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第五章 アリアと闇の妖精たち
アリア、大役を仰せつかる
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竜たちの王様もたくさんいるのね。
黒い竜に自分の胸の内を見透かされたような気がして。
それはどことなく嬉しくなくて。
でも、同じいたずらっ子に振り回されるもの同士の共感を覚えたような気がして。
なんとなくだけど、私はブランシェのことが好きになっていた。
「黒きブランシェは、旦那様のわがままに振り回されていつも大変なようですね」
「おやおや。我が妻まで夫を責めるとは。そんな覚えはないのだかな」
「認めればもっともっと優しくして差し上げますのに」
「あ……いや、その。アリア?」
「さあ? それよりもダークエルフたちのことですわ、旦那様」
わたしの地雷を踏んだと彼は気付いたらしい。
ま、今夜は優しくしてあげるのはやめだ。
それよりもこれからどうするつもりなんだろう。
旦那様が大勢の前で公開したこの問題。西の大陸の魔族の国アルフライラだったかな。
竜の国、ハイエルンに関しては黒きブランシェがどうにかする?
その辺りのことに眉根を潜めて考えていると、黒きブランシェが先にその問題を口にしてくれた。
「ところで、精霊王。エバースよ、西の大陸の問題はやはり西の竜王たちの誰かに使者を立て、解決するように話をもっていくべきだ。同じ竜族とはいっても、勝手が違う」
「それはそうだな。ブランシェ……だが、この場には西の竜族は……?」
そう言って旦那様は大広間をぐるりと上から下まで見渡した。
その中に竜族と思える巨体をもった存在はたくさんいて、誰もが誰かが手をあげるのを待っている。
そんなふうにわたしには見えた。
「残念ながら精霊王よ。この場には竜王と語れるほどの格式や地位を持つものはおらんようだな」
「そうか……。六大陸の中で最大の大陸の竜族を統べる王の誰も、今宵は来ていないのか」
「いきなりの招集では、誰も来れまいよ。みな、お前ほど暇ではないのだから。近い者たち以外はな」
「ふん」
面白くなさそうに、エバースが鼻を鳴らしてなら仕方ない、なんて言うと会場は苦笑の渦に飲み込まれていく。
「やっぱり、神々や魔王と言っても暇なのではないのね……」
「それは当然ですよ、我が女王」
「そうよねえ、リクウス。うちの旦那様が暇人なだけ、か」
「女王、精霊王様に聞こえます」
「はいはーい」
聞こえればいいのだ。
暇を持て余す男なんて、存在する意味がない。
男性は忙しくしているくらいが、わたしにはちょうどいい。
長い年月の間、旦那様を含めた仲間たちは暇を持て余してどうしようもなく暇すぎて、そしてこんな何百年も続くようなパーティーをしてきたんだろう。
もしくは暇だったんじゃなくて……。
「どうした、アリア?」
「いえ、何でもありません。神様とか魔王様とか境界線……それぞれの治める国の、線引きがあるから大変だな、と思って。まだまだアリアには、そんな政治はできそうにありません」
「そうか。慣れればそう難しいものではない。大事なことは自分以外の誰かのために動くこと。それだけだよ。公平であり平等な判断とはそういったところから生まれるものだ」
「そう……はい、わかりました」
なぜか素直に聞き入れることができた。
なぜだろう。そこには千年以上生きている経験に裏打ちされた、重みがあったから。
でも、重みがあるならもう少し、もう少し周りと協調して……暇を持て余さないような政治をしてくれたら嬉しいんだけど。
ああ、でも。
戦争に明け暮れるような、そんな人生は送りたくない。
長く生きるって本当に大変。
そんなことはさておき、南の大陸の魔王様。やってきてるんですけど……。
「旦那様、あちらの蒼狼族の魔王様は南の大陸からいらしたのでは?」
「蒼狼王のことか? あれはな」
エバースはわたしの耳元で囁く。
新しく魔王になったグレム魔公国の代表が、エバースに挨拶にいくと聞きつけて、妨害ならぬ監視をしに来たのだ、と。
「魔王は魔王でそれぞれに勢力争いがあるのだよ」
「はあ……。それは南の大陸でやって欲しいですね。こんな北の大陸に持ち込まれても困ります」
「違いない。それで、覚悟は良いかな?」
「は?」
「だから、覚悟だ。西の大陸は六大陸で最大の面積を持つ。それだけ、竜王の数も多い。だが、その中でもトップクラスの存在を、お前は知っているはずだ。いや、配下にしているというべきか、な?」
