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3.始動
58.限界突破の試練 2 ユミル
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オレの一方的な攻撃は続いている。
ユミルの身体は所々出血し始めており、ダメージが蓄積されている事が伺える。
途中、ユミルは反撃を試みるが…回避することは容易い。
オレは攻撃を続けながらユミルに話し掛ける。
「これで実力は証明出来たと思うのですが。神を倒すのに協力して頂けませんか?」
「フ…ハハハ…。人間よ、もしかしてこれで勝ったつもりでいるのか?確かに強さについては認めてやろう。だが…我の勝ちという結果には変わりがない」
笑いながら、自信を持って言い切るユミル。
油断しなければユミルの攻撃は回避出来るし、少しずつだがダメージも与えられている。
このまま順当に行けばオレの勝利は間違いない…筈なのだが。
(もしかしてボス特有の瀕死時強化か?)
それはボスモンスターが瀕死になった際に使ってくる強化スキルで、中にはステータスが数倍になるものもある。
(おいおい…ただでさえ強いのにそんなの有りか…)
現状では神でも巨人族でもプレイヤーが倒すのは難しい。
それに加えて奥の手となるスキルまで持っているとなれば、プレイヤー達の勝利は絶望的だ。
ユミルは今でも地面を割る威力の拳を持つ。その拳が強化されると…どれだけのものになるかが想像出来ない。
けれど対抗手段はある。
強化のタイミングに阿修羅を打ち込み、残りHPを一気に削る。他のゲームでボス狩りをしていた時には良く使っていた手だ。
問題点としてはユミルが瀕死状態から、阿修羅で削りきれるかどうか。
(また最後は運任せかー。情報無しのゲームってこんなに大変なのか)
だが悔やんでも仕方ない。残された手段はそれしか無いのだ。
オレは出来る限りMPを温存しながらユミルのHPを削っていく。
…そして、その時は来た。
突如ユミルの体が赤く光を放ち始める。これは恐らく、瀕死ステータス強化だろう。
(ここで行くしかない)
オレは右手の拳を握り力を込める。
モンクの最大火力スキル、阿修羅。発動後は脱力デメリットの為にトドメでしか使用出来ない。
「”阿修羅”」
ユミルの身体が動き始めたその時。オレの右手に光が集まり輝き始めて阿修羅の準備が完了する。
発動したら後戻りは不可だ。阿修羅は敵に当たるまで追跡し続ける。
オレは右手を前に出した状態で、ユミルに向かって駆けていく。
だが……そんなオレを見て、ユミルはほくそ笑んだ。そして、ユミルの体から赤い光が消える。
「なッ!?まさかステータス強化じゃ無い!?」
「気付いてももう遅いぞ?”リフレクトボディ”」
…その言葉を聞いたオレは自分の失態を察した。
名前からしてダメージ反射系のスキル。
ユミルはオレに大技を使うように誘導し、それに合わせて反射スキルを使うことででオレを殺すつもりだった。
オレは見事に誘導され罠に掛かってしまった。
…一度発動した阿修羅は中断する事が出来ない。
既に阿修羅のスキルキャンセルは試したのだが、どのような手段でも出来なかった。
こうなるとオレに待っているのは反射ダメージによる死。オレは悔しさから、歯を食いしばる。
(並木さん、リリー、サラ……ギルドの皆ごめん。オレ負けた)
ユミルに近づきながらも頭に浮かぶのはギルドメンバーへの後悔。オレがレベリングに集中する為に、ギルドメンバーの皆は様々な協力してくれた。
それがデスペナルティを受けレベリングのやり直しだ。皆、大きく失望するだろう。
走馬灯のようにRDOの出来事が思い浮かんだが、空しくもオレの右手はユミルの身体へと到達する。
衝撃とともにオレの右手から全身へと痛みが走り……オレのHPバーは減っていき、そして0になった。
徐々に暗くなる視界の中、ユミルがニヤリと笑う顔だけが見えた。
(悔しい……!)
