237色の旋律

星ふくろう

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「わかったよ、父さん。僕、自分の力でギターを買う」

 翌週、マイクは新聞記事の隅にある広告の中から新聞配達のアルバイトと、年齢ギリギリだったが近場の雑誌社の中で、一度集められた配送物を社内の担当者まで配達する仕事を見つけて両方に応募した。
 丁度長い夏休みが始まる前だったから、どちらの仕事にも受かることができてマイクは持ち前の真面目さと勤勉さで効率よく、素早く仕事を終える方法を実行できた。
 それは上司の目に留まり、マイクはほかにどんな仕事をしているのかと、雑誌社の配送部のチーフから質問された。
 新聞配達と雑誌社の両方で働いている。夏休みが終わればミドルスクールに戻る、そうマイクは告げた。

「そうか、なら来週からうちだけにしろ。時給は多めに払ってやる。ミドルスクールが終わればうちでアルバイトをしろ。16時から20時まで働いていい」

 それは破格の条件だった。
 帰宅してフレッドにそのことを話すと、父親は勉強が疎かにならないのならば続けていい、そうマイクに許可を与えた。
 最初の一月が終わり、アルバイト代が出るとマイクは楽器店に向かった。
 目的のギターを買うためだ。
 だが、マイクの住んでいる地域の楽器屋には彼の給料の何倍もするギターしか並んでいなかった。

「ねえ、おじさん。古いのでもいいんだ。僕はエレキギターが欲しいんだよ。ブルースを勉強したいんだ」

 まだ12、3、4歳の少年に泣きつかれ困った店主が大通り向こうの黒人たちがたくさんいる楽器店ならあるかもしれないとマイクに教えた。
 でも、一人でいくんじゃないぞ。
 あそこは危険だからな。
 そう付け加えるのを忘れなかった。

「ありがとう、おじさん」

 そう言ってマイクは店を後にしたが、内心とても困っていた。

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