまう。  それでも、幼馴染の少女シェリアとの面会をきっかけに、ハズレ認定されていた【思念収集】のスキルが本領を発揮する。喧嘩で最も強い者がここから出られることを知ったテッドは、最強の囚人王を目指すとともに、自分を陥れた者たちへの復讐を誓うのであった……。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...