VRMMOを始めただけなのに、何故世界の危機に巻き込まれたのだろうか?

飛楽ゆらる

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2.そして少しずつ動き出す

50.高級料理店 5

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「さて上野君。僕達はどう動こうか?神々は敵だ!僕達プレイヤーは早く強くなって敵を倒そう!だけじゃなあ…」

「うーん…プレイヤー全体で動きたくなるような何かが無いと…。オレや並木さんが言った所で、周りはそう簡単には動かないと思いますが。国や運営はどのように動くんですか?」

オレの問いにトムさんが答える。

「それについては、じきに運営側から告知を出す事となっているよ。RDOのプレイヤーの目的は、神々から世界を守ることという設定づけと、神に負けた時はプレイヤー側に大きな不利益が出る事。正直な所、そんなんじゃプレイヤーを誘導しきれないとは思う。その為にも君達の力が必要となってくる」

トムさんは表情を曇らせながら答える。
並木さんが口を開く。

「それだけでは間違いなくプレイヤー側は必死にならないでしょうね。不利益についてだけではなく、プレイヤー側の勝利時の利益を匂わせないと。利益については政府や運営の懐事情にもよりますが、ゲーム内通貨であれば飛びつくプレイヤーは多いでしょう」

「それについても打ち合わせ中だ。アメリカ政府はまだ渋っているが。私は金で多くのプレイヤーが動いてくれるのであれば、惜しみなく金を出すべきだと思う。金の出し惜しみでこの戦いに負けたのでは元も子もないからね。…ということで、間宮防衛大臣は日本政府にもっと働きかけて欲しいな」

トムさんの言葉に、間宮防衛大臣は苦笑いしながら答える。

「トムさん。日本政府は出来る限り協力しているんだ。アメリカに借りを作れる機会はそう無いからな。まずは並木君と上野君にはRDOに集中できるよう、資金援助をするつもりだ。そして君達の動きによるが…神との戦いに勝つことができたなら多額の報酬も約束しよう」

政府の報酬と言われても、どれほどのものかは見当がつかないが。
それでもお金が貰えるのであれば、モチベーションは上がる。

オレが考えていると、トムさんが話す。

「それならアメリカ政府も大きく貢献したプレイヤーへの報酬を約束してくれているよ。君達が貢献すれば50万ドル位は出してくれるんじゃない?」

「50万ドル!?」

あまりの金額に驚いて声が出てしまった。
50万ドルなら1ドル100円でも5000万円…。
贅沢をしなければ数十年は暮らせるか…?

オレの驚き見て、間宮防衛大臣が口を開く。

「日本政府としても日本の貢献者なら、50万ドル位は許容範囲内だぞ?まあ既に大金を稼いでいる並木君としては、あまり嬉しくも無いかな?」

間宮防衛大臣の言葉に並木さん。

「いやー50万ドルは大金ですよ。最近動画で稼いでいると言っても、社員の給料もありますし。いやー急にやる気が出てきました。世界を救うついでにお金を稼げるなんて夢のようじゃないですか」

茶化すような並木さんの後にオレも続く。

「オ、オレとしても、そのような大金を掴むチャンスがあるのであれば…全力でやらせてもらいます。勿論自分への利益よりも全体の向上を重要視しますが」

二人の答えに、トムさんが口を開く。

「二人とも宜しく頼むよ。では次に、今後どのように動くかだ。先程言った告知は3日後に行なう予定だ。二人は出来るだけプレイヤー達の目を神々を倒すよう向けて欲しい」

トムさんは続ける。

「4月の初旬に、神が暮らす領域…"神域"への扉を開く事を予定している。そして君達を含むプレイヤーにはその"神域"へ行ってもらい、神々を倒してもらう。現在の目標は神域開放までに都市を守りきることと、プレイヤー達の底上げとなる」

トムさんが一呼吸置き、また喋り始める。

「最後に、にわかには信じられない話だったと思うが二人が協力してくれる事に感謝する。君達には多くの仕事を任せてしまうが、政府や運営としても可能な限り力を尽くしていく。まさかこんな映画のような言葉を使うとは思わなかったが……並木君、上野君、世界の為によろしく頼む。それではまた」

そこでトムさんとのビデオチャットは切れる。
恐らくトムさんは世界中の有力なプレイヤーに、同じように依頼して回っているのだろう。

さて次の問題は、並木さんとオレはどのように動いていくか。
並木さんに比べてオレに出来る事は少ないけれど。
できる限りの事はやりたい。
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