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2.そして少しずつ動き出す
33.プロテア観光
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…流石に気持ちの切り替えが出来ず、RDOへログイン出来ないでいた。
その間、コーヒーを飲んだり、シャワーを浴びたが未だに気分は晴れず。
…現在の時間は午後11時半で、まだ寝るには早い。
気分転換がしたいのだが外に出る時間でもない。
そして、こういう時気軽に連絡する友人も居ない。…悲しい。
オレは少し迷ったが、VRヘッドギアを被ってRDOにログインすることにした。
だがレベリングをする訳ではなく、プロテア内の観光による気分転換ぎ目的だ。
目的地も無くプロテアをゆっくりと周りを見ながら歩く。
RDO内の視界は現実と相違がなく、現実にある国のように錯覚する。
近くの家屋を見ても。
真っ白なレンガが一つ一つ丁寧に置かれて建てられているし、手作業で行われているような目地のムラまで再現されているのだ。
違和感があるのは、レンガに汚れが一つ無くて綺麗過ぎるという点だけだろうか?
舗装されている道に関してもそうだ。
家と同じように白いレンガが埋められて舗装されてはいるのだが、土による汚れや馬車が通る時に出来る傷も全く無い。
ここまでの再現がされているのに、何故汚れは再現しない?
…それとも意図的に再現していない?
RDOの謎は深まるばかりだ。
でも…目的も無く歩くのにも飽きてきた。
だからといって行くところも無い。
(あ、そうだ!どうせ気分転換するなら、あそこへ行ってみよう)
どこがいいかは全く情報が無いので、適当に目についたその建物へと入る。
…中にはテーブルと椅子がきれいに並べられていて、そこに座る数人のNPC。
中に入ると同時に漂ってくる、料理の良い匂い。
オレが気分転換に訪れたのは…食堂だ。
RDOでは食事も再現されており、視聴者情報によるとかなり美味しいものも有るそう。
でも現状は情報が無いので当たりの店が分からない。
ま、マズくても良い思い出だ。
席に着きメニューを確認する。
どうやらこの店は洋食系の食堂のようだ。
メニューにはハンバーグやビーフシチューといった見慣れたものが並んでいる。
ここでは残念なことに主食はパンだけのようだ。
米派なだけに誠に残念である。
少し悩んだが、ビーフシチューとパン2つを注文した。
それだけでなんとお値段500G。RMで250円すか。
高くないですか運営さん…。
そしてこの値段だからか、プレイヤーの姿は見られない。
サーバーオープンしてからまだ二日目だし、普通のプレイヤーは娯楽にお金を使うのはまだ避ける時期だ。
2日目でここまで疲れ切ってるオレがおかしいんだ…。
あぁ…癒しが欲しい。
数分後ビーフシチューとパンが運ばれてくる。
配膳してくれた女性に、礼を言い料理を確認する。
な、なんということでしょう。
目の前にビーフシチューが置かれると、おいしそうな匂いが鼻を刺激してくるではないですか。
香草や肉の香りがうまく混ざり合う匂いに、食欲がかき立てられる。
(…明らかにレトルトとは違う匂いッ!)
オレは暫く香りを楽しむ…。
この匂いだけでご飯三杯はいける。食べるのがもったいない。
だが…!だがしかし…!食べたらどんな味がするのかッッ!
…オレはその誘惑に負けてしまった。
ビーフシチューをスプーンで掬って、もう一度鼻の近くで匂いを楽しんでから…口の中へ。
…口の中で広がる、肉の濃厚な旨み。
玉ねぎを多く使用し、しっかりと煮込んだであろう、甘み。
肉も野菜も形を保ってはいるが、口の中に入れると溶けていく。
素晴らしい…星三つ…この料理を作ったシェフに拍手を送りたい…。
これが料理のコンテスト会場であったなら、スタンディングオベーションだ。
(…ハフッ、ハフッ、ズズッ、うん、うまい)
オレはそのまま手が止まらずに、またたく間にパンとビーフシチューを食べ終わった。
(ふぅ…ご馳走様でした)
…これで500Gは有りだ。高いと言っていた奴の気が知れない。
ファミレスとは全くレベルが違う、高級レストランのビーフシチューを味わった気分だ。
あぁ…一人暮らしをしてから、長らく味わっていなかった美味しい料理だった。
こんなに美味しい料理を味わえるのなら、各国の料理を味わう観光も良い。
今はまだ無理だが落ち着いたら必ず!
