VRMMOを始めただけなのに、何故世界の危機に巻き込まれたのだろうか?

飛楽ゆらる

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1.スタダ

9 リリー・グリーン

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オレは今!リリーさんと一緒に騎士団の裏にある訓練場に居る。
欧州系の美人と二人なのだ、緊張しないわけが無い。
リアルだったら間違いなく発狂してるだろう。
VRと言語変換に感謝しかない。

(入手したスキルは…これかな)
スキルウィンドウを見ながらポチポチ。

下級モンクで取得出来るスキルは、持続回復魔法のリジェネ以外は取得できた。
今回はそれ以外のスキルを検証を兼ねてリリーさんに説明しようと思う。

パッシブスキル(常に発動するスキル)
ナックル修練、キック修練
アクティブスキル(任意で発動するスキル)
掌底、連打拳
魔法(詠唱が必要な任意で発動するスキル)
パワーブレス、スピードアップ
リジェネは未取得。

スキルレベルはLv1から始まり、スキルにより上限は異なる。上限1のスキルもあれば、5や10といったものまで。
それをレベルアップ時に獲得できるスキルポイントを使いレベルを上げていく。

そしてリリーさんと話しながら検証していく。
リリーさんはオレの説明を熱心に聞いてくれる。

パッシブスキルはまあ…そのままナックルやキックのダメージ強化なので説明不要だと思う。

アクティブスキル。
掌底…敵の防御力を貫通する効果が有るようだ。若干発動前後に少しの硬直が有るが、使い勝手は良い。今後の敵によっては主力になり得るスキルだ。
連打拳…クリティカルが出ないけど、通常攻撃4発分くらいのダメージ。発動前後の硬直時間が長く扱い辛い。ワンパン出来る敵に使うスキル狩り用。

パワーブレス…説明によるとスキルLv1につきSTR+3%の効果。Lv10で+30%かな。ステータスとスキルレベルが上がれば実感出来るのでは。火力不足にお悩みの方へ。
スピードアップ…パワーブレスと同じくスキルLv1でAGI+3%。Lv10で+30%。ただし、移動速度が1.5倍に上がるようでかなり優秀な子。常時使いたい。

一通りスキルを使った所で、リリーさんと向き合う。

「これでオレの覚えてるスキルは全部かな。今後は分からないけど、バフやパッシブで基礎能力をアップして通常攻撃の手数で倒す…ってイメージかな」

リリーさんは少し考えた後口を開く。
「でもスキルに頼らない分格闘技を多少なりしていた方なら…向いている職業かもしれません」

「オレもそう思う。ただ…」

「「地味だね(ですね)」」

言葉が被りリリーさんと顔を見合わせる。
そのまま暫くの沈黙の後…2人とも大笑いした。
その笑いは、他のプレイヤーが通り過ぎた所で冷静になるまで続いた。

「あー!面白かった。」
と、リリーさん。
「そ、そうだね。面白かった」
と、冷静になり恥ずかしくなるオレ。

「で…リリーさんは職業どうするの?」

「うーん…それよりもさ、さん付けはやめない?」
「えっ…」
突然の事に驚いてしまう。

「嫌なら別に良いんだけど…」
「い、いや。じゃあさん付けは止めるね。それと、じゃあ…オレの事も呼び捨てで…」

「分かった!これから樹って呼ぶね!それと敬語じゃなくても、良いかな?」
リリーさんが満面の笑みで眩しい…。
「う、うん。敬語は要らない。それと…オレも、リ…リリーって呼ぶよ」

先程までゲームの事ならスムーズに話していたと言うのに、普通の会話になるとこのテンパりようだ。
社会復帰の日は遠い。

そんなオレのことなど気にせず、リリーは話しかけて来る。
「これからよろしくね。樹」
「ヨロシク、リリー」

そのままの流れでオレとリリーはフレンド登録を行う。

(マジで…フレンド一人目が金髪美少女とは…神様ありがとう)

フレンド登録がされたことを確認するとリリーが近づいてくる。
(ん…?何だろう。ああ、握手かな?海外だと初対面でも必ずしてそうだし)

オレも近づき始め、右手を差し出そうとする…が。
そのままリリーは両手を広げる。

(えっ?)

と思った瞬間にはオレの後ろに手を回して抱きついてきた。密着まではしていないが、リリーの身体の感触が…する。
突然の事に右手を差し出したまま硬直するオレ。

(ちょっ!?)

「ちょちょちょっと!リリーさん!?」
「ん?どうしたの…あ!そうか!」
リリーは何か思いついたと同時に身体を離す。

「ごめん!そういえば日本ではハグはしないんだったね!何時もの調子でついしちゃった…ごめんね?」
「い、いや驚いただけだからさ。そうか、ハグかー、びっくりしたよーハハハ…」

初対面の異性にハグまでするのか?とも思うが…リリーが言うのだから、普通の事なんだ。
内心かなり嬉しいけど、それは顔に出しちゃダメだ。うん。
素数を数えて落ち着けオレ。

そしてリリーが全く何事もなかったかのように話しかけて来る。

「よし!私モンクになるよ!その方が現実での経験も生かせそうだし」
「う、うん。それが良いよ」

「よし、じゃあすぐに転職しようっと!樹に追いつかなきゃ!」
「う、うん。お互い頑張ろう」

「じゃあね樹!落ち着いたら連絡するから、一緒に遊ぼうね!」
「う、うん。連絡待ってるよ」

そのまま手を振りながら走り去っていく金髪ポニテの美少女リリーをその場で見送った。

ボンバー・リリー…オレはそう心の中で呟いたのだった。
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