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プロローグ
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※
「そうか。終わったんだ‥‥‥」
カイネは自分が冷静なことが意外だった。
死ぬまぎわまで、あんなに怒りとか悲しみとか恨みとか叫んでたのに。
終わってしまったら、こんなに気が楽になるんだ。
そう感じている自分がいたからだ。
「オルブー‥‥‥」
優秀な聖騎士だった。
傭兵上がりの、頭のキレる槍の天才。
多くの魔族をほふり、いくつもの戦いを勝利に導いたカイネの右腕だった男。
彼と、最後に断首台の自分を奪還しようとしてくれたカイネの騎士団、「青き三日月」の団員たち。
かれらにだけは、最後まで感謝している。
そして、永遠に忘れられない後悔も。
「ダーシェ様。カイネは最後まで、御心にかなう行いができましたか?」
カイネは神託により自分を聖女に選んだ王国の守り神、大神ダーシェに問いかけてみた。
だが、何も返事はない。
闇の中に変化が起こる気配もなかった。
「神様にも見捨てられたんだね、わたし……やっぱり、魔女だったのかな」
そう思ったら、ふしぎと涙が溢れてきた。
悔しさも、悲しみもどうでもいい。
後悔の元はひとつだけだ。
「オルブ、みんな‥‥‥ごめんね、ごめんなさい。最後まで、わたしは聖女でいられなかったよ‥‥‥」
涙が止まらないが、心はとても穏やかだった。
死ぬということはこういうことなのだと、カイネは理解する。
永遠に泣こう。
犠牲になってくれた仲間たちへの謝罪を口にしよう。
彼らの魂が天国に行けるように。
大神ダーシェに祈り続けよう。
そう、カイネは思った。
そして、どれくらいの時間が流れたかわからない。
たぶん、万を越えるほどにダーシェへの祈りを口にした時だ。
声が、聞こえた。
「ああ、情けないね、君は」
と。どこから聞こえてくるのかわからないその声は、驚くカイネに続けて言い放つ。
「聖女が神に騙されて死ぬなんて。おかしくておかしくて、本当、笑っちゃうよ」
声は幼い男児のようでもあり、年老いた老婆のようでもあり、たくましい男性のようでもあった。
笑い声はカイネを包み込み、耳を塞いでも聞こえてくる。
「やめて、なんで笑うの。わたしが騙されたって、なんで言うの?
わたしはダーシェ様の御心のままに」
そこまで言うと、笑い声がやんだ。
カイネは言葉を続けることができなかった。
それは、声の主がこう、言ったからだ。
「御心? 君はダーシェとエストに飽きて捨てられた、ただの、おもちゃだったのに」
おもちゃ?
飽きて捨てられた?
カイネはその言葉の意味が理解ができなかった。
「なんだい、まだわからないのかい? 君と魔王だったフィオナ。二人は、大神ダーシェと海神エストの盤上の駒だったのさ」
ふと気づくと。
闇の中になにかがうごめいていた。
それは柔らかく動くと、まるで、白い猫のような姿になった。
「盤上の駒? エスト様がなぜ、出てくるの。あなたは‥‥‥誰???」
カイネには何も理解が出来ない。
猫は面白そうに笑い、そして言った。
「僕かい? 僕はそうだねえ。君たちの言葉で言うところの、死神だよ」
死神。
それは恐ろしいと感じなければいけない存在なのに。
カイネは目の前で話す、白い猫の死神に、安心感しか感じなかった。
「不思議です。死は恐ろしいものだと思っていたのに。あなたは恐くない」
そう、本音を言ってしまうほどに、カイネの心は安らいでいた。
「それはそうだよ。君はさっきまで、ダーシェだのエストだの。あんな神どもに少しばかり、操られていたからね。それはほら、彼女も一緒さ」
そういうと、死神は尻尾でなにかを動かすふりをする。
すると、そこにはカイネが首をはねた魔王フィオナがいた。
「魔王‥‥‥!」
カイネがとっさに警戒すると、白猫は大丈夫だよ、と言った。
「いま、この子の魂はまだ地上にあるからね。ここにあるのは、単なるいれものだよ。さて、カイネ。僕は死神だ。これが何を意味するかわかるかい?」
何を意味する?
