VRMMOを始めただけなのに、何故世界の危機に巻き込まれたのだろうか?

飛楽ゆらる

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3.始動

56.限界突破 2

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道具屋で上級ポーションを買い込み、精錬所へと向かう。

「お使いクエストってオチも有るか?でもソロ限定って所が気になるな…」

「ソロMAPに飛ばされて戦闘系の試練に一票」

「受けてみるまで分からないねー」

「受けたいけど情報無くて怖い。これが先行したプレイヤーの宿命か。で…ヴァルキリー装備は…って何これ!?強すぎない!?」

「今私も見たけど…ミスリルよりも防御が1.5倍くらい高い…。しかも全属性耐性5%付き。グリーブは移動速度アップも付いてる」

「おーガントレットには遠距離の命中補正が有るよ。これは強いね」

「ヴァルキリーリングはSTR、AGI+10%なんだけど…ボスドロップにしてもやり過ぎじゃ…」

「さ、流石に過剰は怖いね。5で止めようか」

「そうしよう!」

ヴァルキリー装備を着用するとミスリル装備よりも遥かに軽く、まるで服だけを着ているのと変わらない感覚だ。
関節の動きの邪魔をしないようにもなっており、これなら更に早い動きも可能だろう。
難点としては鎧が白と青で神々しく、とても目立つことだろうか。

兜、鎧上下はヴァルキリーで真っ白、靴はミスリルで紫。
極めつけは両手に光り輝く半漁人の手。
バランスも色合いも最悪なモンクが完成した。

「ぷっ何その見た目。モンスターでも居ないわ」

「初対面パーティーでその見た目だと流石に遠慮したくなるね」

二人には散々言われ、町ですれ違ったプレイヤーにも、指を差されて笑われるという散々な結果だった。
オレは結局、見た目装備のモンクの職業服へ戻した。

リリーとサラには手と靴を貸すと言われたがオレは断った。
正直試練で何があるか分からないので、ロストして返却出来ない可能性もあるからだ。
ちなみにリリーのヴァルキリーグリーブは、白い肌に良く似合っていた。
サラも弓を持つので、ヴァルキリーガントレットだけが大きく目立っていても違和感が無い。
…二人が羨ましい。

と、とにかく準備は完了した。
オレは軽く準備運動をした後深呼吸をする。

「よし、じゃあ限界突破の試練を受けてみるよ」

「はーい。頑張ってね」

「それが私たちの聞いた、樹の最期の言葉だった……」

「やめろそのフラグ」

二人が笑っているのを横目で見ながら、システムメッセージのYESをタップする。

それと同時に視界が暗くなり、プロテアの景色は消えた。

(本当に専用マップでの試験かよ!)

------

樹が準備をしている頃。
神界の奥では体の大きな巨人と黒髪の神が対話していた。

「では我はそろそろ向かうぞ」

「ああ。あのプレイヤーを頼んだよ?必ず罠に引っかかるから作戦通りに」

「分かっておる。だが、我をただの足止めに使うとは…な」

「一番適役なんだから仕方ないよ」

「フン。取り敢えず約束通りに従ってやる。お主らも失敗するなよ?」

「大丈夫だよ。今回は手抜き無しで実力派が向かうから」

「アース神族と巨人族の共闘…か。贅沢なものだな」

「まあ、ね。前なら有り得なかった。でも今は明確なトップが居るし」

「あのお方は別次元の存在だ……我々は従う他に無い。話し過ぎたか。では、あとは頼むぞ…」

巨人の姿が光に包まれ消えていく。

「さてさて…数少ない問題点の、あのプレイヤーを止められるかなあ?頼んだよ…始まりの巨人さん。はあ、寝よ」

そう言い残し黒髪の神も消えていく。

神界では天使たちが慌ただしく動いている。
…その数は多い。

もうすぐ…。
プレイヤー達と神々の戦争が始まろうとしていた。
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