待ってろ米料理!
…そのためにオレはお金も経験値も稼ぐぞ!
「…美味しかったです。ご馳走様でした」
カウンターに代金を置き、食堂を後にする。
食事だけで気分が晴れてしまった。
今の気分なら狩りも出来そうだ。
そう思っていると、フレンドコールを知らせる着信音。
相手は、リリー・グリーン。
(そう言えば、朝もフレンドコールあったな。なんだろ)
「こんばんは。上野樹です」
『あ、リリー・ローズ・グリーンです。こんばんわ?』
「あぁ…またやってしまった。そっちは朝だよね?おはようリリー」
リリーの笑い声。
『あー時差に慣れないね!もう気にしないで良いんじゃない?』
「そ、そうだね。今度間違えてもスルーして。…で、何か用事かな?」
『あ、そうそう!樹ってRDOでも有名なんだね!イギリスの情報サイトに樹の動画リンクが載ってたよ』
ん…?RDOでも?
「あー…それは初日にたまたまレベル上げがうまくいっただけだよ。現にレベルも抜かれてるし」
『いやいや、今日の放送のボスモンスターでも話題になってるよ?これだけ話題なら私も見なきゃね』
また笑い声がするが、これは絶対揶揄われてる。
「そ、それもたまたまで…」
『あははっ、たまたまでも続けば実力だよ。運も実力のうちってね』
「は、話を変えよう…」
『樹は思ったより照れ屋なんだねー。本気のゲームモードだとカッコいいのに…って、そ、そうじゃ無くて!』
「ん?ゲームモード?かっ…『あ、そうそう!スキルクエストのスケルトンアサシンとアーチャーが強くって、コツを教えてよ!』
見事に遮られたが、再度聞く勇気がない!
「あーそれなら対処方法分かってれば簡単だと思うよ。今教えようか?」
オレはフレンドコールで対処法を教えれば済むだろう、と思ってそう言ったのだが。
『ありがとう!今友達の子と二人で教会墓地ダンジョン入り口に居るから!待ってるね!』
えっ、一緒に行くの?今すぐ?まじ?
その間、コーヒーを飲んだり、シャワーを浴びたが未だに気分は晴れず。
…現在の時間は午後11時半で、まだ寝るには早い。
気分転換がしたいのだが外に出る時間でもない。
そして、こういう時気軽に連絡する友人も居ない。…悲しい。
オレは少し迷ったが、VRヘッドギアを被ってRDOにログインすることにした。
だがレベリングをする訳ではなく、プロテア内の観光による気分転換ぎ目的だ。
目的地も無くプロテアをゆっくりと周りを見ながら歩く。
RDO内の視界は現実と相違がなく、現実にある国のように錯覚する。
近くの家屋を見ても。
真っ白なレンガが一つ一つ丁寧に置かれて建てられているし、手作業で行われているような目地のムラまで再現されているのだ。
違和感があるのは、レンガに汚れが一つ無くて綺麗過ぎるという点だけだろうか?
舗装されている道に関してもそうだ。
家と同じように白いレンガが埋められて舗装されてはいるのだが、土による汚れや馬車が通る時に出来る傷も全く無い。
ここまでの再現がされているのに、何故汚れは再現しない?
…それとも意図的に再現していない?
RDOの謎は深まるばかりだ。
でも…目的も無く歩くのにも飽きてきた。
だからといって行くところも無い。
(あ、そうだ!どうせ気分転換するなら、あそこへ行ってみよう)
どこがいいかは全く情報が無いので、適当に目についたその建物へと入る。
…中にはテーブルと椅子がきれいに並べられていて、そこに座る数人のNPC。
中に入ると同時に漂ってくる、料理の良い匂い。
オレが気分転換に訪れたのは…食堂だ。
RDOでは食事も再現されており、視聴者情報によるとかなり美味しいものも有るそう。
でも現状は情報が無いので当たりの店が分からない。
ま、マズくても良い思い出だ。
席に着きメニューを確認する。
どうやらこの店は洋食系の食堂のようだ。
メニューにはハンバーグやビーフシチューといった見慣れたものが並んでいる。
ここでは残念なことに主食はパンだけのようだ。
米派なだけに誠に残念である。
少し悩んだが、ビーフシチューとパン2つを注文した。
それだけでなんとお値段500G。RMで250円すか。
高くないですか運営さん…。
そしてこの値段だからか、プレイヤーの姿は見られない。
サーバーオープンしてからまだ二日目だし、普通のプレイヤーは娯楽にお金を使うのはまだ避ける時期だ。
2日目でここまで疲れ切ってるオレがおかしいんだ…。
あぁ…癒しが欲しい。
数分後ビーフシチューとパンが運ばれてくる。
配膳してくれた女性に、礼を言い料理を確認する。
な、なんということでしょう。
目の前にビーフシチューが置かれると、おいしそうな匂いが鼻を刺激してくるではないですか。
香草や肉の香りがうまく混ざり合う匂いに、食欲がかき立てられる。
(…明らかにレトルトとは違う匂いッ!)