死神の役割。それは死を、魂を刈り取ること。
そうカイネが思うと、白い猫は残念、と言った。
「違うよ。僕は魂を刈り取るんじゃない。安全に、あの世に送り出し、輪廻の輪の中に届ける事。次にどこか別の世界、別の存在になれるように導くことが仕事なんだ。それでね、僕はいま、いささか怒ってるんだ」
と、不機嫌そうに白い猫はカイネに言う。
「なぜ、お怒りなのですかー…‥‥」
「何故って? ダーシェやエストが、盤上の駒で遊ぶのは自由だよ。彼らが、管轄を許された土地でやるならね。ダーシェは西の大陸セダ。エストは南の大陸ガルベを任されているからね。だけどさー」
怒りがおさまらないというように白い猫は静かに言う。
「今回、あいつらは管轄外の魔神グレアムの土地を勝手に使い、ゲームを始めた。おかげさまで、僕の神聖な仕事が汚されたんだよ。君たちには、決められた人生を最後まで楽しむ権利がある。それを守るのが僕の仕事だ。この全宇宙で最高にして最大の力を持つ、僕をあいつらは怒らせたんだよ」
死神が、どの神よりも最高位にいる?
カイネはそんな話は聞いたことが無かった。
そして白い猫は話を続ける。
「そこでだ。まあ、君たちは死んでしまったから本当はいけないんだけどね。僕は罰を与えたい。で、君は仲間の仇を討ちたくはないかい、カイネ?」
そこで、カイネはオルブ・ギータや元青の三日月団の団員たちの死を思い出す。
「はい、死神様。討ちたいです」
「いいね。明確な返事だ。では、両者意見がそろったようだよ、フィオナ」
白い猫……死神がそう言うと、それまで動かなかったフィオナが口を開いた。
「はい、死神様。では、私たちはどうすればよろしいでしょうか?」
「フィオナ‥‥‥あなた、しゃべれたの?」
カイネは驚いて声を上げる。
しかし、フィオナはそれを無視した。
「うん、そうだね。二人が接触した瞬間は一度だけだ。だからね、二人でお互いに心臓を剣で突き合うというのはどうかな? もちろん、その瞬間まで、僕が用意してあげるよ」
カイネには理解ができない。
「お待ちください、死神様。それがどう、かたき討ちになるのですか?」
白い猫は尾を振ってこたえる。
「君たちが互いに刺し違えた時。それぞれの身体に、ダーシェとエストの魂を入れるのさ。神といえども、実体を持っている時に死ねば、復活はできない。ああ、それと、カイネ」
「はい、死神様」
「君は、婚約破棄もされていたね。だから、王太子の魂も君の身体に入れてあげよう。仲間たちのかたき討ちはそれで満足してくれないかな?」
恐るべき、死神の提案だった。
まさか、自分たちの崇める神まで‥‥‥殺せと言うとは。
しかし、フィオナは異論はなさそうだった。
そして、カイネもまた。
王族の死を以って仲間たちに報いることができるならば、と。
その提案に乗ることにした。
「よろしい。では、少しばかり時間が戻るよ。いいね、躊躇なく、一気に突き刺すんだよ? そうしたら」
そうしたら?
フィオナとカイネは不思議そうな顔をする。
「君たちの復讐とかたき討ちと、僕の怒りはおさまる。君たちには、そのあとに、褒美をあげよう。新しい大地で、新しく、生きる権利だ。これで交渉成立、かな?」
そう問われ、二人はうなづいた。
「では、始めよう。いいね、迷ってはだめだよ」
そう死神が言うと、カイネとフィオナは意識を失った。
※
地上界。
フィオナが気が付いた時、眼前に、聖女カイネがいた。
カイネが気が付いた時、眼前に、魔王フィオナがいた。
二人はそれぞれ、お互いの心臓の位置に向かって。
カイネは聖剣デュランダルを。
フィオナは愛用の剣を向けていることを理解する。
そして二人はうなずきあい。
互いに互いの心臓を、一撃で刺し貫いた。
天上界。
二人の神はいよいよ、ゲームの大詰めだと張り切って水鏡を見ていた。
そしてさあ、どちらが先に心臓を剣で刺し貫くか。
それを期待した瞬間。
己の魂がそれぞれ、ダーシェはカイネに。
エストはフィオナの中に入れられたことに気が付いた。
その事を理解した瞬間。
二神の魂は肉体ごと刺し貫かれ、消滅した。
同時刻、ダイナル王国王都ベィネア王宮。
第一王太子は身体に、異変を感じた。
次の瞬間、彼の瞳は魔王フィオナを見ていた。
そして……その魂は、二神と同じく消滅した。
「うん、良くできたね」
白い猫はその様子を見て満足した。
「では、二人には御褒美をあげよう」
そう言うと、白い猫は尻尾をふった。
