ギルド嬢のひとりごと

 現代日本からまるで西洋のヨーロッパのような異世界、ハルフゲインの七の国、ハイフへと冬のある夜にさまよいこんだ女子高校生、高遠 茜。
 ハイフの王都ナルシアでは異世界から来た人間は有能であれば王宮で軟禁されその知恵や能力を。
 無能であれば、マールという奴隷以下の最下層民の身分を与えられていた。
 男は鉱山に、女は王都内で売春などに。
 どこで野垂れ死にしてもいいという、国王の方針の下に茜も従って生きていた。
 古代ギリシャの哲学者が住んだと言われる大きな樽のような桶のようなものを家代わりにして住むこと数か月。
 ある夜、この世界に迷い込んだ雪の夜に、道端に倒れこんでいた茜を助けたハイフの文官、アッシュが茜を訪ねて来る。
 彼の目的は二つ、新たに創設するあらゆる冒険者に扉を開いた新しいギルドの受付嬢にならないかというスカウト。
 そして文官という地位ではかなわない、彼女との婚約の申し込みだった。
 茜はその二つを受け、身分などの問題から正妻にはなれないが愛人として彼と共に生きていくことを決意する。
 しかし、アッシュはただの人間の文官ではなく、また茜も普通の女子高校生ではなかった。
 騙し騙されつつ、こうしてギルドの受付嬢としての茜の新しい日々が始まった。

 
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