「え、あっ……それって」
「そう、エバーグリーンだ。金麦の竜王。緑林の竜帝……全ての竜族の頂点に立つ存在の甥を、お前はこの前、配下にしたばかりではないか」
「えっ――!」
しまった。
すっかり忘れていた。
いえいえ、忘れていたなんてことはありえないけど、でも彼らを頼るなんてことは考えていなかった。
彼らとはすなわち、エバーグリーンとその妻になったラズ・シェイラ様と、わたしの第二の眷属、イフリーテさんのことだ。
「使えるものはどんどん使ってしまえばいいのだ」
「そんな無茶苦茶な。あちらだって結婚して間がないんですよ?」
「だからどうしたと?」
「だからって……」
これから永遠に近い時間を共にするその最初として。
せめて新婚旅行くらい数年かけて行けるものだと思っていたのに、エバースはたった数か月で終わらせてしまった
のに!
「いきなりこんな問題で――いえ、大事な問題ですけど。彼らの結婚式を、その後の大事な時間を奪っていいものですか?」
「おや、知らなかったのか。あいつら、二週間ほどで離婚したらしいぞ」
「はい――っ? 初耳です!」
「炎の女神シェイラだが、こちらの世界における役割は、あの炎の魔神が引き継いだと聞いている。イフリーテはこちらの世界に残ったようだな」
なんだそれ。
わたしは初めて知るその現実に、憤りを覚えた。
どうして怒りを覚えたかと言うとそれは至極簡単で。
神様に近い存在が増えれば増えるほど、わたしたちの時間を奪われていくからなの。
今回の件だってそう。
ダークエルフ達がやって来なければ、エバースは彼らを助けるなんてこと言わなかったはず。
だからと言って、もう彼らを助けると風の精霊王は潜入してしまったから……。
「はあ……ッ」
「どうしたアリア?」
「何でもありませんっ!」
収まりのつかない怒りを拳に溜め込んで、わたしは近くに居た白馬リクウスに向かって八つ当たり。
周りにいる神々たちから見えないように、そっと立派なたてがみを狙って放ったジャブはしかし。
こちらの行動を見透かしていた白馬にあっさりと避けられてしまった。
「どうして逃げるのよ?」
「私はサンドバッグではありませんので」
「むうっ」
「夫婦喧嘩は夜におやりなさい、我が女王よ」
なんてリクウスに諫められ、わたしは唇を歪めて返した。
その夜がなかなかやってこないから……苛立ってるのに。
「わかりました。分かりましたっ! 誰も彼も可愛げがないんだから……どうしてわたしに何の報告もなく離婚なんてするのよ」
「今はそういう話ではないのでは」
「そうね、リクウス。旦那様が何か言いたそうだわ」
わたしたち主従の会話が終わるまで待ってくれていたらしい。
エバースは話が終わったとみると、この場所にいる全員に声をかけた時と同じように、再び静かな宣言を下した。
「それでは皆、こちらはこちらで話がまとまったようだ。西の大陸は妖精王シュノーベルズの子供たちによる、嘆願の件。西の竜王――金麦のエバーグリーンを眷属にもつ、我が妻がその責任を負うことにする。新しき水の精霊女王の活躍を見守ろうではないか」
「……はあ……」
わたしの口から出たのはその一言。
大きな大きなため息と押し寄せてくる責任感。
周囲からこちらに向かってくる視線はどれもこれもが期待感に満ちたもので……。
その中に二つほど。
怒りと憎しみに満ちた視線が感じられた。
一つは誰でもない蒼狼王と異名を取る南の大陸の魔王様で。
もう一つはなぜか、ダークエルフの王女ライシャのものだった。
黒い竜に自分の胸の内を見透かされたような気がして。
それはどことなく嬉しくなくて。
でも、同じいたずらっ子に振り回されるもの同士の共感を覚えたような気がして。
なんとなくだけど、私はブランシェのことが好きになっていた。
「黒きブランシェは、旦那様のわがままに振り回されていつも大変なようですね」
「おやおや。我が妻まで夫を責めるとは。そんな覚えはないのだかな」
「認めればもっともっと優しくして差し上げますのに」
「あ……いや、その。アリア?」
「さあ? それよりもダークエルフたちのことですわ、旦那様」
わたしの地雷を踏んだと彼は気付いたらしい。
ま、今夜は優しくしてあげるのはやめだ。
それよりもこれからどうするつもりなんだろう。
旦那様が大勢の前で公開したこの問題。西の大陸の魔族の国アルフライラだったかな。
竜の国、ハイエルンに関しては黒きブランシェがどうにかする?
