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1.無能の少年と古い箱
孤児院 2
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——マキナさんが言うには。孤児院周辺を縄張りとしている、栗生組というヤクザたちが、最近突然因縁をつけ始て、退去するように嫌がらせをしてくるのだそうだ。
栗生組の要望は、今すぐここを立ち退くか、毎年1000万円の金を支払う事。だが孤児院にそんな大金がある筈がなく、子供達がいる為に立ち退くわけにもいかない。
マキナさんは最後の望みをかけ、ラリンス教会に助けを求めたが——数週間経過してもラリンス教会からは何も返事が得られなかったそうだ。
「栗生組は、毎日来るんですか?」
「……毎日同じような時間に嫌がらせに来るわ。もうそろそろ来る時間だと思う」
「なら、少し僕が話してみましょう。マキナさんは中に入って絶対に外に出ないで下さい」
マキナさんを孤児院の中に入れた後、僕は門に寄りかかりながら栗生組がやってくるのを待つ。
暫くすると——。
「あ?何だテメェは?」
現れたのは、三人のチンピラ風の男。
「あの、少しお話しがしたいんですが……」
「うるせぇ、ガキが。話す事なんてねぇ。殴られたくなかったらきえろ!」
「少しだけですから。お願いします」
——その時。
「……ん?お前、無能じゃねぇか?」
声のした方を見ると、そこには僕と同じような年齢の男。
「間違いねぇ!やっぱ無能じゃねぇか!!」
「お前は……タツノリか」
僕がタツノリと呼んだチンピラは、僕と同じ孤児院の出身者で、僕を虐げてきた中心人物だ。
それが何故こうして、栗生組の構成員として嫌がらせに来ている?
「おい無能。行くとこが無くてここに戻って来たのか?だが残念だったなここは栗生組が——」
タツノリは僕に近づいて来ようと一歩近づく。
それを、僕は手で制止する。
「待て。それ以上近づくな」
タツノリは僕の言葉なんて全く気に留めず、更に近づこようとした。その瞬間——僕はマジックバッグから聖剣を取り出し、タツノリの首元に突きつける。
「なっ——!?」
「動くな」
三人のチンピラの動きがピタリと止まる、が。
タツノリは僕の手にある聖剣を見てすぐに口を開く。
「——って何だよオイ。プッ!なんだこの錆びた剣!!昔からDHになりたいなりたい言ってたが、コイツ拗らせて錆びた剣なんかで真似事始めやがった!!馬鹿じゃねぇの!!」
次の瞬間、チンピラ達が腹を抱えて笑い始める。
——僕は直昔の恨みもあった事で頭に血が上ってしまった。
聖剣を瞬時に持ち替え、柄の部分をタツノリの鳩尾へと打ち込む。
「カハッ……!」
タツノリは息が止まり、その場に膝から崩れ落ちる。
「おい、コイツやりやがったぞ!!俺たちは栗生組だ!てめぇ、タダで済むと——!」
残る2人が僕に掴みかかろうとする——が。
僕は1人の腹を上段蹴りで蹴り飛ばし、もう1人の首スレスレに剣の刃を突きつけた。
「——錆びてるが、一応切れるぞ?試すか?」
「ひ、ひぃ……!!」
剣を突きつけられたチンピラは、状況に気付くと顔が青ざめていった。
「タツノリを連れてすぐに帰れ。そして、もうここに来るんじゃねぇ。次は容赦なく切るぞ?」
チンピラがコクコクと頷くと、僕は剣を下ろす。
それを合図に、タツノリと、蹴り飛ばしたチンピラが立ち上がり、三人ともフラフラとした足取りで去っていく。
そして、その姿は道の角を曲がって、すぐに見えなくなった。
姿が見えなくなった事を確認した僕は……その場にヘナヘナと座り込む。
「こ、怖かった。けど……やれた」
僕は無能でも、その辺のチンピラよりは強くなった。
