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1.無能の少年と古い箱
ガチャ日和
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今、僕の目の前にあるカウンターに並べられているのは、最下級3個、下級5個、中級2個の計10個の古い箱。
——僕は、今からガチャを引こうと思う。
ーーーーーー
——遡る事一週間前。
「ああ、そうだ。スライムゼリーの件でかなりの金が稼げたから、ムノにもボーナスをやろうと思う」
「ボーナスですか?」
僕は既に借金が無くなっていて、適度なダンジョン生活を心掛けていた。そんな、早寝早起きダンジョン生活を送っていた僕に、グンセさんがボーナスを支給してくれるそうだ。
「おう。何か欲しいものがありゃ買ってやるよ。けど、流石に高すぎるもんは無理だぜ?」
「欲しいものですか。うーん…」
僕が顎に手を当てて考えていると、妙案が思い付く。
「どうだ?」
「それなら……ガチャがしたいです」
「は?ガチャ?古い箱って事か?」
「そうです。あ、等級は最下級でも何でも良いんで、10個位買って下さい。それがボーナスで良いですか?」
「それなら構わねえが……最下級なんてゴミしか出ねぇぞ?」
「それは分かってますよ。少し試したい事が有るんです——」
ーーーーーー
——そうしてボーナスとして支給された物が、この10個の古い箱だ。
最下級の古い箱1個で、運良くユニークレアを引き当てた僕だが、果たしてそれは一回きりの豪運だったのか?
それとも、素材のドロップ率のように、僕の運の高さが反映されて出たものなのか?
——それを、今から検証しようと思う。
「なあ。この一週間ずっと考えてたんだが、一つ聞かせてくれ」
古い箱を前に腕組みをしている僕に、グンセさんが尋ねてくる。
「何ですか?」
「もしかして、お前のユニークレアの聖剣ってよ……」
「ああ、古い箱から出ましたよ」
「やっぱそうか。た、確かに古い箱に伝説級が有るって噂は聞いたことが有る。ん?でもよ…金がねぇテメェが、どうやって伝説級の古い箱なんて手に入れたんだ?」
「最下級から出ました」
「はっ?ちゃんと聞こえなかった。もう一度言ってくれ」
「最下級の古い箱から出たんですよ」
「……マジかよ」
「もう一つ言うと、聖剣が出たのは神級の箱です。それも最下級から始まって、どんどんレア等級が上がっていったんですよ」
「はぁ!?神級だあ!?そんなもんが存在する事自体初めて聞いたぞ!?いくら何でも常識を覆しすぎだろ!!」
「いや、僕も神級なんて知らなかったですって……」
「確かに箱から一つ上の等級が出るってのは、既に検証されて実績が有る!けどな!」
「けど?」
「上の等級の箱が出る確率は、1%辺りだろうって話だ。で、それを最下級から神級まで、何回も引き続けたんだろ?そんなの、確率を計算するだけで嫌になるわ!」
最下級、下級、中級、上級、伝説級、神級で6段階か。
——確かに、計算するのも面倒臭い程の確率だ。
「まあ、単にまぐれだったのかも」
僕は笑いながらグンセさんに返す。
「まぐれでそれだけ引けるわけがねぇだろうがああああ!!!ピンポイントにここへ隕石が落ちる方がまだ確率たけぇよ!!絶対にテメェの運のせいだよ!!」
グンセさんは息継ぎもなしに叫んだせいで、息が荒くなっている。
「ま、まあグンセさん落ち着いて。今回はそれを検証しようって事で、箱を準備してもらったんですよ」
「はぁ…はぁ…テメェが現れてから驚きっぱなしだ。次の健康診断、絶対に血圧引っかかるぜ……」
「お、お大事に……」
「…テメェのせいだよ」
グンセさんのドスの効いた声に、僕はちょっとビビってしまう。
ここは話題を変えよう!
「よ、よーし!僕、古い箱開けちゃおっかなーっ!!」
と言うことで、最下級から順に箱を開けていくことに。
古い箱(下級)を入手しました。 ×3
チラッ
グンセさんの様子を見ると、無表情で…何も言わずに腕組みをしている。
次は8個の下級。
古い箱(中級)を入手しました。 ×8
これで中級が10個。
うん。グンセさんの眉がピクピクしているのが分かる。
——次だ。
古い箱(上級)を入手しました。 ×10
グンセさんが肩を落とし、椅子に崩れるように座って、ため息をつき始めた。
——つ、次!
古い箱(伝説級)を入手しました。 ×6
ミスリルソード(SR)を入手しました。
ミスリルヘルム(SR)を入手しました。
奈落のマント(LR)を入手しました。
隠蔽の指輪(LR)を入手しました。
あ、装備が出た!
「…!ほらグンセさん!ちゃんとアイテムが出ましたよ!」
「馬鹿野郎!!上級10個の時点で、既に異常過ぎだろうが!!それに上級でレジェンドレア装備引いてるのも、普通じゃあり得ねえ位の豪運だっての!!そもそも何で全部装備なんだよ!!テメェのガチャだけ他の奴と前提がちげぇよ!!」
「ええ……」
「はぁ。…もう何が出ようが驚かねぇから、さっさと開けちまえ…」
——残るは伝説級が6個。結果は果たして?