その辺りのことに眉根を潜めて考えていると、黒きブランシェが先にその問題を口にしてくれた。
「ところで、精霊王。エバースよ、西の大陸の問題はやはり西の竜王たちの誰かに使者を立て、解決するように話をもっていくべきだ。同じ竜族とはいっても、勝手が違う」
「それはそうだな。ブランシェ……だが、この場には西の竜族は……?」
そう言って旦那様は大広間をぐるりと上から下まで見渡した。
その中に竜族と思える巨体をもった存在はたくさんいて、誰もが誰かが手をあげるのを待っている。
そんなふうにわたしには見えた。
「残念ながら精霊王よ。この場には竜王と語れるほどの格式や地位を持つものはおらんようだな」
「そうか……。六大陸の中で最大の大陸の竜族を統べる王の誰も、今宵は来ていないのか」
「いきなりの招集では、誰も来れまいよ。みな、お前ほど暇ではないのだから。近い者たち以外はな」
「ふん」
面白くなさそうに、エバースが鼻を鳴らしてなら仕方ない、なんて言うと会場は苦笑の渦に飲み込まれていく。
「やっぱり、神々や魔王と言っても暇なのではないのね……」
「それは当然ですよ、我が女王」
「そうよねえ、リクウス。うちの旦那様が暇人なだけ、か」
「女王、精霊王様に聞こえます」
「はいはーい」
聞こえればいいのだ。
暇を持て余す男なんて、存在する意味がない。
男性は忙しくしているくらいが、わたしにはちょうどいい。
長い年月の間、旦那様を含めた仲間たちは暇を持て余してどうしようもなく暇すぎて、そしてこんな何百年も続くようなパーティーをしてきたんだろう。
もしくは暇だったんじゃなくて……。
「どうした、アリア?」
「いえ、何でもありません。神様とか魔王様とか境界線……それぞれの治める国の、線引きがあるから大変だな、と思って。まだまだアリアには、そんな政治はできそうにありません」
「そうか。慣れればそう難しいものではない。大事なことは自分以外の誰かのために動くこと。それだけだよ。公平であり平等な判断とはそういったところから生まれるものだ」
「そう……はい、わかりました」
なぜか素直に聞き入れることができた。
なぜだろう。そこには千年以上生きている経験に裏打ちされた、重みがあったから。
でも、重みがあるならもう少し、もう少し周りと協調して……暇を持て余さないような政治をしてくれたら嬉しいんだけど。
ああ、でも。
戦争に明け暮れるような、そんな人生は送りたくない。
長く生きるって本当に大変。
そんなことはさておき、南の大陸の魔王様。やってきてるんですけど……。
「旦那様、あちらの蒼狼族の魔王様は南の大陸からいらしたのでは?」
「蒼狼王のことか? あれはな」
エバースはわたしの耳元で囁く。
新しく魔王になったグレム魔公国の代表が、エバースに挨拶にいくと聞きつけて、妨害ならぬ監視をしに来たのだ、と。
「魔王は魔王でそれぞれに勢力争いがあるのだよ」
「はあ……。それは南の大陸でやって欲しいですね。こんな北の大陸に持ち込まれても困ります」
「違いない。それで、覚悟は良いかな?」
「は?」
「だから、覚悟だ。西の大陸は六大陸で最大の面積を持つ。それだけ、竜王の数も多い。だが、その中でもトップクラスの存在を、お前は知っているはずだ。いや、配下にしているというべきか、な?」
「え、あっ……それって」