春の日。
カイネは青い草原の中を歩いていた。
そばには姉のフィオナがいて、カイネの恋人でかなり年上のオルブ・ギータがいる。
そして、フィオナの隣には、彼女の恋人が共に歩いていた。
四人は週末の休みを利用して、近場の草原へとピクニックに来ていた。
爽やかな風が、彼らを歓迎するように吹きぬけていき、四人は楽しそうにランチを楽しんでいる。
白い猫はそれを見届けると、静かに消えていった。
そして、時間は巻き戻される。
あの、断首台の瞬間にまで‥‥‥
「そうか。終わったんだ‥‥‥」
カイネは自分が冷静なことが意外だった。
死ぬまぎわまで、あんなに怒りとか悲しみとか恨みとか叫んでたのに。
終わってしまったら、こんなに気が楽になるんだ。
そう感じている自分がいたからだ。
「オルブー‥‥‥」
優秀な聖騎士だった。
傭兵上がりの、頭のキレる槍の天才。
多くの魔族をほふり、いくつもの戦いを勝利に導いたカイネの右腕だった男。
彼と、最後に断首台の自分を奪還しようとしてくれたカイネの騎士団、「青き三日月」の団員たち。
かれらにだけは、最後まで感謝している。
そして、永遠に忘れられない後悔も。
「ダーシェ様。カイネは最後まで、御心にかなう行いができましたか?」
カイネは神託により自分を聖女に選んだ王国の守り神、大神ダーシェに問いかけてみた。
だが、何も返事はない。
闇の中に変化が起こる気配もなかった。
「神様にも見捨てられたんだね、わたし……やっぱり、魔女だったのかな」
そう思ったら、ふしぎと涙が溢れてきた。
悔しさも、悲しみもどうでもいい。
後悔の元はひとつだけだ。
「オルブ、みんな‥‥‥ごめんね、ごめんなさい。最後まで、わたしは聖女でいられなかったよ‥‥‥」
涙が止まらないが、心はとても穏やかだった。
死ぬということはこういうことなのだと、カイネは理解する。
永遠に泣こう。
犠牲になってくれた仲間たちへの謝罪を口にしよう。
彼らの魂が天国に行けるように。
大神ダーシェに祈り続けよう。
そう、カイネは思った。
そして、どれくらいの時間が流れたかわからない。
たぶん、万を越えるほどにダーシェへの祈りを口にした時だ。
声が、聞こえた。
「ああ、情けないね、君は」
と。どこから聞こえてくるのかわからないその声は、驚くカイネに続けて言い放つ。
「聖女が神に騙されて死ぬなんて。おかしくておかしくて、本当、笑っちゃうよ」
声は幼い男児のようでもあり、年老いた老婆のようでもあり、たくましい男性のようでもあった。
笑い声はカイネを包み込み、耳を塞いでも聞こえてくる。
「やめて、なんで笑うの。わたしが騙されたって、なんで言うの?
わたしはダーシェ様の御心のままに」
そこまで言うと、笑い声がやんだ。
カイネは言葉を続けることができなかった。
それは、声の主がこう、言ったからだ。
「御心? 君はダーシェとエストに飽きて捨てられた、ただの、おもちゃだったのに」
おもちゃ?
飽きて捨てられた?
カイネはその言葉の意味が理解ができなかった。
「なんだい、まだわからないのかい? 君と魔王だったフィオナ。二人は、大神ダーシェと海神エストの盤上の駒だったのさ」
ふと気づくと。
闇の中になにかがうごめいていた。
それは柔らかく動くと、まるで、白い猫のような姿になった。
「盤上の駒? エスト様がなぜ、出てくるの。あなたは‥‥‥誰???」
カイネには何も理解が出来ない。
猫は面白そうに笑い、そして言った。
「僕かい? 僕はそうだねえ。君たちの言葉で言うところの、死神だよ」
死神。
それは恐ろしいと感じなければいけない存在なのに。
カイネは目の前で話す、白い猫の死神に、安心感しか感じなかった。
「不思議です。死は恐ろしいものだと思っていたのに。あなたは恐くない」
そう、本音を言ってしまうほどに、カイネの心は安らいでいた。
「それはそうだよ。君はさっきまで、ダーシェだのエストだの。あんな神どもに少しばかり、操られていたからね。それはほら、彼女も一緒さ」
そういうと、死神は尻尾でなにかを動かすふりをする。
すると、そこにはカイネが首をはねた魔王フィオナがいた。
「魔王‥‥‥!」
カイネがとっさに警戒すると、白猫は大丈夫だよ、と言った。
「いま、この子の魂はまだ地上にあるからね。ここにあるのは、単なるいれものだよ。さて、カイネ。僕は死神だ。これが何を意味するかわかるかい?」
何を意味する?