暗くなり何も見えなくなった視界。
ユミルの高らかに笑う声だけが、洞窟内に響き渡り聞こえていた。
ユミルの身体は所々出血し始めており、ダメージが蓄積されている事が伺える。
途中、ユミルは反撃を試みるが…回避することは容易い。
オレは攻撃を続けながらユミルに話し掛ける。
「これで実力は証明出来たと思うのですが。神を倒すのに協力して頂けませんか?」
「フ…ハハハ…。人間よ、もしかしてこれで勝ったつもりでいるのか?確かに強さについては認めてやろう。だが…我の勝ちという結果には変わりがない」
笑いながら、自信を持って言い切るユミル。
油断しなければユミルの攻撃は回避出来るし、少しずつだがダメージも与えられている。
このまま順当に行けばオレの勝利は間違いない…筈なのだが。
(もしかしてボス特有の瀕死時強化か?)
それはボスモンスターが瀕死になった際に使ってくる強化スキルで、中にはステータスが数倍になるものもある。
(おいおい…ただでさえ強いのにそんなの有りか…)
現状では神でも巨人族でもプレイヤーが倒すのは難しい。
それに加えて奥の手となるスキルまで持っているとなれば、プレイヤー達の勝利は絶望的だ。
ユミルは今でも地面を割る威力の拳を持つ。その拳が強化されると…どれだけのものになるかが想像出来ない。
けれど対抗手段はある。
強化のタイミングに阿修羅を打ち込み、残りHPを一気に削る。他のゲームでボス狩りをしていた時には良く使っていた手だ。
問題点としてはユミルが瀕死状態から、阿修羅で削りきれるかどうか。
(また最後は運任せかー。情報無しのゲームってこんなに大変なのか)
だが悔やんでも仕方ない。残された手段はそれしか無いのだ。
オレは出来る限りMPを温存しながらユミルのHPを削っていく。
…そして、その時は来た。
突如ユミルの体が赤く光を放ち始める。これは恐らく、瀕死ステータス強化だろう。
(ここで行くしかない)
オレは右手の拳を握り力を込める。
モンクの最大火力スキル、阿修羅。発動後は脱力デメリットの為にトドメでしか使用出来ない。
「”阿修羅”」
ユミルの身体が動き始めたその時。オレの右手に光が集まり輝き始めて阿修羅の準備が完了する。
発動したら後戻りは不可だ。阿修羅は敵に当たるまで追跡し続ける。
オレは右手を前に出した状態で、ユミルに向かって駆けていく。
だが……そんなオレを見て、ユミルはほくそ笑んだ。そして、ユミルの体から赤い光が消える。
「なッ!?まさかステータス強化じゃ無い!?」
「気付いてももう遅いぞ?”リフレクトボディ”」
…その言葉を聞いたオレは自分の失態を察した。
名前からしてダメージ反射系のスキル。
ユミルはオレに大技を使うように誘導し、それに合わせて反射スキルを使うことででオレを殺すつもりだった。
オレは見事に誘導され罠に掛かってしまった。
…一度発動した阿修羅は中断する事が出来ない。
既に阿修羅のスキルキャンセルは試したのだが、どのような手段でも出来なかった。
こうなるとオレに待っているのは反射ダメージによる死。オレは悔しさから、歯を食いしばる。
(並木さん、リリー、サラ……ギルドの皆ごめん。オレ負けた)
ユミルに近づきながらも頭に浮かぶのはギルドメンバーへの後悔。オレがレベリングに集中する為に、ギルドメンバーの皆は様々な協力してくれた。
それがデスペナルティを受けレベリングのやり直しだ。皆、大きく失望するだろう。
走馬灯のようにRDOの出来事が思い浮かんだが、空しくもオレの右手はユミルの身体へと到達する。
衝撃とともにオレの右手から全身へと痛みが走り……オレのHPバーは減っていき、そして0になった。
徐々に暗くなる視界の中、ユミルがニヤリと笑う顔だけが見えた。
(悔しい……!)
暗くなり何も見えなくなった視界。
ユミルの高らかに笑う声だけが、洞窟内に響き渡り聞こえていた。
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