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4.プロテア防衛戦
71.プロテア防衛戦5
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フルングニルが瀕死時の強化状態となり終え、体を纏う光が消える。
その間もサラは矢を放ち攻撃しているが、先程までとは違いダメージを大きく与えれているようには見えない。
そしてフルングニルが動き出した事で、サラを肩車したオレは距離を取る。
「さて、本番だな」
オレは小さく呟く。
フルングニルはオレに手を向ける。
すると、先ほどとは比べ物にならない速さで魔法が放たれ、一瞬で俺の周りに大きな岩の壁が出来る。
オレは囲まれる前にすぐに空へと飛ぶが…すぐに襲ってくる岩の弾。それらをサラが矢で打ち落とし難を逃れる。
地面を走れば広範囲の魔法。空に逃げれば岩の弾。強化後の戦いは、防戦一方になってしまった。
(だが……もうすぐチャンスが来る)
オレとサラが襲ってくる岩の弾を弾いていると、リリーがフルングニルの後ろから走ってくる。
サラはそれに気付きフルングニルの注意を引くために属性矢を放つ。強化前では直撃していた属性矢も、フルングニルは簡単に対処して岩の壁で弾いてしまう。
だが注意を引くにはその一瞬で十分だった。
フルングニルの後方を走るリリーは、そのままの速度でフルングニルの背中に飛び乗る。
そしてリリーの後方には天使の群れがいる。
フルングニルだけでも辛いのに、何故天使を連れてくるのか?
これも作戦の内だ。
リリーがそこで一瞬動きを止めると、天使達は各々魔法を放ち始める。
リリーの頭上には多数の魔法陣。
リリーはフルングニルの背中。
であれば、もしリリーが魔法を回避すれば?
これはオレが戦っていて気付いた事なのだが…。
天使達の雷魔法は強力で、Lv70以下の後衛職プレイヤーであれば一撃で即死する程だ。
だがその魔法を回避していた所、避けた落雷が巨人にそのまま当たり巨人を打ち砕いた。
プレイヤーにしか目がいっていないのか、それともAIが雑で、攻撃優先としかなっていないのか。
その為乱戦になってからは、天使と巨人の同士打ちも多く見られた。…それを利用する。
リリーは発動の瞬間にフルングニルの背中を駆け上る。
岩の巨人だけあってゴツゴツしていて、足場は十分で登りやすそう。
そしてフルングニルは背中の感覚が鈍いのか、奴はリリーが登っていたことに全く気付かなかった。そんな、完全に無防備な背中に天使の魔法が着弾する。
「ぬおッ!」
フルングニルが突然の衝撃に、うめき声を上げてよろめく。
天使達は次の魔法を放つ。
リリーは更に駆け上り既にフルングニルの頭の上にいる。
「サラ!いくぞ!」
「ええ!」
オレは一気にフルングニルとの距離を詰め始める。
サラは衝撃によろめき、隙だらけのフルングニルの頭を属性矢で狙う。
だがフルングニルはこちらの動きは見えているため、岩の壁で防御壁を作った後に後方へ振り向こうとする。オレはフルングニルが振り向くのと逆側へ回り込む。
…流石に視界外は隙だらけだ。
「樹!アレを使うわ!」
「ああ!」
サラはイベントリから光り輝く矢を取り出し弓に構える。
その直後フルングニルの頭に落ちていく、天使による多数の落雷。リリーは間一髪の所で飛び降りて回避している。
そこでフルングニルは、自身の上に居たプレイヤーの存在に初めて気付く。…そして衝撃が天使達の魔法である事も。
「この天使共!わしをうってどうする!」
フルングニルは苛立ち、すぐに天使達の群れを岩の弾で打ち落とす。
その瞬間、サラが準備を終え、光り輝く矢を…放つ。
「”シャープシューティング”」
サラが構えていた光り輝く矢が、光輝く軌道を残し一本の線となり……フルングニルの頭の中心へ。
その線は、あれだけ硬かったフルングニルの頭をあっさりと貫通し、空へ線を残したまま消える。
そして消えたと思った線は…徐々に太くなり、まるで光線のようにフルングニルの頭を襲う。
