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第一章 悲しみの聖女と精霊王
聖女の寿命と王子の対価がそれではー‥‥‥困ります!! 3
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王様が剣を振り上げた。
その切っ先は間違いなく、いま顔を庇おうとしているショーンの右腕を狙っている。
ちょっと!!??
待ってよ、待ってよ、待ってよっーーーー!!!
そんなこと誰も望んでないの!!
わたしは!!
「甘えるな、アリア!!」
「えっ‥‥‥???
だん、な‥‥‥さま?
なん、で??
なぜですか!?
だって、目の前でショーンが!!」
パンッ‥‥‥
小気味好い音がしてわたしの頬がはたかれた。
‥‥‥え???
なんーーーーで!?
なんで、怒られなくちゃ‥‥‥??
「ただの友人、知人ならば即座に止めるべきだ。
だが彼は王子だ。
王の覚悟をお前は見ていないのか?」
はたいてすまなかった。
そう、言い、旦那様はわたしを抱きしめてくれた。
「多くの者の上にたつ以上‥‥‥民に犠牲を強いた王子は報いを受けなければならない。
それは、わたしたちが介入することではない。
あの国が。
あの国王が決めることだ。
いいか、愛しいアリア。
慈悲だけでは世界は救えない。
お前が水の精霊の女王になると決意したその日から、王になるための試練は始まっている。
可哀想、憐れだ。
それだけでは駄目なんだよ、アリア」
「そんな、それはー‥‥‥」
そう思うけど、言われてみればそれはそうだ。
王様は命を捧げて民を守ろうとしている。
その後に残されたあのショーンが国を支えて、そしてーー
「わたしの母国は、歴史から消え去るのですね‥‥‥。
はい‥‥‥申し訳ございません、旦那様。
アリアの覚悟が、足りませんでした‥‥‥」
王様が死んだら、王妃様も全てを見届けた後に自害なさるだろう。
ショーンはどうだろう?
隻腕、片腕でこの大陸にある多くの諸国に頭を下げれるだろうか?
でも、いまのわたしは彼の。
風の精霊王エバースの妻であり、水の精霊王の後を継ぐ覚悟を決めたのだ。
なら、わたしがするべきは‥‥‥
「ふん。
なかなかいい考えだな、妻よ?」
あ、また考えを読んだな、この不良精霊王‥‥‥
妻の心を覗くのはいいですけど、水の精霊王になった後にわたしも覗きますからね?
浮気なんて考えた瞬間に、覚えていなさいよ!!
「お前は恐い女だ‥‥‥」
「恐くありません!!
それより!!
あれ、どうするんですか!?」
わたしは鏡を指差す。
ここまで見ていて、酔狂や王の覚悟を教えるだけで済ます気なら‥‥‥
旦那様は、後から話したはずだ。
ショーンがやって来て、国王様の首と自分の片腕と引き換えに。
民の移動が終わるまで、結界魔法を解除するのは待って欲しい。
そう、願い出た時にわたしに諭したはずだ。
だって、旦那様は‥‥‥もっと深いものを見せ教える時にしかこんなことはしないはず。
わたしの覚悟は定まりましたよ、旦那様!?
その切っ先は間違いなく、いま顔を庇おうとしているショーンの右腕を狙っている。
ちょっと!!??
待ってよ、待ってよ、待ってよっーーーー!!!
そんなこと誰も望んでないの!!
わたしは!!
「甘えるな、アリア!!」
「えっ‥‥‥???
だん、な‥‥‥さま?
なん、で??
なぜですか!?
だって、目の前でショーンが!!」
パンッ‥‥‥
小気味好い音がしてわたしの頬がはたかれた。
‥‥‥え???
なんーーーーで!?
なんで、怒られなくちゃ‥‥‥??
「ただの友人、知人ならば即座に止めるべきだ。
だが彼は王子だ。
王の覚悟をお前は見ていないのか?」
はたいてすまなかった。
そう、言い、旦那様はわたしを抱きしめてくれた。
「多くの者の上にたつ以上‥‥‥民に犠牲を強いた王子は報いを受けなければならない。
それは、わたしたちが介入することではない。
あの国が。
あの国王が決めることだ。
いいか、愛しいアリア。
慈悲だけでは世界は救えない。
お前が水の精霊の女王になると決意したその日から、王になるための試練は始まっている。
可哀想、憐れだ。
それだけでは駄目なんだよ、アリア」
「そんな、それはー‥‥‥」
そう思うけど、言われてみればそれはそうだ。
王様は命を捧げて民を守ろうとしている。
その後に残されたあのショーンが国を支えて、そしてーー
「わたしの母国は、歴史から消え去るのですね‥‥‥。
はい‥‥‥申し訳ございません、旦那様。
アリアの覚悟が、足りませんでした‥‥‥」
王様が死んだら、王妃様も全てを見届けた後に自害なさるだろう。
ショーンはどうだろう?
隻腕、片腕でこの大陸にある多くの諸国に頭を下げれるだろうか?
でも、いまのわたしは彼の。
風の精霊王エバースの妻であり、水の精霊王の後を継ぐ覚悟を決めたのだ。
なら、わたしがするべきは‥‥‥
「ふん。
なかなかいい考えだな、妻よ?」
あ、また考えを読んだな、この不良精霊王‥‥‥
妻の心を覗くのはいいですけど、水の精霊王になった後にわたしも覗きますからね?
浮気なんて考えた瞬間に、覚えていなさいよ!!
「お前は恐い女だ‥‥‥」
「恐くありません!!
それより!!
あれ、どうするんですか!?」
わたしは鏡を指差す。
ここまで見ていて、酔狂や王の覚悟を教えるだけで済ます気なら‥‥‥
旦那様は、後から話したはずだ。
ショーンがやって来て、国王様の首と自分の片腕と引き換えに。
民の移動が終わるまで、結界魔法を解除するのは待って欲しい。
そう、願い出た時にわたしに諭したはずだ。
だって、旦那様は‥‥‥もっと深いものを見せ教える時にしかこんなことはしないはず。
わたしの覚悟は定まりましたよ、旦那様!?
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