「そう、エバーグリーンだ。金麦の竜王。緑林の竜帝……全ての竜族の頂点に立つ存在の甥を、お前はこの前、配下にしたばかりではないか」
「えっ――!」
しまった。
すっかり忘れていた。
いえいえ、忘れていたなんてことはありえないけど、でも彼らを頼るなんてことは考えていなかった。
彼らとはすなわち、エバーグリーンとその妻になったラズ・シェイラ様と、わたしの第二の眷属、イフリーテさんのことだ。
「使えるものはどんどん使ってしまえばいいのだ」
「そんな無茶苦茶な。あちらだって結婚して間がないんですよ?」
「だからどうしたと?」
「だからって……」
これから永遠に近い時間を共にするその最初として。
せめて新婚旅行くらい数年かけて行けるものだと思っていたのに、エバースはたった数か月で終わらせてしまった
のに!
「いきなりこんな問題で――いえ、大事な問題ですけど。彼らの結婚式を、その後の大事な時間を奪っていいものですか?」
「おや、知らなかったのか。あいつら、二週間ほどで離婚したらしいぞ」
「はい――っ? 初耳です!」
「炎の女神シェイラだが、こちらの世界における役割は、あの炎の魔神が引き継いだと聞いている。イフリーテはこちらの世界に残ったようだな」
なんだそれ。
わたしは初めて知るその現実に、憤りを覚えた。
どうして怒りを覚えたかと言うとそれは至極簡単で。
神様に近い存在が増えれば増えるほど、わたしたちの時間を奪われていくからなの。
今回の件だってそう。
ダークエルフ達がやって来なければ、エバースは彼らを助けるなんてこと言わなかったはず。
だからと言って、もう彼らを助けると風の精霊王は潜入してしまったから……。
「はあ……ッ」
「どうしたアリア?」
「何でもありませんっ!」
収まりのつかない怒りを拳に溜め込んで、わたしは近くに居た白馬リクウスに向かって八つ当たり。
周りにいる神々たちから見えないように、そっと立派なたてがみを狙って放ったジャブはしかし。
こちらの行動を見透かしていた白馬にあっさりと避けられてしまった。
「どうして逃げるのよ?」
「私はサンドバッグではありませんので」
「むうっ」
「夫婦喧嘩は夜におやりなさい、我が女王よ」
なんてリクウスに諫められ、わたしは唇を歪めて返した。
その夜がなかなかやってこないから……苛立ってるのに。
「わかりました。分かりましたっ! 誰も彼も可愛げがないんだから……どうしてわたしに何の報告もなく離婚なんてするのよ」
「今はそういう話ではないのでは」
「そうね、リクウス。旦那様が何か言いたそうだわ」
わたしたち主従の会話が終わるまで待ってくれていたらしい。
エバースは話が終わったとみると、この場所にいる全員に声をかけた時と同じように、再び静かな宣言を下した。
「それでは皆、こちらはこちらで話がまとまったようだ。西の大陸は妖精王シュノーベルズの子供たちによる、嘆願の件。西の竜王――金麦のエバーグリーンを眷属にもつ、我が妻がその責任を負うことにする。新しき水の精霊女王の活躍を見守ろうではないか」
「……はあ……」
わたしの口から出たのはその一言。
大きな大きなため息と押し寄せてくる責任感。
周囲からこちらに向かってくる視線はどれもこれもが期待感に満ちたもので……。
その中に二つほど。
怒りと憎しみに満ちた視線が感じられた。
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