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1.スタダ
22.桜の舞う季節に…2
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オレはララさんと別れた後、ルークさんを探していた。
今までの情報で分かっているのは、ララさんと同じ18歳でルークという名の男性。
そしてプロテアの商店の息子で、商人として働いているのでは無いかと考えられる。
正直これしか分かっていないが…現実での人探しとは違い、RDOはゲームだ。情報通りで意外とすぐに見つかるのでは無いかと思っている。
そして武器屋や雑貨屋等の店を中心に聞き込みを行なっていたところ、有力な情報が分かった。
魔法道具屋のおっさんによると、最近売り上げを伸ばしているクルード商店という個人でやっている雑貨屋があるらしい。
その商店の息子の名前がルークだったはず…との事だ。
そのクルード商店はプロテアの外壁寄りの東側にあるようで、オレは今まで行ったことがない区域だ。
おっさん情報を頼りにクルード商店を探すと、あっさりと見つかった。
外観は個人の商店にしては小綺麗で、まるで新しい店舗のようにも思える。
窓から見える内装も、とてもセンスが良い。
オレは感心しながら、商店の中に足を踏み入れた。
ドアが閉まると同時に、ドアについていた鈴がチリンと綺麗な音を鳴らす。
中に入って再度内装を眺めると…綺麗に清掃が行き届いており、インテリアや壁紙といった内装に関してもとても拘っている事が伺える。
イメージとしては現実世界で話題になるような、お洒落な喫茶店だろうか。
もちろんテレビ情報でオレはそんな所行ったことないけど。
そして販売している商品は冒険者向けのポーションから、女性向けのアクセサリまで幅広く取り扱っているようだ。
また、アクセサリの中には魔法効果がついた高額の品物もあり、透明なケースに大切に保管されていた。
オレはそのまま店内を見ていると、カウンターから一人の男性が現れて、そのまま声を掛けられる。
「いらっしゃいませ!クルード商店にようこそ。お気軽に店内を見て下さい。何か質問があるようなら、お声がけをお願い致します」
男性はそう告げると、カウンターの中へとすぐに戻った。
その声をかけてきた男性は、オレと同じくらいの年齢であろう茶色の髪の爽やかな顔立ち。
そして身長も180cm位有り、細身だが筋肉も程ほどに有りスタイルが良かった。
現実世界でもここまでのイケメンは中々いないだろう。
「あの…お聞きしたいのですが…」
オレは男性に近づき、緊張しながらも声を掛ける。
「はい、何でしょうか?」
「私は冒険者をしている上野と言います。もしかしててあなたのお名前はルークさんでしょうか?」
「…え?はい。私の名前はルーク・クルードと申しますが…それがどうか致しましたか?」
どうやらこの男性がルークさんで合っていたようだ。
オレはそのまま話を切り出す。
「……教会の司祭の娘であるララ・アネットさんという女性をご存知でしょうか?」
ララさんの名前を出した途端、急にルークさんの顔が強張る。
「えーと…急に失礼しました。私はララさんの知り合いでして、3年ほど前、ララさんと教会学校で仲が良かったルークという男性を探しています。…私の勘違いで無ければ、あなたがそのルークさんだと思うのですが」
ルークさんは顔が強張ったまま無言だが……それが本人であるという答えのような気がする。
ルークさんの返事を待たずに、オレは話を続ける。
「私が探している理由についてですが、ララさんはルークさんと会って話がしたいと仰っていました。詳しく内容は聞いていませんが…ルークさんに謝罪をしたいと」
ルークさんは相変わらず口を噤んでいる。
「もし、あなたがララさんの仰っていたルークさんであれば…一度だけで良いので、ララさんと話し合いして頂きたいのです。それと勘違いしないで頂きたいのは、これはララさんに依頼された訳ではなくて、私個人の勝手な行動です」
オレはララさんに、ルークさんに会わせてほしいと頼まれたわけではない。
手紙の内容を知った、オレの勝手なお節介でしかないのだ。
ただ…出来る事なら…ララさんの思いは伝えさせてあげたい。
せめてララさんから謝罪の言葉だけでもルークさんに伝える事ができれば、それにより今後の二人の人生は大きく変わるはずだ。
伝えたいことを言い切ったオレは、そのままルークさんの返事を待つ。
暫く悩んでいた様子だったが、長い沈黙の後にルークさんはこう言った。
「…申し訳ありませんが、私はララ・アネットさんという女性を存じ上げておりません。そのララさんが仰っているルークさんという男性は、同じ名前なだけの…別な方でしょう。そして私は、そのルークさんについては何も存じ上げておりません。あなたの人探しのお力になれず…すみません…」
彼は俯きながら震える声でそう言った。
(知らない人との人違いだけで、そんな表情になるわけないじゃないか…)
ずっと返事に悩んでいた様子から見ても、ララさんの事を忘れられていないのだろう。
ただ彼は、ルークさんは会って全てを解決することよりも、淡い恋心の思い出のまま、心に閉まっておくと…答えを出したのだろう。
それでもオレは二人を会わせてあげたい…これは身勝手で傲慢だろうか?
2人はまだ両想いのままなのに…それを知りながらここで終わらせて良いのだろうか?
そう思いながらも、今は無理に行動すべきじゃないと分かっている。
「いえ、こちらこそ人違い申し訳ありませんでした。ありがとうございました。それでは…」
オレは踵を返してクルード商店を後にする。
そしてドアを閉めると同時にまた…鈴が綺麗な音を鳴らした。
これは本当にただのゲームで、その中に居るただのNPCクエストなのだろうか?
