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第一部 クローディアと氷の精霊王
王子妃は執着を諦めない
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お見事、旦那様。
うん、満足、満足。
良い感じに泣きそうだわ、あの子。
ねえ、アンナ?
誰かのものを横取りしたらどうなるか、思い知ったでしょ?
ふふふ、これで少しは懲りて欲しいもんだわ。
クローディアは、精霊王の視線に満足ですよ、旦那様。
そう、円満の笑みを浮かべて見せた。
彼はこの程度など容易いものだ。そんな得意気な顔を一瞬し、威厳のある顔つきにもどってしまう。
その悪戯好きそう横顔が、クローディアは大好きになりかけていた。
いつまでも見ていたい。
そう気づかされて、これは大人同士の恋愛を抜いた結婚だったはずなのに、と自身の新しい気持ちを知り、意外な発見に自分でも驚いていた。
「うーん‥‥‥イケメン過ぎるのも困りものね。
他の女にとられそうで怖い。
それにアンナの諦めはきちんとついたのかしら?」
そう、独り言を言いながラクローディアはまずは王子の両手足を精霊王がどうする気なのかが、気になるところだと考えていた。このまま放置すれば彼は両手足を失うだろうし、そうなると聖女がいない王国の周囲にある結界の管理を任されることになる自分の仕事も、百年かそこらはめんどくさいことになるのは、目に見えて明らかだ。旦那様、どうなさるおつもりなのかしら?
ここはまだ、精霊王の采配が必要な場だということをクローディアは、理解し黙っておくことにした。
そんな彼女の目の前で妹夫婦の妙な口喧嘩はいったんは収まったものの、アンナの底知れない欲望の視線が精霊王に釘付けのままだ。
マクシミリアンは仮にも自分の妻が、夫にこんな仕打ちを強いている相手に対して揺るがない熱い好意? いやアンナだけの輝かしい未来を見ていることが気に食わない。
まあ、それでもマクシミリアンはまだ、冷静になれる方だったんだろう。
アンナに比べれば、の話だが。
彼はこの場で離縁などすれば、自分が単なるばかだということをさらけ出すことになると思っていたらしい。残念ながら周囲はそんなことは既知であり、彼がそう言いだしても今更おどろくことはなかった。また、再度の失笑が起こるだけだっただろう。
この辺り、マクシミリアンはまだ人心掌握等を知らない箱入り王子なだけはあって、単なる子供よりもタチが悪かった。
「アンナ、しばらく黙っているがいい。
夫として発言を禁じるぞ」
そう言い、マクシミリアンは精霊王に向き直る。
「我が妻の情けない数々の失言をどうか、お許しください。
それと精霊王様」
「うん?
なにかな、王子よ?
そんな謝罪が欲しいわけではないのだがな?」
「そうは言われましても、即時に何もかもを改めることは難しいものです。
それに精霊王様。
この手足にしてもそう、あの神官長にしてもそう。
神の怒りではあるでしょうが、それを代理人である聖女抜きで行われ、いまこの場に降臨されること事態‥‥‥既に人と神の世界の壁を越えております。
人の世のことは人の世の中で治めたいと思いますので――」
うん?
こいつはまだ何か言い足らないどころか、王子妃と同類らしい。
精霊王はつまらない話につきあう気はないと、国王の方を向き、誰がこの場での最高位であるかを確認するような顔つきをした。王はそれだけで精霊王の意図を悟ったらしい。
無言でうなづいて返した。
それを見た精霊王の視線が王子に戻ることもなく、クローディアに帰るぞ。
そんな素振りをして見せると王子の手足を縛りつけていた氷は跡形もなく消えてしまっていた。
あの神官長、化けタヌキとクローディアに揶揄されていた彼の氷もまた、同様だった。
「衛兵。
その者を下がらせよ。
後から大神官からの沙汰を待つがいい。神官長」
そう言われ、事態がさっぱりと把握できないままに化けタヌキは室内より衛兵の手によって放逐された。
王は王子に向き直ると、
「王子よ。
その手足はどうなのだ?」
そう、一応の心配のあったのだろう。
国王半分、父親半分という顔で尋ねていた。
「ちっ、父上。
いまはわたしが預かる場では!?
まだ話が――」
「王が尋ねておるのだ!