「グアアアアアッ!」
痛みに叫ぶフルングニル。
……光り輝く光線が消えたときには、フルングニルの頭は消滅していた。
…暫くしてフルングニルの岩の体が崩れ始め、サラを肩車したオレとリリーは急いでその場から離れる。
周囲に響く岩の落ちる衝撃と音。
それらの音が治まる頃には、地面に積み上げられた岩だけが残っていた。
…サラが放った矢は神殺しの矢という矢で、矢を放った後に少し遅れて強力な光線を放つ特性を持っている。
その威力は、山をも削る威力だった。
試し打ちをしたサラはその威力に、口を開けて呆然としていた。
この矢は無限回廊と呼ばれる無限ダンジョンの宝のレアアイテム。
かなりの低確率で、ギルド全体で買い取りを行っていても未だに3本しか入手できていない程の超レア品だ。
試し打ちで一本で今回で一本、残るのは後一本だけ。
一本3万Gもするが…この威力なら納得かもしれない。
そして今回は矢の威力を生かすために、アクティブスキルで一番の貫通力を持つシャープシューティングというスキルと合わせた訳だ。
結果は予想以上だった。
「もう・・・動かないよね?」
リリーがいつでも動けるように構えたまま呟く。
「アレで死なないなら、諦めだわ」
オレの上にいるサラはリリーの呟きにそう答える。
だが、その心配は杞憂で終わり、フルングニルの体から粒子が発生し始める。
そしてリリーがやっていたのは、とにかく天使の注意を引き集める事。
これは前線の補助も兼ねているが、強化後のフルングニルの注意を一瞬でも引きつけたかったからだ。
結果として10数匹の天使を集め、その魔法により注意を引きつけることに成功した。
もっとも予想以上だったのは、天使の群れをフルングニルが一掃してくれて倒す手間が省けた事だったが。
「リリー、サラ予想以上だ。オレの思いつきによくやってくれた。本当にありがとう」
「それよりも。終わったんだから……いい加減降ろして」
そうだった。サラを肩車したままなのを忘れてた。
オレがサラを降ろすと、サラの顔はまた赤く染まっていた。
「あははっあのサラの姿写真撮っとけは良かった!」
「…撮ってないわよね?」
「…確かに写真は惜しかったけど。流石に撮って無いよ」
「もう二度とやらないからね」
サラは不機嫌そうに地面を蹴るが…今回は大成功だったし非常時にはやってもらおうと思っている。
「そうだ!佐山さん達は無事か!?」
慌てて目をやると、岩の塊が有った場所には崩れた岩片と座り込む二人の姿。
良かった。どうやら無事のようだ。
オレ達は急いで佐山さん達に駆け寄っていく。
その間もサラは矢を放ち攻撃しているが、先程までとは違いダメージを大きく与えれているようには見えない。
そしてフルングニルが動き出した事で、サラを肩車したオレは距離を取る。
「さて、本番だな」
オレは小さく呟く。
フルングニルはオレに手を向ける。
すると、先ほどとは比べ物にならない速さで魔法が放たれ、一瞬で俺の周りに大きな岩の壁が出来る。
オレは囲まれる前にすぐに空へと飛ぶが…すぐに襲ってくる岩の弾。それらをサラが矢で打ち落とし難を逃れる。
地面を走れば広範囲の魔法。空に逃げれば岩の弾。強化後の戦いは、防戦一方になってしまった。
(だが……もうすぐチャンスが来る)
オレとサラが襲ってくる岩の弾を弾いていると、リリーがフルングニルの後ろから走ってくる。
サラはそれに気付きフルングニルの注意を引くために属性矢を放つ。強化前では直撃していた属性矢も、フルングニルは簡単に対処して岩の壁で弾いてしまう。
だが注意を引くにはその一瞬で十分だった。
フルングニルの後方を走るリリーは、そのままの速度でフルングニルの背中に飛び乗る。
そしてリリーの後方には天使の群れがいる。
フルングニルだけでも辛いのに、何故天使を連れてくるのか?
これも作戦の内だ。
リリーがそこで一瞬動きを止めると、天使達は各々魔法を放ち始める。
リリーの頭上には多数の魔法陣。
リリーはフルングニルの背中。
であれば、もしリリーが魔法を回避すれば?