オレは暫く香りを楽しむ…。
この匂いだけでご飯三杯はいける。食べるのがもったいない。
だが…!だがしかし…!食べたらどんな味がするのかッッ!
…オレはその誘惑に負けてしまった。
ビーフシチューをスプーンで掬って、もう一度鼻の近くで匂いを楽しんでから…口の中へ。
…口の中で広がる、肉の濃厚な旨み。
玉ねぎを多く使用し、しっかりと煮込んだであろう、甘み。
肉も野菜も形を保ってはいるが、口の中に入れると溶けていく。
素晴らしい…星三つ…この料理を作ったシェフに拍手を送りたい…。
これが料理のコンテスト会場であったなら、スタンディングオベーションだ。
(…ハフッ、ハフッ、ズズッ、うん、うまい)
オレはそのまま手が止まらずに、またたく間にパンとビーフシチューを食べ終わった。
(ふぅ…ご馳走様でした)
…これで500Gは有りだ。高いと言っていた奴の気が知れない。
ファミレスとは全くレベルが違う、高級レストランのビーフシチューを味わった気分だ。
あぁ…一人暮らしをしてから、長らく味わっていなかった美味しい料理だった。
こんなに美味しい料理を味わえるのなら、各国の料理を味わう観光も良い。
今はまだ無理だが落ち着いたら必ず!
待ってろ米料理!
…そのためにオレはお金も経験値も稼ぐぞ!
「…美味しかったです。ご馳走様でした」
カウンターに代金を置き、食堂を後にする。
食事だけで気分が晴れてしまった。
今の気分なら狩りも出来そうだ。
そう思っていると、フレンドコールを知らせる着信音。
相手は、リリー・グリーン。
(そう言えば、朝もフレンドコールあったな。なんだろ)
「こんばんは。上野樹です」
『あ、リリー・ローズ・グリーンです。こんばんわ?』
「あぁ…またやってしまった。そっちは朝だよね?おはようリリー」
リリーの笑い声。
『あー時差に慣れないね!もう気にしないで良いんじゃない?』
「そ、そうだね。今度間違えてもスルーして。…で、何か用事かな?」
『あ、そうそう!樹ってRDOでも有名なんだね!イギリスの情報サイトに樹の動画リンクが載ってたよ』
ん…?RDOでも?
「あー…それは初日にたまたまレベル上げがうまくいっただけだよ。現にレベルも抜かれてるし」
『いやいや、今日の放送のボスモンスターでも話題になってるよ?これだけ話題なら私も見なきゃね』
また笑い声がするが、これは絶対揶揄われてる。
「そ、それもたまたまで…」
『あははっ、たまたまでも続けば実力だよ。運も実力のうちってね』
「は、話を変えよう…」
『樹は思ったより照れ屋なんだねー。本気のゲームモードだとカッコいいのに…って、そ、そうじゃ無くて!』
「ん?ゲームモード?かっ…『あ、そうそう!スキルクエストのスケルトンアサシンとアーチャーが強くって、コツを教えてよ!』
見事に遮られたが、再度聞く勇気がない!
「あーそれなら対処方法分かってれば簡単だと思うよ。今教えようか?」
オレはフレンドコールで対処法を教えれば済むだろう、と思ってそう言ったのだが。
『ありがとう!今友達の子と二人で教会墓地ダンジョン入り口に居るから!待ってるね!』
えっ、一緒に行くの?今すぐ?まじ?
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