VRMMOを始めただけなのに、何故世界の危機に巻き込まれたのだろうか?

飛楽ゆらる

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1.スタダ

3.実戦

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暗転後、周囲の景色が一変した。
どうやら移動が完了したようだ。

周囲を見渡すと森の中にある開けた場所のようだ。
その開けた先には少し離れた位置に大きな建物が見える。
建物は…少し昔にみられた木造の学校だろうか。

またオレの近くにはスーツ姿のNPCノンプレイヤーキャラクターと既にログインしたであろうプレイヤーの姿が数人見られる。

(オレも急いだんだけど、上には上が居るか)

そんな事を思いながら、スーツを着た若いNPCへと話し掛ける。
何故NPCか分かったかというと、その人物の頭上に(NPC)ロイと表示されていた。ロイというのは普通に考えて名前だろう。

「こんにちわ」
「やあ、こんにちわ。私はプレイヤーの案内をしているロイという。ようこそRDOの世界へ」

ロイと名乗ったNPCはオレの挨拶に対して、流暢な日本語で返事を返してきた。
吹き替えにしては違和感がなさ過ぎる…?ここでもRDOの謎技術を感じてしまった。
それとプレイヤーはそのままプレイヤーと呼ばれるらしい。ゲームによっては雰囲気作りに呼び方を変える所もあるけど、どうやらRDOは拘らないようだ。

「プレイヤーの上野 樹です。」
「上野 樹君だね。それじゃあまずは私が基本的なシステムについて説明するよ。」

ロイさんはそういうと、システムについて教えてくれた。
とは言ってもステータスや職業、スキルの使用方法等の極々ありふれたもの。
敵を倒すとレベルが上がるよ!とかね。
オレは説明を聞き流しながら、ただ本当の人とはなしているようだ、と感心していた。

「…これで私からの説明は以上だ。分からなかった所はあるかな?」
ロイさんの説明は終わったようだ。
オレは単純な好奇心で、別な質問をしてみることにした。

「質問については大丈夫です。それと…聞きたいんですがロイさんはおいくつですか?」
「私は30歳だよ。こう見えて2歳の娘がいるんだ」
「もっと若いかと思ってました。娘さん3歳なら、可愛い頃でしょうね。」
「何にでも興味を持って動くから、親としてはハラハラしっぱなしだよ」
ロイさんは笑いながら雑談に付き合ってくれた。
まるでNPCには本当に経験して来た人生があるようだ。

最後に実戦訓練をしてもらうので建物に向かうように言われた。
ロイさんに別れの挨拶を済まし、建物に向かって歩き始める。

周囲の景色を眺めると、木々の葉の間から差し込む太陽の光が見える。
そして心地よい暖かさの風が優しく通り抜けていく。
その風に揺らされ、木々がかさかさと音を立てる。
オレは自然を楽しみながら歩き、到着すると建物の木造扉を開けた。

扉を開けた先には、軽装の鎧を着た無愛想な顔をしたNPC。
今度は最低限の会話で済ます。
奥の部屋のスライムを倒して来い、とのことで初心者ポーションを貰う。

---
RDOのイベントリ仕様について。
イベントリとはマジックボックスのようなもので、腰につけているポーチだ。
種類は何種類でも入るが、重量制限が存在する。
重量制限を超えてしまうと行動の速度の低下や自然回復力のデメリットが発生する。
---

オレが奥の部屋へと移動すると…また森の中か。
サーバーオープンしたばかりなので、プレイヤーの数は多くない。
また、マップを見渡すと多くのスライムがいるのが分かる。
青い丸い体に丸い目が二つで、口は無い。
ドラ○エよりは、ぷよ○よかな。
頭上に表示されている名前はスライム(訓練)となっている。
また近づいても攻撃してくる事はなかった。

オレはスライムをナックルで殴る。
スライムは衝撃で吹き飛ぶ事はなく、その場に踏み止まる。
手の感触としては硬いゼリー。
中々良い攻撃をしたはずだが、一撃で倒すのは無理なようだ。
その後2発殴ったらスライムが粉々になり、光の粒子となり消えていった。
さて、次はスライムの攻撃を回避してみる。
スライムは体を潰れさせ、その反動で体当たりを仕掛けてくる。
ただその動きで3秒程の時間が掛かっており、その間に2歩横にずれるだけで攻撃が当たらない。
この程度なら普通の人であれば、問題無く回避出来るのではなかろうか。流石訓練用。

オレがそのままスライム狩りを続けていると、5匹のスライムを倒したところでレベルアップを知らせるファンファーレが頭に鳴り響いた。
これでレベルが2となり、ステータスも増加。
そのおかげでスライムも二発の攻撃で倒せるようになっていた。
その後もオレはあまりにも戦いが楽しくて、スライム(訓練)を乱獲していった。

(やり過ぎた…)

次第にプレイヤーが増えてきた頃、我に返り実戦訓練のクエスト報告をした。
訓練自体は5匹で良かったみたいだが、100匹程倒していたようだ。
尚オレのレベルは6まで上がっており、素材ドロップも30個程入手していた。
報告の時にクエストNPCが苦笑いしていたようだったが、気のせいだろうか。

報告完了後に建物内の別部屋に案内されると、そこには大きな魔法陣。
どうやら転送装置らしい。
チュートリアルの最後は、世界マップの説明と最初の拠点となる国の選択だ。
プレイヤーを分散する為に6つの国から最初の拠点を選ぶようになっており、以下の国がある。


人の国
“神国プロテア”
神々を信仰する教会が大きな権力を持つ国。人口多い。
“王国ヴァルディール” 
王政で貴族もいる。人口多い。
“魔法国ストームマギア” 
魔法学園が多数存在している魔法国。人口多い。

亜人多め
“小国連合リア” 
小さな国が集まり出来た国。人口普通。
“軍事国デルタ” 
将軍が一番権力を持つ国。実力主義。人口普通。
“東国ヤマト” 
東の地にある国。技術力は高い。人口小。 

ただし各国の首都への移動は自由で、本当に最初だけの選択のようだ。
少なくとも受けれるクエストに差が出る事はないようだ。

ナックルを扱う職業が有るか聞いた所、神国プロテアにある教会騎士団に、ナックルを扱う職であるモンクの職業ギルドがあるそう。

(他に選択肢は無いな)

「プロテアへ転送をお願いします」

オレは全身が光に包まれ転送されていった。
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