死神の役割。それは死を、魂を刈り取ること。
そうカイネが思うと、白い猫は残念、と言った。
「違うよ。僕は魂を刈り取るんじゃない。安全に、あの世に送り出し、輪廻の輪の中に届ける事。次にどこか別の世界、別の存在になれるように導くことが仕事なんだ。それでね、僕はいま、いささか怒ってるんだ」
と、不機嫌そうに白い猫はカイネに言う。
「なぜ、お怒りなのですかー…‥‥」
「何故って? ダーシェやエストが、盤上の駒で遊ぶのは自由だよ。彼らが、管轄を許された土地でやるならね。ダーシェは西の大陸セダ。エストは南の大陸ガルベを任されているからね。だけどさー」
怒りがおさまらないというように白い猫は静かに言う。
「今回、あいつらは管轄外の魔神グレアムの土地を勝手に使い、ゲームを始めた。おかげさまで、僕の神聖な仕事が汚されたんだよ。君たちには、決められた人生を最後まで楽しむ権利がある。それを守るのが僕の仕事だ。この全宇宙で最高にして最大の力を持つ、僕をあいつらは怒らせたんだよ」
死神が、どの神よりも最高位にいる?
カイネはそんな話は聞いたことが無かった。
そして白い猫は話を続ける。
「そこでだ。まあ、君たちは死んでしまったから本当はいけないんだけどね。僕は罰を与えたい。で、君は仲間の仇を討ちたくはないかい、カイネ?」
そこで、カイネはオルブ・ギータや元青の三日月団の団員たちの死を思い出す。
「はい、死神様。討ちたいです」
「いいね。明確な返事だ。では、両者意見がそろったようだよ、フィオナ」
白い猫……死神がそう言うと、それまで動かなかったフィオナが口を開いた。
「はい、死神様。では、私たちはどうすればよろしいでしょうか?」
「フィオナ‥‥‥あなた、しゃべれたの?」
カイネは驚いて声を上げる。
しかし、フィオナはそれを無視した。
「うん、そうだね。二人が接触した瞬間は一度だけだ。だからね、二人でお互いに心臓を剣で突き合うというのはどうかな? もちろん、その瞬間まで、僕が用意してあげるよ」
カイネには理解ができない。
「お待ちください、死神様。それがどう、かたき討ちになるのですか?」
白い猫は尾を振ってこたえる。
「君たちが互いに刺し違えた時。それぞれの身体に、ダーシェとエストの魂を入れるのさ。神といえども、実体を持っている時に死ねば、復活はできない。ああ、それと、カイネ」
「はい、死神様」
「君は、婚約破棄もされていたね。だから、王太子の魂も君の身体に入れてあげよう。仲間たちのかたき討ちはそれで満足してくれないかな?」
恐るべき、死神の提案だった。
まさか、自分たちの崇める神まで‥‥‥殺せと言うとは。
しかし、フィオナは異論はなさそうだった。
そして、カイネもまた。
王族の死を以って仲間たちに報いることができるならば、と。
その提案に乗ることにした。
「よろしい。では、少しばかり時間が戻るよ。いいね、躊躇なく、一気に突き刺すんだよ? そうしたら」
そうしたら?
フィオナとカイネは不思議そうな顔をする。
「君たちの復讐とかたき討ちと、僕の怒りはおさまる。君たちには、そのあとに、褒美をあげよう。新しい大地で、新しく、生きる権利だ。これで交渉成立、かな?」
そう問われ、二人はうなづいた。
「では、始めよう。いいね、迷ってはだめだよ」
そう死神が言うと、カイネとフィオナは意識を失った。
※
地上界。
フィオナが気が付いた時、眼前に、聖女カイネがいた。
カイネが気が付いた時、眼前に、魔王フィオナがいた。
二人はそれぞれ、お互いの心臓の位置に向かって。
カイネは聖剣デュランダルを。
フィオナは愛用の剣を向けていることを理解する。
そして二人はうなずきあい。
互いに互いの心臓を、一撃で刺し貫いた。
天上界。
二人の神はいよいよ、ゲームの大詰めだと張り切って水鏡を見ていた。
そしてさあ、どちらが先に心臓を剣で刺し貫くか。
それを期待した瞬間。
己の魂がそれぞれ、ダーシェはカイネに。
エストはフィオナの中に入れられたことに気が付いた。
その事を理解した瞬間。
二神の魂は肉体ごと刺し貫かれ、消滅した。
同時刻、ダイナル王国王都ベィネア王宮。
第一王太子は身体に、異変を感じた。
次の瞬間、彼の瞳は魔王フィオナを見ていた。
そして……その魂は、二神と同じく消滅した。
「うん、良くできたね」
白い猫はその様子を見て満足した。
「では、二人には御褒美をあげよう」
そう言うと、白い猫は尻尾をふった。
春の日。
カイネは青い草原の中を歩いていた。
そばには姉のフィオナがいて、カイネの恋人でかなり年上のオルブ・ギータがいる。
そして、フィオナの隣には、彼女の恋人が共に歩いていた。
四人は週末の休みを利用して、近場の草原へとピクニックに来ていた。
爽やかな風が、彼らを歓迎するように吹きぬけていき、四人は楽しそうにランチを楽しんでいる。
白い猫はそれを見届けると、静かに消えていった。
そして、時間は巻き戻される。
あの、断首台の瞬間にまで‥‥‥
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