VRMMOを始めただけなのに、何故世界の危機に巻き込まれたのだろうか?

飛楽ゆらる

文字の大きさ
上 下
7 / 85
1.スタダ

6.鼓膜破壊兵器

しおりを挟む
モンクギルドへ行きアイシャさんへ条件達成したことを報告する。

「確かに、スケルトンの骨10個を確認致しました!上野 樹さんはモンクへの転職条件満たしました。これが最終確認ですが、モンクへの転職を行ってよろしいですが?」

「お願いします」
「では、登録書にサインをお願いします」

アイシャさんはそう言いながら、オレに紙を一枚差し出す。
(妙にリアルな転職だな…)
そう思いながらも登録書にサインする。

「おめでとうございます。これで上野 樹さんは下級のモンクとして認められました。記念すべきプレイヤー1人目のモンクです!これから人々の為に、その力を使っていただけることを願います!」

目の前にモンクへ転職しました。とシステムメッセージが表示される。
その後に取得可能スキルが増えました、とも表示された。
そしてプレイヤー1人目のモンクという事実が嬉しかった。

「アイシャさんありがとうございます。これから頑張るので、宜しくお願いします」

オレがそう言うとアイシャさんは優しく微笑む。

「こちらこそ宜しくお願い致します。それと…奥の部屋にモンクの教官がいるので、色々聞いてみると良いですよ。現在のランクのモンクスキルも教えてくれるはずです」

「じゃあすぐに行ってみますね。…あ、そうだ!アイシャさん!モンクのランクを上げるにはどうすれば?」

「レベルが一定のラインに達していることと、教会関係のクエストを達成していく事でランクアップクエストを受けることが出来ます。目安としてレベル40と教会関係クエスト5個達成で、中級試験クエストを受けることが出来ます」

「分かりました。ありがとうございます」

次の目標が分かったことで、アイシャさんに挨拶して奥の部屋に向かう。
教官はどんな人だろう。

部屋の扉を開けるとそこには、ハゲ頭で身長2mはある筋肉ムキムキのおっさんが居た。
目つきは鋭く、ギロリと睨み付けられながら見下ろされる。
その圧倒的な威圧感に、オレはたじろぐ。
…扉を閉めて見なかったことにしたい。

「はじめまして…先程モンクになった、上野 樹です。モンクについて…、教えてください…」

おっさんの見た目が怖いので、上手に喋る事ができない。
そして驚いたのはその後だ。

「おう!!!プレイヤー1人目のモンクか!!そう硬くなるな!ワシはモンクの教官をしとる、モンクの副長ガンターという!歓迎するぞ!!!!」

やばい!おっさん声でかい!鼓膜がビリビリする!
慌てて耳を塞ぐも、時すでに遅し。

「…ガンターさんですか。よろしくお願いします」
耳を塞ぎながら苦笑いを浮かべ、オレはそう挨拶を返すのが精一杯だった。もうやだ帰りたい。

「早速モンクについて教えよう!モンクはナックルや!キックによる!打撃攻撃を得意とする近接職だ!己の肉体が武器となる!」

耳を塞いでいても貫通して来る、声。
減らされる精神力。

「そして!他の近接職と違うのは!祝福魔法の一部が使える!それにより強化や回復も出来る!すばらしい職だ!ただし!祝福や回復魔法の専門であるプリーストには効果は劣るがな!」

どうやら強化魔法や回復魔法も出来るようだ。
少しでもポーションを節約したいので、回復魔法で節約出来るのは大きい。
結構ソロ性能が高い職かもしれない。

そのまま声による攻撃を耐え、スキルの説明を受ける。

まとめると。
下級モンクで扱えるのは、ナックルやキックに攻撃補正を掛けるパッシブスキル。
敵の防御を一部貫通する掌底や、一撃で数発のパンチを繰り出すアクティブスキル。
STRやAGIを上げる強化魔法。
某有名ゲームのリジェネ的な、持続回復魔法。

思ったよりも使えそうなスキルが多く、オレの戦闘スタイルにも合っている。
範囲攻撃に乏しいのと、器用貧乏感があるのがネックだろうか?
その後スキルクエストを受けれるだけ受けて、ガンターさんに別れを告げる。
さて、スキル習得の為にもうひと頑張りするか。
オレはモンクギルドを後にし、狩場へ向かっていく。

----
場所は変わり、ここはアメリカにあるRDO開発会社マウス・エンター社の一室。
二人の人物が薄暗い部屋にて、RDOのサーバー内の様子を観察していた。

「RDOは問題なくスタートしたようね。一安心といった所かしら?トムチーフプロデューサー?」

トムと呼ばれた男性に話し掛けるのは一人の金髪女性。
胸に着けられた名札にはジェリーと書かれている。

「そうだねジェリー。取り敢えずは、といった所かな。
本当にここまで来るのに時間が掛かったよ。ようやくスタートラインに立とうとしてる」

男性はコーヒーの入ったカップを取り、口に運ぶ。
そして話を続ける。

「リアルマネートレードが、実際は人々の興味を引く為だけの手段でしか無いなんて…誰が思うだろうね」

「そうね、でも話題性は抜群だったわ。反響が大きすぎて協力会社からは嬉しい悲鳴だらけよ。うちの株価も右肩上がりで上層部も嬉しそうだわ」

ジェリーと呼ばれた女性は笑いながら会話を続ける。

「トム。RDO…いや現実世界は、どうなっていくのかしら…不安だわ」
「ジェリー…。プレイヤー達を信じるしかない」

トムはジェリーの肩に手を置き、会話を続ける。

「RDOが始まった時点で、賽は投げられた。この先の未来を切り開けるかどうかはプレイヤー達次第だ。後私たちにできるのは、細々とした支援だけだ」
「…そうね。二人で出来る限りのことをしましょう」

ジェリーはとても不安そうに、トムは決意したような眼差しで…RDOの世界が映された画面を見つめる。

「「人類の未来に、光あらんことを…」」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)

あおっち
SF
  脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。  その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。  その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。  そして紛争の火種は地球へ。  その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。  近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。  第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。  ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。  第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。  ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

ユニーク職業最弱だと思われてたテイマーが最強だったと知れ渡ってしまったので、多くの人に注目&推しにされるのなぜ?

水まんじゅう
SF
懸賞で、たまたま当たったゲーム「君と紡ぐ世界」でユニーク職業を引き当ててしまった、和泉吉江。 そしてゲームをプイイし、決まった職業がユニーク職業最弱のテイマーという職業だ。ユニーク最弱と罵られながらも、仲間とテイムした魔物たちと強くなっていき罵ったやつらを見返していく物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio 通称、【GKM】 これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。 世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。 その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。 この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。 その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...