これはオレが戦っていて気付いた事なのだが…。
天使達の雷魔法は強力で、Lv70以下の後衛職プレイヤーであれば一撃で即死する程だ。
だがその魔法を回避していた所、避けた落雷が巨人にそのまま当たり巨人を打ち砕いた。
プレイヤーにしか目がいっていないのか、それともAIが雑で、攻撃優先としかなっていないのか。
その為乱戦になってからは、天使と巨人の同士打ちも多く見られた。…それを利用する。
リリーは発動の瞬間にフルングニルの背中を駆け上る。
岩の巨人だけあってゴツゴツしていて、足場は十分で登りやすそう。
そしてフルングニルは背中の感覚が鈍いのか、奴はリリーが登っていたことに全く気付かなかった。そんな、完全に無防備な背中に天使の魔法が着弾する。
「ぬおッ!」
フルングニルが突然の衝撃に、うめき声を上げてよろめく。
天使達は次の魔法を放つ。
リリーは更に駆け上り既にフルングニルの頭の上にいる。
「サラ!いくぞ!」
「ええ!」
オレは一気にフルングニルとの距離を詰め始める。
サラは衝撃によろめき、隙だらけのフルングニルの頭を属性矢で狙う。
だがフルングニルはこちらの動きは見えているため、岩の壁で防御壁を作った後に後方へ振り向こうとする。オレはフルングニルが振り向くのと逆側へ回り込む。
…流石に視界外は隙だらけだ。
「樹!アレを使うわ!」
「ああ!」
サラはイベントリから光り輝く矢を取り出し弓に構える。
その直後フルングニルの頭に落ちていく、天使による多数の落雷。リリーは間一髪の所で飛び降りて回避している。
そこでフルングニルは、自身の上に居たプレイヤーの存在に初めて気付く。…そして衝撃が天使達の魔法である事も。
「この天使共!わしをうってどうする!」
フルングニルは苛立ち、すぐに天使達の群れを岩の弾で打ち落とす。
その瞬間、サラが準備を終え、光り輝く矢を…放つ。
「”シャープシューティング”」
サラが構えていた光り輝く矢が、光輝く軌道を残し一本の線となり……フルングニルの頭の中心へ。
その線は、あれだけ硬かったフルングニルの頭をあっさりと貫通し、空へ線を残したまま消える。
そして消えたと思った線は…徐々に太くなり、まるで光線のようにフルングニルの頭を襲う。
「グアアアアアッ!」
痛みに叫ぶフルングニル。
……光り輝く光線が消えたときには、フルングニルの頭は消滅していた。
…暫くしてフルングニルの岩の体が崩れ始め、サラを肩車したオレとリリーは急いでその場から離れる。
周囲に響く岩の落ちる衝撃と音。
それらの音が治まる頃には、地面に積み上げられた岩だけが残っていた。
…サラが放った矢は神殺しの矢という矢で、矢を放った後に少し遅れて強力な光線を放つ特性を持っている。
その威力は、山をも削る威力だった。
試し打ちをしたサラはその威力に、口を開けて呆然としていた。
この矢は無限回廊と呼ばれる無限ダンジョンの宝のレアアイテム。
かなりの低確率で、ギルド全体で買い取りを行っていても未だに3本しか入手できていない程の超レア品だ。
試し打ちで一本で今回で一本、残るのは後一本だけ。
一本3万Gもするが…この威力なら納得かもしれない。
そして今回は矢の威力を生かすために、アクティブスキルで一番の貫通力を持つシャープシューティングというスキルと合わせた訳だ。
結果は予想以上だった。
「もう・・・動かないよね?」
リリーがいつでも動けるように構えたまま呟く。
「アレで死なないなら、諦めだわ」
オレの上にいるサラはリリーの呟きにそう答える。
だが、その心配は杞憂で終わり、フルングニルの体から粒子が発生し始める。
そしてリリーがやっていたのは、とにかく天使の注意を引き集める事。
これは前線の補助も兼ねているが、強化後のフルングニルの注意を一瞬でも引きつけたかったからだ。
結果として10数匹の天使を集め、その魔法により注意を引きつけることに成功した。
もっとも予想以上だったのは、天使の群れをフルングニルが一掃してくれて倒す手間が省けた事だったが。
「リリー、サラ予想以上だ。オレの思いつきによくやってくれた。本当にありがとう」
「それよりも。終わったんだから……いい加減降ろして」
そうだった。サラを肩車したままなのを忘れてた。
オレがサラを降ろすと、サラの顔はまた赤く染まっていた。
「あははっあのサラの姿写真撮っとけは良かった!」
「…撮ってないわよね?」
「…確かに写真は惜しかったけど。流石に撮って無いよ」
「もう二度とやらないからね」
サラは不機嫌そうに地面を蹴るが…今回は大成功だったし非常時にはやってもらおうと思っている。
「そうだ!佐山さん達は無事か!?」
慌てて目をやると、岩の塊が有った場所には崩れた岩片と座り込む二人の姿。
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