僕はもう、虐められるだけじゃ無い。
その事を実感するように、僕は右手を上に上げてグッと握りしめる、
——それが、ただ舞い上がっていただけとは気付かずに。
栗生組の要望は、今すぐここを立ち退くか、毎年1000万円の金を支払う事。だが孤児院にそんな大金がある筈がなく、子供達がいる為に立ち退くわけにもいかない。
マキナさんは最後の望みをかけ、ラリンス教会に助けを求めたが——数週間経過してもラリンス教会からは何も返事が得られなかったそうだ。
「栗生組は、毎日来るんですか?」
「……毎日同じような時間に嫌がらせに来るわ。もうそろそろ来る時間だと思う」
「なら、少し僕が話してみましょう。マキナさんは中に入って絶対に外に出ないで下さい」
マキナさんを孤児院の中に入れた後、僕は門に寄りかかりながら栗生組がやってくるのを待つ。
暫くすると——。
「あ?何だテメェは?」
現れたのは、三人のチンピラ風の男。
「あの、少しお話しがしたいんですが……」
「うるせぇ、ガキが。話す事なんてねぇ。殴られたくなかったらきえろ!」
「少しだけですから。お願いします」
——その時。
「……ん?お前、無能じゃねぇか?」
声のした方を見ると、そこには僕と同じような年齢の男。
「間違いねぇ!やっぱ無能じゃねぇか!!」
「お前は……タツノリか」
僕がタツノリと呼んだチンピラは、僕と同じ孤児院の出身者で、僕を虐げてきた中心人物だ。
それが何故こうして、栗生組の構成員として嫌がらせに来ている?
「おい無能。行くとこが無くてここに戻って来たのか?だが残念だったなここは栗生組が——」
タツノリは僕に近づいて来ようと一歩近づく。
それを、僕は手で制止する。
「待て。それ以上近づくな」
タツノリは僕の言葉なんて全く気に留めず、更に近づこようとした。その瞬間——僕はマジックバッグから聖剣を取り出し、タツノリの首元に突きつける。
「なっ——!?」
「動くな」
三人のチンピラの動きがピタリと止まる、が。
タツノリは僕の手にある聖剣を見てすぐに口を開く。
「——って何だよオイ。プッ!なんだこの錆びた剣!!昔からDHになりたいなりたい言ってたが、コイツ拗らせて錆びた剣なんかで真似事始めやがった!!馬鹿じゃねぇの!!」
次の瞬間、チンピラ達が腹を抱えて笑い始める。
——僕は直昔の恨みもあった事で頭に血が上ってしまった。
聖剣を瞬時に持ち替え、柄の部分をタツノリの鳩尾へと打ち込む。
「カハッ……!」
タツノリは息が止まり、その場に膝から崩れ落ちる。
「おい、コイツやりやがったぞ!!俺たちは栗生組だ!てめぇ、タダで済むと——!」
残る2人が僕に掴みかかろうとする——が。
僕は1人の腹を上段蹴りで蹴り飛ばし、もう1人の首スレスレに剣の刃を突きつけた。
「——錆びてるが、一応切れるぞ?試すか?」
「ひ、ひぃ……!!」
剣を突きつけられたチンピラは、状況に気付くと顔が青ざめていった。
「タツノリを連れてすぐに帰れ。そして、もうここに来るんじゃねぇ。次は容赦なく切るぞ?」
チンピラがコクコクと頷くと、僕は剣を下ろす。
それを合図に、タツノリと、蹴り飛ばしたチンピラが立ち上がり、三人ともフラフラとした足取りで去っていく。
そして、その姿は道の角を曲がって、すぐに見えなくなった。
姿が見えなくなった事を確認した僕は……その場にヘナヘナと座り込む。
「こ、怖かった。けど……やれた」
僕は無能でも、その辺のチンピラよりは強くなった。
僕はもう、虐められるだけじゃ無い。
その事を実感するように、僕は右手を上に上げてグッと握りしめる、
——それが、ただ舞い上がっていただけとは気付かずに。
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