VRMMOを始めただけなのに、何故世界の危機に巻き込まれたのだろうか？

1.スタダ

2.キャラクリ

「ゲームスタート」

　オレはサーバーオープンと同時にVRヘッドギアを起動。
　起動が完了すると同時に、意識がゲーム内に引っ張られる感覚を覚え、そして次の瞬間には視界は既にゲームのログイン画面に切り替わっていた。

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　VRヘッドギアについて。
　VRヘッドギア内に脳の信号を読み取る機能がついており、現実のように体を動かすだけで、タイムラグなくキャラクターの行動に変換します。
　現実の動作と支障が出ないよう細かな調整機能がついており、指一本まで細かな動作も違和感無く行なう事が可能です。進化したRDOのVRシステムを是非お楽しみください。

取説より引用。

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　オレがログインIDとパスワードを思い浮かべると、自動で入力されていきログイン完了となる。
　再度視界が切り替わり、次にオープニングムービーが始まる。

　“神々が作った世界が……もうすぐ世界の終焉を告げる……”

（スキップ）

　オレはオープニングムービーをスキップした。1秒でも速くゲームする為に動画で予習済み。

　次！

　次はMMOでは定番となっているキャラクリ （キャラクタークリエイト）の画面へと移った。
　これはプレイヤーが操作するキャラクターの名前・容姿・ステータス傾向を決める所だ。

　MMOはキャラクリで全てが決まってしまうと言っても過言ではない。
　キャラクターの容姿は、プレイヤーのモチベーションに大きく影響してくるしとても大事。
　このゲームではすることが出来ないが、モチベーションアップのために男で女の子キャラを使うのなんてよくある話。
　俗に言うネカマ。…そういえば昔ネカマにみつ……いや、無かった事にしよう。

　次にステータスの成長傾向。
　これは職業によって重要なステータスや不要なステータスが存在し、もしも職業に合わないステータスが多くなってしまった場合は、職業の理想的なステータスを持つプレイヤーとの強さに大きな差が出てしまう。
　物理攻撃職が魔法に影響の与える知能を上げても、多くのゲームでは無駄になってしまうのでその分ステータスを無駄にしてしまう。ネタプレイでも無ければよく考えて決めるべきだ。
　RDOはRMリアルマネーが関わってるから、ネタステータスに走らず理想的なステータスにするプレイヤーが多いんじゃないかな。

　一般的なMMOの話をしてしまったけれど、実はRDOでは名前や容姿がほぼ決まっている。
　というのもRMリアルマネー交換があるせいか、名前は本名のみ。
　キャラクターの容姿も実際の姿をベースにしており、変更可能な箇所は身長を5cm伸ばす、縮める。太っているなら少し細身にする、逆に太らせる。
　髪型を変更する、髪の色を変える等しか変更する事が出来ない。これは現実とVRの差異で、VR酔いする人が多いからだそうだ。

　そしてプレイするキャラクターとリアルの姿と名前が一致している事は、RDO内の悪評がそのまま現実世界へ影響してくる可能性がある。
　そんな状況で悪さをするプレイヤーは少ないんじゃ無いかな？もちろんゼロになる事はないと思うが。

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　さて、キャラクター設定をしよう。

　プレイヤー名は変更不可の為、上野　樹。
　身長、体重は現実と変えない。これはリアルとVRゲームの身長差による動きのズレ防止のため。
　リアルで格闘技をしていたオレは、自分の射程や動きも何となくだが理解している。そこにズレが発生した場合、咄嗟の事態にミスになりかねないので変更しない事にした。

　髪型は前髪が目に掛からない程度の長さ、髪色は黒に近い茶髪。

（あれ？…現実世界と髪型まで全く同じだからか、ゲームキャラって感じがしない。…まるで自分の顔を鏡でみてるみたいだ）

　…もしオレの顔が、もう少し目が大きくて、鼻筋が通っていれば…ってそんな事を考えている場合じゃなかった。
　補足すると、居ない暦＝年齢の地味メン。
　顔は中の下で致命的では無いと信じている。

（さ、さあ…キャラクターの容姿を決めたあとはステータス傾向の設定だ）


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　RDOには6つのステータスがある。

STR（力）　・・・主に近接武器による攻撃の攻撃力
VIT（耐久力）　・・・防御力や最大HP
AGI（速さ）　・・・攻撃速度や回避率への影響。
DEX（器用さ）　・・・武器による命中補正。遠距離武器の攻撃力へ影響。魔法の詠唱速度に影響。
INT（知力）　・・・魔法の効果や最大MPへ影響。MP回復速度へ影響。
LUK（運）　・・・クリティカル率やラッキーガードへ影響。状態異常全般に耐性（微）。

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　その中でステータスの成長傾向を決める。
　どうやら1が上昇しにくく、5が一番成長しやすいとの事。初期は全て1で、その上で12ポイントを振り分ける。
　オレはこのような成長傾向にする事にした。

STR　5　VIT2　AGI　5　DEX3　INT2　LUK1

　もちろんVRMMOという特性上、ステータスが全てではない。
　PCでプレイするMMOとは違ってVR MMOは自由度がある。その分プレイヤーの動きによる影響は大きくなっている。
クリティカル率が低くても、敵の弱点を突けばクリティカルとなり大ダメージを与える事が出来る。
ステータスはクリティカルの範囲を広げてくれたり、命中の際に補正を掛けてくれたり
補助的なものとなっているそうだ。

もっとも攻撃力や防御力はプレイヤースキルだけでは覆りようが無い部分があるそう。
攻撃力が低く相手の防御力を下回っていれば、0ダメージ。それではクリティカルを出そうが、0ダメージは0ダメージで変わりようが無い。

オレはリアルでの経験を生かす方向で、ステータス傾向を決めた。
高STRと高AGIでの回避型高速アタッカータイプ。
前衛にしてはVITが低いが、それは敵の攻撃に当たらなければいいのだよ。ワトソン君。

最後に初期武器を選択する。
オレは数多い武器種の中から、一番慣れているであろう打撃武器のナックルを選んだ。

よし、これでキャラクリは完了だ。

再確認を終えると頭にゲーム内音声が聞こえてくる。
神々を止めてください・・・意味深だがスキップ。

これでやっとゲーム開始だろうか。
期待に胸が躍る。
漲ってきた！

…それにしても、いつの間にここまでVR技術が進歩したんだ？
この間出たVR格ゲーは、3Dの荒さに加えて動きのタイムラグで違和感だらけだったのに。
RDOでは違和感全く無いぞ？
オレは疑問に思いながら、次のマップへ転送されていった。

（ピピッ…ピー…）

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こうしてただの1プレイヤー上野　樹はRDOを始めた。
トッププレイヤーになる為、出来ればお金を稼ぐ為。
最初はそんな簡単な気持ちだった。
今後自分の人生や、自分を取り巻く環境がどう変わるかも知るよしもなく。

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上野　樹　（かみの　いつき）

Lv.1

ステータス/
STR - 5
VIT - 2
AGI - 5
DEX - 3
INT - 2
LUK - 1

スキル/
なし

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