兵器創造のエリアルーラー 〜崩壊し領域が現れた現代、俺は『兵器』と『特性』を駆使して世界一の支配者を目指す〜

飛楽ゆらる

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一章 見捨てられた地方都市と『希望の力』

警察署へ

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 変な夢のせいで気分が上がらないまま、俺は警察署へと向かう準備を終えた。普段なら徒歩三十分程度の道でしかないのだが、状況が状況だ。大変な行程になるのは間違いない。

 俺は玄関を閉めて鍵をかける。自宅というのはやはり特別なんだろう。外に出るのが少し嫌に感じる。けれど決めたのは俺自身だ。

「……行ってきます」

 次に戻ったときには、家族の誰かが戻ってきていますように——


♦︎
 
 家を出発してから暫く。

 俺は周囲の確認を怠らずに、ゆっくりと歩き続けていた。五匹のゴブリンと遭遇したが単体だったしここまでは順調。そしてもうすぐ警察署との中間辺りで、もうすぐスーパーが見えるはずだ。
 様子を見てゴブリンの数が少なければ、食料をとりに行くのも悪くない、と考えていた。

 スーパーはホームセンターと同じ建物内となっている。もしここが無事なら、道具も併せて色々と揃えることが出来る。
 
 俺は建物の影からスーパーの様子を伺う。すると、そこには思いもよらない惨状が広がっていた。
 2、300台は止めれる駐車場。そこに、ゴブリンの村が出来上がっていたのだ。至る所に人の死体が乱雑に積まれ、それを貪っているゴブリンも居た。
 そんなゴブリン達の数は計り知れない。百匹どころではない気がする。

 そして俺はスーパーの見た目にも異変がある事に気付く。以前は赤と白をベースにしていた建物が、黒と紫色に変化している。その雰囲気は異常で、見ているだけで肌がピリピリと痺れる。

 あそこには絶対に近づいちゃ駄目だ。そう本能が警笛を鳴らす。
 俺はすぐに様子を見るのをやめ、逆側へと走って逃げ出してていった。

「あれは何だったんだ……?」

 ゴブリンの群れに関しても、スーパーの建物の雰囲気に関しても異常だ。
 小説にある内容でイメージするのなら、ダンジョンか?まさか普通のスーパーがダンジョン化して、そのせいでゴブリンを引き寄せている?
 そうだとしたら、街中に溢れていたゴブリンの数が減っているのも頷ける。

 だが、集まったゴブリン達はどうなる?人間を狩る為に出てくるのか?それにダンジョン化したのだとしたら、きっかけは何だ?その範囲は広がっていくのか?

 今考えても答えは出ない。だが、あれを放っておくのがまずいのは分かる。

 ——もっと強くならなければ。

 俺はそう考えながら警察署への道を急いだ。
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