——僕は、今からガチャを引こうと思う。
ーーーーーー
——遡る事一週間前。
「ああ、そうだ。スライムゼリーの件でかなりの金が稼げたから、ムノにもボーナスをやろうと思う」
「ボーナスですか?」
僕は既に借金が無くなっていて、適度なダンジョン生活を心掛けていた。そんな、早寝早起きダンジョン生活を送っていた僕に、グンセさんがボーナスを支給してくれるそうだ。
「おう。何か欲しいものがありゃ買ってやるよ。けど、流石に高すぎるもんは無理だぜ?」
「欲しいものですか。うーん…」
僕が顎に手を当てて考えていると、妙案が思い付く。
「どうだ?」
「それなら……ガチャがしたいです」
「は?ガチャ?古い箱って事か?」
「そうです。あ、等級は最下級でも何でも良いんで、10個位買って下さい。それがボーナスで良いですか?」
「それなら構わねえが……最下級なんてゴミしか出ねぇぞ?」
「それは分かってますよ。少し試したい事が有るんです——」
ーーーーーー
——そうしてボーナスとして支給された物が、この10個の古い箱だ。
最下級の古い箱1個で、運良くユニークレアを引き当てた僕だが、果たしてそれは一回きりの豪運だったのか?
それとも、素材のドロップ率のように、僕の運の高さが反映されて出たものなのか?
——それを、今から検証しようと思う。
「なあ。この一週間ずっと考えてたんだが、一つ聞かせてくれ」
古い箱を前に腕組みをしている僕に、グンセさんが尋ねてくる。
「何ですか?」
「もしかして、お前のユニークレアの聖剣ってよ……」
「ああ、古い箱から出ましたよ」
「やっぱそうか。た、確かに古い箱に伝説級が有るって噂は聞いたことが有る。ん?でもよ…金がねぇテメェが、どうやって伝説級の古い箱なんて手に入れたんだ?」
「最下級から出ました」
「はっ?ちゃんと聞こえなかった。もう一度言ってくれ」
「最下級の古い箱から出たんですよ」
「……マジかよ」
「もう一つ言うと、聖剣が出たのは神級の箱です。それも最下級から始まって、どんどんレア等級が上がっていったんですよ」
「はぁ!?神級だあ!?そんなもんが存在する事自体初めて聞いたぞ!?いくら何でも常識を覆しすぎだろ!!」
「いや、僕も神級なんて知らなかったですって……」
「確かに箱から一つ上の等級が出るってのは、既に検証されて実績が有る!けどな!」
「けど?」
「上の等級の箱が出る確率は、1%辺りだろうって話だ。で、それを最下級から神級まで、何回も引き続けたんだろ?そんなの、確率を計算するだけで嫌になるわ!」
最下級、下級、中級、上級、伝説級、神級で6段階か。
——確かに、計算するのも面倒臭い程の確率だ。
「まあ、単にまぐれだったのかも」
僕は笑いながらグンセさんに返す。
「まぐれでそれだけ引けるわけがねぇだろうがああああ!!!ピンポイントにここへ隕石が落ちる方がまだ確率たけぇよ!!絶対にテメェの運のせいだよ!!」
グンセさんは息継ぎもなしに叫んだせいで、息が荒くなっている。
「ま、まあグンセさん落ち着いて。今回はそれを検証しようって事で、箱を準備してもらったんですよ」
「はぁ…はぁ…テメェが現れてから驚きっぱなしだ。次の健康診断、絶対に血圧引っかかるぜ……」
「お、お大事に……」
「…テメェのせいだよ」
グンセさんのドスの効いた声に、僕はちょっとビビってしまう。
ここは話題を変えよう!
「よ、よーし!僕、古い箱開けちゃおっかなーっ!!」
と言うことで、最下級から順に箱を開けていくことに。
古い箱(下級)を入手しました。 ×3
チラッ
グンセさんの様子を見ると、無表情で…何も言わずに腕組みをしている。
次は8個の下級。
古い箱(中級)を入手しました。 ×8
これで中級が10個。
うん。グンセさんの眉がピクピクしているのが分かる。
——次だ。
古い箱(上級)を入手しました。 ×10
グンセさんが肩を落とし、椅子に崩れるように座って、ため息をつき始めた。
——つ、次!
古い箱(伝説級)を入手しました。 ×6
ミスリルソード(SR)を入手しました。
ミスリルヘルム(SR)を入手しました。
奈落のマント(LR)を入手しました。
隠蔽の指輪(LR)を入手しました。
あ、装備が出た!
「…!ほらグンセさん!ちゃんとアイテムが出ましたよ!」
「馬鹿野郎!!上級10個の時点で、既に異常過ぎだろうが!!それに上級でレジェンドレア装備引いてるのも、普通じゃあり得ねえ位の豪運だっての!!そもそも何で全部装備なんだよ!!テメェのガチャだけ他の奴と前提がちげぇよ!!」
「ええ……」
「はぁ。…もう何が出ようが驚かねぇから、さっさと開けちまえ…」
——残るは伝説級が6個。結果は果たして?
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