答えぬか、王子!!」
マクシミリアンは滅多に言葉を荒げる事がない父親に、強く迫られて顔を真っ青な顔にしていた。おずおずと申しわけなさげに、
「はっ‥‥‥。
大丈夫。で‥‥‥ございます、痛みもなく。
この通り、常日頃の感覚と何も変わりません‥‥‥」
そう、答えていた。
続いて国王は王子妃にも同様の質問をしていた。
アンナは問題ありませんと答えつつも、まだ視線は上空の精霊王に向いたままだった。
それを王子と国王の二人は親子でやるせない顔をして見ている。
こんな嫁など受け入れるのではなかった。
国王は心でそう嘆いていた。
「では、王子よ。
お前の王子としての身分を下げることにしよう」
「なんですと!?
それは、まさか――」
そうだ。
国王は静かにうなづく。
王族ではあるが‥‥‥王位継承権を持つことを許さないという、暗黙の明示だった。
「そんな父上‥‥‥あんまりではないですか!?」
「父ではない、国王様と呼べ。
お前はいま、この王国の最高位にある存在と話をしているのだ。
頭を垂れ、その身分にふさわしい礼を取るがいい。
お前がその足らない見識で判断した愚行を恥じるいい。
わしはそなたや聖女様の実家である公爵家からは、聖女様の御意思により辞退されたと聞いていたぞ。
それが蓋を開けてみれば、お前たち夫婦の勝手な振る舞いが招いた結果がこれだ。
反省も出来ぬのか?」
「そんな!?
それであれば、公爵家にもお咎めが必要ではありませんか」
「まだ言うのか、お前は。
そんな考えでこの場にいる家臣の誰がついてきてくれると思うのだ、愚か者め。
王子であるお前がこうせよと命じれば、公爵殿とてそう報告せざるを得ないではないか」
「父上!?
なぜ、なぜ公爵殿だけ庇うのですか!?」
やはりマクシミリアンはまだ幼かった。
国王の意図を先に理解したのは、年下のアンナだったのだから。
「旦那様。
お父様が罰せられることはありませんわ‥‥‥」
「アンナ!?
お前までなにを言いだすのだ!?」
「考えれば分かることですわ、マクシミリアン。
御姉様は既に精霊王妃‥‥‥。
その父親である、お父様を罰することはつまり、神の親族を罰するのと同じこと。
まだ、マクシミリアン。
あなたが罪を背負った方がいい、そういうことですわ‥‥‥」
「くっ‥‥‥。
お前までそんなことを言うのか??
罪は等しくあるべきだろう?」
「だって、マクシミリアン。
あの時点では‥‥‥王族であるあなたの命令に従わなければ国に反逆したも同じこと。
わたしだって、あなたが命じたから妻になることを受けたのよ?
ここは素直に認めるべきだわ。
夫には潔くあって欲しいもの」
「潔く、な?
だが、お前にも分不相応な欲望があるようだがそれについては、どうする気なのだ?」
「それはー‥‥‥」
ここまで黙って聞いていた国王が、ようやくこの醜い罪のなすりつけあいに口を挟んだ。
「我が義理の娘には、公爵夫人としてふさわしい仕事を与えようか、アンナよ。
マクシミリアン。
お前は王族からしばし、離れるがいい。
この半年間余り、聖女様。
いや、精霊王妃様と培ってきた水源の確保をこの冬は神殿と共に管理し、民に不遇がないように努めるのだな。その間に学ぶのだ。
お前に足りない世俗の様々な営みや真に王族がしなければならない勤めとはなにかをな」
「つまり‥‥‥王族追放。
そんな」
愕然とするマクシミリアンとは違いアンナはそれならば、と溜め込んでいた。
いや、この会話の間に画策したに違いない、誰が聞いても呆れ果てるような要求をクローディアと精霊王につきつけるように語ったのだった。
「では、国王様。
いまでは実家の公爵家の主がこの場にはおりませんから。
代理として、わたしが精霊王様に申し上げます」
「おい、妻よお前は気でも触れたか――」
「マクシミリアン、あなたは黙って居てください!
これは我がランドロス公爵家の問題なのですから!!」
そのあまりの剣幕にマクシミリアンは押し黙ってしまった。
どうせ、入り婿になるんだから、あなたは黙りなさいよ。
アンナはそうぼやき、精霊王に言ってのけた。
「御姉様を望まれたのであれば、精霊王様が我が家に対して結納金を支払っていただかなければ困ります!
