正しい魔眼の使い方

 半世紀前。
 富士山が大噴火した。
 でも出てきたのは噴煙や溶岩じゃなくて、七色の鮮やかな雲。
 そして雲は日本中を覆い隠してから消えた。
 後に残ったのは、日本各地に出来た、フランスの凱旋門のような大きな門。
 そこからは、妖精や精霊やドラゴンなんかが出てきて、異世界と日本は国交を結んだ。
 翌年のある日から、産まれて来た子供たちに異変が起こる。
 数人に一人は紅い目と左手の甲に、羊の頭のような黒いアザがあった。
 妖精や精霊たちは言う。
「16歳の誕生日までに僕たちと契約しないと、アザのある子は消滅してしまうよ?
 そして悪魔に魂を狩られてしまうよ?」、と。
 こうしてアザのある子供たちの集団、フレイムスと、アザのない子供たちの集団、ラハミーム。
 二つの集団の、共同作業による契約合戦が始まる。
 目的は一つ、妖精や精霊と契約してフレイムスは魔導師に。
 ラハミームは補佐役の魔術士にまること。
 フレイムスとラハミームは相棒の契約を結ぶ。
 それは、フレイムスが魔導師になれなければ、同時に消滅する、死の契約
 ある日、フレイムスの落ちこぼれの少女、溶目雫(うてめしずく)は妖精王エンバーと出会う。
 エンバーは雫と相棒のラハミーム、塩飽弓羽(しわくゆう)にある提案をした。
「僕と契約しないかい?
 そうすれば、君たちは伝説の精霊使いになれるよ、と」
 契約の条件はたった一つだけ。雫がエンバーに触れること。
 雫と弓羽、15歳の春。
 死のタイムリミットまで、あと2年を切ったある日の出来事だったーー
 
 
 
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