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3.始動

60. I will avenge YOU !!

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 オレの投げた石が、ユミルの背中へと当たる。
 ユミルはゆっくりと、振り返り…オレを見つめる。

「これは驚いた。復活アイテムなんてものが存在するとは予想外だ。どこで入手した?」

「言えるわけが無い。さっきの借りを返させてもらうぞ」

(よし。身体は完全に動くようになった)

 オレは拳を握り締め、ユミルへと歩いて近寄っていく。
 だがユミルは焦っている様子も無く、逆に余裕があるように見える。

「ずいぶんと余裕だな?あれだけ一方的に攻撃されていたのに」

「あれが本気だと思うか?もう姑息な手は使わん。私の全力でいかせて貰う」

 ユミルの全身が赤く光り始める。
 今度こそ自身の強化スキルのようで、ユミルの身体が一回り大きくなったように見える。
 オレは勿論ユミルの事は信用しておらず、どのような手を使ってきても油断しない。

 ユミルの硬い皮膚をボコボコにしてやる。

 ユミルに対する怒りは湧き上がってくるが、深呼吸をして落ち着かせる。

(……さあ、リベンジマッチといこうか)

 オレの先制攻撃を皮切りに、オレとユミルの接近戦が始まる。
 身体強化のせいで一方的に攻撃する事が難しく、ユミルの攻撃を避ける事に重点を置く。
 そしてユミルが攻撃をした隙に、掌底を打ち込んでいく。

(凄いな。速さも力も強化前とは比べ物にならない…!)

 ユミルは先程のダメージが残っているのか、出血が残ったままだ。そしてオレの攻撃により出血量はさらに増えていく。

「それで全力か?このまま終わるぞ、始まりの巨人様」

「ぬかせ。勝つのは我だ」

 ユミルの行動に違和感を感じる。
 オレへのダメージは0なのにも関わらず、ユミルに焦りが見られない。反射の時と同じように何か考えがありそうだ。

 オレは常に何かに身構えながら、ダメージを与え続ける。
 戦い始めてからユミルは動いておらず、その周りには出血した血溜まりが出来ている。
 身体が大きい為、その出血量は多い。

(……血?)

 そこでオレは一度距離を取る。

「どうした?お主の攻撃は終わりか?」

「一度休憩だ。お前が動かないから、オレは座って休む事にしよう」

 オレは戦いの最中にも関わらず、ユミルの射程外であぐらをかきその場に座り込む。
 そしてユミルの眉がピクリと動いたのを見過ごさなかった。
 …俺の考えが正しければ、ユミルは動かず攻撃をしてこない。

 オレは座り込み、ユミルはその場で立ち尽くす。そんな状態が暫く続く。

 座り込んでいるのは隙だらけで、普通であれば間違いなく攻撃して来るはずだ。
 それにも関わらず攻撃してこないという事。
 それは恐らくオレの考えが正しいのだろう。

 北欧神話の中でユミルの身体の部位を使い、世界の様々な物が作られると言う記述がある。
 その中でオーディンはユミルの血を使い、海や川を創ったそうだ。
 オレはその神話の内容がRDOにも適応されているとすれば、周りの血を媒体にして何かして来る可能性が高いと思った。
 その確認をする為にオレは座り込んだ。
 ずっと黙っていたユミルがオレの考えに気付いたのか話し掛けてくる。

「…我の考えが甘かったか。…思った以上に厄介な性格をしているようだ。だが、これではお主も攻撃出来まい?我がいなくても神々はプロテアを攻めるぞ。参加出来ないのは残念だが。仕方あるまい…お主の足止めに徹しよう」

 そう言うとユミルもその場にあぐらをかき座る。
 
(確かにこのまま時間を稼がれるのは困る。でも…解決策は既に考えてある)

 よし、十分に休んでMPも回復した。考えた作戦を試してみようと思う。要はユミルの出血を抑えながらダメージを与えて倒せば良いのだ。

 それなら…血を固め、傷を塞いでしまえば良い。

(コレを買い込んでおいて本当に良かった!)

 オレはその場に立ち上がり、アイテムボックスを漁ってそれを手に取る。
 それを見たユミルは、良く理解出来ていないようで首を傾げる。
 だがオレが立ち上がったと同時にユミルも合わせるように立ち上がる。

 オレは残像でユミルの背後へとまわりこみ、それをユミルの傷へとかける。
 するとそれがかかった傷が治っていき、出血が止まる。

「な!?何を」

 それをかけた行動に、ユミルが驚愕する。
 オレが使ったのは上級ポーション。ポーションには体力の回復に加え、傷を修復する効果が有る。むしろそちらの効果が大きい。
 そして傷を塞ぐ為に血を凝固させる止血剤も含まれているのだ。

 次にオレは地面の血溜まりへとポーションをばら撒く。
 すると、地面の血が固まっていき水分を失っていく。

 問題点としては、ユミルの体力も回復させてしまうが、ユミルの体力は高いしポーションでの回復量は微々たるものだろう。
 実際にかなりのダメージを与えたにも関わらず、出血量がそこまでではない。

「さあ、ユミルさん。リアルマネー数万円の大奮発してやるから覚悟しろよ!オラオラオラァァッ!!」

 上級ポーションは即効性が有り回復効果も高いが、その分値段も高い。そのお値段何と今なら1000G!
  それを何十本と使っている。

 驚いているユミルを横目にオレは攻撃を再開する。

 身体内部にダメージを与える事を意識し、もし大きな傷が出来たらポーションをかける。
 ダメージが蓄積されてきているのか、次第にユミルの動きが悪くなってきているのが分かる。
そのユミルの顔には、先程には無かった焦りが見え始めていた。
 作戦は成功のようだ。

「後は奥の手は無いのかな?奥の手がこれじゃガッカリだなあ」

「黙れ!」

 ユミルは既に冷静さを失っており、がむしゃらに攻撃してくる。
 こうなると回避は容易く、オレの攻撃はさらに加速する。
 そしてついに体力が尽きてきたのか、ユミルが膝を折る。

(さて、最後だ)

 オレは残像でユミルの背後へまわりこみ、全力で背中に掌底を叩き込んだ。
 するとユミルが血を吐き……前のめりに倒れこんでいく。
 そしてユミルの巨体が地面に倒れ、洞窟内に大きな音が響く。

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称号(恋のキューピッド)
上野 樹 (かみの いつき)
ギルド:ラグナロク

武器種:ナックル

職業モンク上級 Lv.99

ステータス/
STR - 103 (OP+20%)
VIT - 42
AGI - 103 (OP+10%)
DEX - 62
INT - 42
LUK - 21

成長傾向/
STR 5 VIT2 AGI 5 DEX3 INT2 LUK1

スキル/余り0pt
(パッシブスキル)
ナックル修練Lv1,キック修練Lv1,上級格闘修練Lv5,
鉄壁Lv10,強気功Lv1,見切りLv1
(アクティブスキル)
掌底Lv1,連打拳Lv5,
気弾Lv5,粉砕拳Lv1,連風脚Lv1
阿修羅Lv5,頭乱脚Lv1,残像Lv3,(気砲)
(マジックスキル)
パワーブレスLv1,スピードアップLv10,リジェネレートLv3
ヒールLv5,キュアLv3,プロテクションLv1

装備/
半漁人の手+9/ヴァルキリーメイル上+5/ヴァルキリーメイル下+5
ヴァルキリーヘルム+5/ミスリルバトルブーツ+6/
/ヴァルキリーリング/パワーリング

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