それが、世の習い。
人間の慣習ですから、精霊王様?」
と、‥‥‥。
うん、満足、満足。
良い感じに泣きそうだわ、あの子。
ねえ、アンナ?
誰かのものを横取りしたらどうなるか、思い知ったでしょ?
ふふふ、これで少しは懲りて欲しいもんだわ。
クローディアは、精霊王の視線に満足ですよ、旦那様。
そう、円満の笑みを浮かべて見せた。
彼はこの程度など容易いものだ。そんな得意気な顔を一瞬し、威厳のある顔つきにもどってしまう。
その悪戯好きそう横顔が、クローディアは大好きになりかけていた。
いつまでも見ていたい。
そう気づかされて、これは大人同士の恋愛を抜いた結婚だったはずなのに、と自身の新しい気持ちを知り、意外な発見に自分でも驚いていた。
「うーん‥‥‥イケメン過ぎるのも困りものね。
他の女にとられそうで怖い。
それにアンナの諦めはきちんとついたのかしら?」
そう、独り言を言いながラクローディアはまずは王子の両手足を精霊王がどうする気なのかが、気になるところだと考えていた。このまま放置すれば彼は両手足を失うだろうし、そうなると聖女がいない王国の周囲にある結界の管理を任されることになる自分の仕事も、百年かそこらはめんどくさいことになるのは、目に見えて明らかだ。旦那様、どうなさるおつもりなのかしら?
ここはまだ、精霊王の采配が必要な場だということをクローディアは、理解し黙っておくことにした。
そんな彼女の目の前で妹夫婦の妙な口喧嘩はいったんは収まったものの、アンナの底知れない欲望の視線が精霊王に釘付けのままだ。
マクシミリアンは仮にも自分の妻が、夫にこんな仕打ちを強いている相手に対して揺るがない熱い好意? いやアンナだけの輝かしい未来を見ていることが気に食わない。
まあ、それでもマクシミリアンはまだ、冷静になれる方だったんだろう。
アンナに比べれば、の話だが。
彼はこの場で離縁などすれば、自分が単なるばかだということをさらけ出すことになると思っていたらしい。残念ながら周囲はそんなことは既知であり、彼がそう言いだしても今更おどろくことはなかった。また、再度の失笑が起こるだけだっただろう。
この辺り、マクシミリアンはまだ人心掌握等を知らない箱入り王子なだけはあって、単なる子供よりもタチが悪かった。
「アンナ、しばらく黙っているがいい。
夫として発言を禁じるぞ」
そう言い、マクシミリアンは精霊王に向き直る。
「我が妻の情けない数々の失言をどうか、お許しください。
それと精霊王様」
「うん?
なにかな、王子よ?
そんな謝罪が欲しいわけではないのだがな?」
「そうは言われましても、即時に何もかもを改めることは難しいものです。
それに精霊王様。
この手足にしてもそう、あの神官長にしてもそう。
神の怒りではあるでしょうが、それを代理人である聖女抜きで行われ、いまこの場に降臨されること事態‥‥‥既に人と神の世界の壁を越えております。
人の世のことは人の世の中で治めたいと思いますので――」
うん?
こいつはまだ何か言い足らないどころか、王子妃と同類らしい。
精霊王はつまらない話につきあう気はないと、国王の方を向き、誰がこの場での最高位であるかを確認するような顔つきをした。王はそれだけで精霊王の意図を悟ったらしい。
無言でうなづいて返した。
それを見た精霊王の視線が王子に戻ることもなく、クローディアに帰るぞ。
そんな素振りをして見せると王子の手足を縛りつけていた氷は跡形もなく消えてしまっていた。
あの神官長、化けタヌキとクローディアに揶揄されていた彼の氷もまた、同様だった。
「衛兵。
その者を下がらせよ。
後から大神官からの沙汰を待つがいい。神官長」
そう言われ、事態がさっぱりと把握できないままに化けタヌキは室内より衛兵の手によって放逐された。
王は王子に向き直ると、
「王子よ。
その手足はどうなのだ?」
そう、一応の心配のあったのだろう。
国王半分、父親半分という顔で尋ねていた。
「ちっ、父上。
いまはわたしが預かる場では!?
まだ話が――」
「王が尋ねておるのだ!