それにしては色々な感情が入り混じっているし、1つの行動を誤っただけでクエスト達成が不可能となってしまう。
…オレは今効率やスタダがどうでもよくなっていた。このクエストの結末…が気になって仕方がなかった。
今までの情報で分かっているのは、ララさんと同じ18歳でルークという名の男性。
そしてプロテアの商店の息子で、商人として働いているのでは無いかと考えられる。
正直これしか分かっていないが…現実での人探しとは違い、RDOはゲームだ。情報通りで意外とすぐに見つかるのでは無いかと思っている。
そして武器屋や雑貨屋等の店を中心に聞き込みを行なっていたところ、有力な情報が分かった。
魔法道具屋のおっさんによると、最近売り上げを伸ばしているクルード商店という個人でやっている雑貨屋があるらしい。
その商店の息子の名前がルークだったはず…との事だ。
そのクルード商店はプロテアの外壁寄りの東側にあるようで、オレは今まで行ったことがない区域だ。
おっさん情報を頼りにクルード商店を探すと、あっさりと見つかった。
外観は個人の商店にしては小綺麗で、まるで新しい店舗のようにも思える。
窓から見える内装も、とてもセンスが良い。
オレは感心しながら、商店の中に足を踏み入れた。
ドアが閉まると同時に、ドアについていた鈴がチリンと綺麗な音を鳴らす。
中に入って再度内装を眺めると…綺麗に清掃が行き届いており、インテリアや壁紙といった内装に関してもとても拘っている事が伺える。
イメージとしては現実世界で話題になるような、お洒落な喫茶店だろうか。
もちろんテレビ情報でオレはそんな所行ったことないけど。
そして販売している商品は冒険者向けのポーションから、女性向けのアクセサリまで幅広く取り扱っているようだ。
また、アクセサリの中には魔法効果がついた高額の品物もあり、透明なケースに大切に保管されていた。
オレはそのまま店内を見ていると、カウンターから一人の男性が現れて、そのまま声を掛けられる。
「いらっしゃいませ!クルード商店にようこそ。お気軽に店内を見て下さい。何か質問があるようなら、お声がけをお願い致します」
男性はそう告げると、カウンターの中へとすぐに戻った。
その声をかけてきた男性は、オレと同じくらいの年齢であろう茶色の髪の爽やかな顔立ち。
そして身長も180cm位有り、細身だが筋肉も程ほどに有りスタイルが良かった。
現実世界でもここまでのイケメンは中々いないだろう。
「あの…お聞きしたいのですが…」
オレは男性に近づき、緊張しながらも声を掛ける。
「はい、何でしょうか?」
「私は冒険者をしている上野と言います。もしかしててあなたのお名前はルークさんでしょうか?」
「…え?はい。私の名前はルーク・クルードと申しますが…それがどうか致しましたか?」
どうやらこの男性がルークさんで合っていたようだ。
オレはそのまま話を切り出す。
「……教会の司祭の娘であるララ・アネットさんという女性をご存知でしょうか?」
ララさんの名前を出した途端、急にルークさんの顔が強張る。
「えーと…急に失礼しました。私はララさんの知り合いでして、3年ほど前、ララさんと教会学校で仲が良かったルークという男性を探しています。…私の勘違いで無ければ、あなたがそのルークさんだと思うのですが」
ルークさんは顔が強張ったまま無言だが……それが本人であるという答えのような気がする。
ルークさんの返事を待たずに、オレは話を続ける。
「私が探している理由についてですが、ララさんはルークさんと会って話がしたいと仰っていました。詳しく内容は聞いていませんが…ルークさんに謝罪をしたいと」
ルークさんは相変わらず口を噤んでいる。
「もし、あなたがララさんの仰っていたルークさんであれば…一度だけで良いので、ララさんと話し合いして頂きたいのです。それと勘違いしないで頂きたいのは、これはララさんに依頼された訳ではなくて、私個人の勝手な行動です」
オレはララさんに、ルークさんに会わせてほしいと頼まれたわけではない。
手紙の内容を知った、オレの勝手なお節介でしかないのだ。
ただ…出来る事なら…ララさんの思いは伝えさせてあげたい。
せめてララさんから謝罪の言葉だけでもルークさんに伝える事ができれば、それにより今後の二人の人生は大きく変わるはずだ。
伝えたいことを言い切ったオレは、そのままルークさんの返事を待つ。
暫く悩んでいた様子だったが、長い沈黙の後にルークさんはこう言った。
「…申し訳ありませんが、私はララ・アネットさんという女性を存じ上げておりません。そのララさんが仰っているルークさんという男性は、同じ名前なだけの…別な方でしょう。そして私は、そのルークさんについては何も存じ上げておりません。あなたの人探しのお力になれず…すみません…」
彼は俯きながら震える声でそう言った。
(知らない人との人違いだけで、そんな表情になるわけないじゃないか…)
ずっと返事に悩んでいた様子から見ても、ララさんの事を忘れられていないのだろう。
ただ彼は、ルークさんは会って全てを解決することよりも、淡い恋心の思い出のまま、心に閉まっておくと…答えを出したのだろう。
それでもオレは二人を会わせてあげたい…これは身勝手で傲慢だろうか?
2人はまだ両想いのままなのに…それを知りながらここで終わらせて良いのだろうか?
そう思いながらも、今は無理に行動すべきじゃないと分かっている。
「いえ、こちらこそ人違い申し訳ありませんでした。ありがとうございました。それでは…」
オレは踵を返してクルード商店を後にする。
そしてドアを閉めると同時にまた…鈴が綺麗な音を鳴らした。
これは本当にただのゲームで、その中に居るただのNPCクエストなのだろうか?
それにしては色々な感情が入り混じっているし、1つの行動を誤っただけでクエスト達成が不可能となってしまう。
…オレは今効率やスタダがどうでもよくなっていた。このクエストの結末…が気になって仕方がなかった。
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