VRMMOを始めただけなのに、何故世界の危機に巻き込まれたのだろうか?

飛楽ゆらる

文字の大きさ
上 下
8 / 85
1.スタダ

7.ベビーエイプと鬼ごっこ!

しおりを挟む
スキルクエストの為の収集品を落とす敵は全てプロテア周辺。
周囲の平原や町の北東にある森の中に居る敵だ。

事前にガンターさんから敵がいる場所を聞いてるので、探索自体は楽であった。
平原ではバッタや大きい蛙等の数種類を倒し、すぐに収集品を集めることが出来た。
ただ蛙はデフォルメしたほうがいいと思う。マジで。

問題は森の敵だった。
マンドラゴラと呼ばれる植物系モンスターで、植物の根を地面から突き出し攻撃してくる。
アクティブモンスターで攻撃も遠距離。
そして根が出てくる場所が読みにくく、攻撃が数回掠る。
不規則に動き続ける事で、何とか攻略する事が出来た。
その後しばらくは狩が捗った…が。

(うーん。これどうしよう)

マンドラゴラが10匹程狭い箇所に密集しており、動きを合わせてくねくねしている。
遠距離だから近づけない。そして見てて気持ち悪い。

普通のMMOであれば近距離職では難しい状況で、諦めて他のモンスターを探す事になると思う。
だがRDOはVRMMOで自由度が有る。
オレは地面に落ちている石を拾い、マンドラゴラの群れに向かって全力で投擲した。
その投擲した石は群れの中の一匹に当たり、倒す事こそ出来なかったが傷を作る。

(これなら行ける!)

その後は石を何度投擲したか覚えていないが、密集マンドラゴラの群れを綺麗に処理することが出来た。

(つ、疲れた……肩が重い気がする)
オレはその場にへたり込んでしまった。

さて…残るはベビーエイプが落とす収拾品のみとなった。
ベビーエイプは小猿のモンスターでノンアクティブのようだが、リンクという特性を持っているようだ。
リンクとは…攻撃すると周囲の仲間を呼び寄せ、複数で襲ってくるという特性だ。
対複数となると回避が難しくなってしまうので、必ず単体で戦いたい。

オレは森の奥へと進み、小猿型モンスターであるベビーエイプの居るMAPへと足を踏み入れた。
森の中にしては木が少なくて開けた場所となっており、視界は悪くない。
オレはMAPの奥へ進んで単体のベビーエイプを探すが、中々見つける事が出来ないでいた。
根気よく探索を続けていたところ、道の行き止まりとなっている場所で、単体のベビーエイプを発見した。

初撃で出来る限りダメージを与える為、狙いを定めて頭を全力で強打する。
強打の衝撃により、ベビーエイプは後ろに大きく吹き飛ぶ。だか…ベビーエイプは回転をして両手をYの字に広げて着地。

(敵ながら見事な着地だぜ…スタンディングオベーションだ)

その後着地したベビーエイプは鳴き声を上げながらオレに近づいてきた。
恐らくこの鳴き声が仲間を呼び寄せるのだろう。

オレとベビーエイプとの戦いが始まる。
ベビーエイプは爪で引っ掻いて攻撃をしてくるが、これが今までのモンスターと比べて早い。
攻撃を避けるだけで精一杯で、こちらが攻撃する余裕が無い。
だが次第に動きに慣れてくると、合間に攻撃を挟めるようになるが…今度は簡単に回避される。
あまり良くない状況だ。
時間を掛けていると鳴き声により他のベビーエイプが寄ってきてしまう。

オレはベビーエイプの攻撃を、直撃しない所で受けながら、戦っていく戦法に切り替えた。
ただし爪による攻撃は、掠っただけでもオレのHPを大きく削る。
HPが減ってきたところで、すぐに距離を取ってポーションを使い、また戦いに戻る。
そのまま攻撃を10回程した所でベビーエイプは短い叫び声を上げ、粒子の光となって消えていった。

単体のベビーエイプを探すのも、これだけの戦いを何十回続けるのも流石に難しい。
現在レベル16だが…明らかなステータス不足だ。
オレはもう少し強くなった後に出直すことに決めた。

そしてオレが諦めて、プロテア方面へと歩いていたところ…。
オレがたまたま蹴った石が飛んだ。
その石は放物線を描き…ベビーエイプに当たった。
石が当たったベビーエイプだけで無く、周辺にもベビーエイプの姿が多数見られる。

顔を冷や汗が伝う。

予想通り…ベビーエイプ達はリンクしオレに向かって襲い掛かってきた。
オレはそれを確認する前に逃げ出していた。

「うおおおっ!やっちまった!」

オレは全力で走る。
その後ろにはベビーエイプの群れ。

後ろを振り返るとベビーエイプが更に増えており30匹は居るのでないだろうか…。
捕まったら即デスペナ!オレとベビーエイプの鬼ごっこ!は数分続いた。


---
そして、オレはプロテアに戻ってきていた。
イベントリから取り出したホームストーンで帰還した。
安堵するが…疲労感が半端無い。

ふとした事でデスペナが待っている。
オレは今までよりも気を引き締めて、プレイすることを誓ったのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)

あおっち
SF
  脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。  その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。  その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。  そして紛争の火種は地球へ。  その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。  近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。  第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。  ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。  第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。  ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

ユニーク職業最弱だと思われてたテイマーが最強だったと知れ渡ってしまったので、多くの人に注目&推しにされるのなぜ?

水まんじゅう
SF
懸賞で、たまたま当たったゲーム「君と紡ぐ世界」でユニーク職業を引き当ててしまった、和泉吉江。 そしてゲームをプイイし、決まった職業がユニーク職業最弱のテイマーという職業だ。ユニーク最弱と罵られながらも、仲間とテイムした魔物たちと強くなっていき罵ったやつらを見返していく物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio 通称、【GKM】 これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。 世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。 その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。 この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。 その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...