答えぬか、王子!!」
マクシミリアンは滅多に言葉を荒げる事がない父親に、強く迫られて顔を真っ青な顔にしていた。おずおずと申しわけなさげに、
「はっ‥‥‥。
大丈夫。で‥‥‥ございます、痛みもなく。
この通り、常日頃の感覚と何も変わりません‥‥‥」
そう、答えていた。
続いて国王は王子妃にも同様の質問をしていた。
アンナは問題ありませんと答えつつも、まだ視線は上空の精霊王に向いたままだった。
それを王子と国王の二人は親子でやるせない顔をして見ている。
こんな嫁など受け入れるのではなかった。
国王は心でそう嘆いていた。
「では、王子よ。
お前の王子としての身分を下げることにしよう」
「なんですと!?
それは、まさか――」
そうだ。
国王は静かにうなづく。
王族ではあるが‥‥‥王位継承権を持つことを許さないという、暗黙の明示だった。
「そんな父上‥‥‥あんまりではないですか!?」
「父ではない、国王様と呼べ。
お前はいま、この王国の最高位にある存在と話をしているのだ。
頭を垂れ、その身分にふさわしい礼を取るがいい。
お前がその足らない見識で判断した愚行を恥じるいい。
わしはそなたや聖女様の実家である公爵家からは、聖女様の御意思により辞退されたと聞いていたぞ。
それが蓋を開けてみれば、お前たち夫婦の勝手な振る舞いが招いた結果がこれだ。
反省も出来ぬのか?」
「そんな!?
それであれば、公爵家にもお咎めが必要ではありませんか」
「まだ言うのか、お前は。
そんな考えでこの場にいる家臣の誰がついてきてくれると思うのだ、愚か者め。
王子であるお前がこうせよと命じれば、公爵殿とてそう報告せざるを得ないではないか」
「父上!?
なぜ、なぜ公爵殿だけ庇うのですか!?」
やはりマクシミリアンはまだ幼かった。
国王の意図を先に理解したのは、年下のアンナだったのだから。
「旦那様。
お父様が罰せられることはありませんわ‥‥‥」
「アンナ!?
お前までなにを言いだすのだ!?」
「考えれば分かることですわ、マクシミリアン。
御姉様は既に精霊王妃‥‥‥。
その父親である、お父様を罰することはつまり、神の親族を罰するのと同じこと。
まだ、マクシミリアン。
あなたが罪を背負った方がいい、そういうことですわ‥‥‥」
「くっ‥‥‥。
お前までそんなことを言うのか??
罪は等しくあるべきだろう?」
「だって、マクシミリアン。
あの時点では‥‥‥王族であるあなたの命令に従わなければ国に反逆したも同じこと。
わたしだって、あなたが命じたから妻になることを受けたのよ?
ここは素直に認めるべきだわ。
夫には潔くあって欲しいもの」
「潔く、な?
だが、お前にも分不相応な欲望があるようだがそれについては、どうする気なのだ?」
「それはー‥‥‥」
ここまで黙って聞いていた国王が、ようやくこの醜い罪のなすりつけあいに口を挟んだ。
「我が義理の娘には、公爵夫人としてふさわしい仕事を与えようか、アンナよ。
マクシミリアン。
お前は王族からしばし、離れるがいい。
この半年間余り、聖女様。
いや、精霊王妃様と培ってきた水源の確保をこの冬は神殿と共に管理し、民に不遇がないように努めるのだな。その間に学ぶのだ。
お前に足りない世俗の様々な営みや真に王族がしなければならない勤めとはなにかをな」
「つまり‥‥‥王族追放。
そんな」
愕然とするマクシミリアンとは違いアンナはそれならば、と溜め込んでいた。
いや、この会話の間に画策したに違いない、誰が聞いても呆れ果てるような要求をクローディアと精霊王につきつけるように語ったのだった。
「では、国王様。
いまでは実家の公爵家の主がこの場にはおりませんから。
代理として、わたしが精霊王様に申し上げます」
「おい、妻よお前は気でも触れたか――」
「マクシミリアン、あなたは黙って居てください!
これは我がランドロス公爵家の問題なのですから!!」
そのあまりの剣幕にマクシミリアンは押し黙ってしまった。
どうせ、入り婿になるんだから、あなたは黙りなさいよ。
アンナはそうぼやき、精霊王に言ってのけた。
「御姉様を望まれたのであれば、精霊王様が我が家に対して結納金を支払っていただかなければ困ります!
それが、世の習い。
人間の慣習ですから、精霊王様?」
と、‥‥‥。
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